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ピアノの響き と 音の色
「音は響く」というあたりまえのことを、なぜかすっかり忘れていました。
ちょうど、1ヶ月ほど前でしょうか。僕の大好きなミュージシャンのピアノ独演会に行ってきました。
やっぱ、ライブはいいですね。
奏でられた生音が、体に響いてくるんです。
まあ、音というのは振動で、空間を伝わる波だといえば、そうなのでしょうけど。
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コンサートホールは500席ほどで、ちょっとした映画館くらいの広さでした。
僕は、2階席でしたが、十分に見える距離でした。むしろ全体が見渡せていい感じ。
ステージ上には1台のグランドピアノ。
ピアノの演奏は、ほぼ即興です。その瞬間だけの一度限りのフレーズです。知っている曲も違った響きになる。それを感じられるのも、ライブの醍醐味でした。
そして、何よりも、生のピアノの音を体全体で感じることができました。
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例えば、静かな曲では、奏者の指先から放たれたピアノの音が、次々とこちらに飛んできて、迫ってくる感覚になりました。
なんというか、音と正面から対峙している感覚です。
観客も、物音を立てないようにジッと聴いているのが伝わってきて、コンサートホールの空気は、どこか心地よい緊張感に包まれていました。
そうして聴いているうちに、僕の集中力は高まってきて、僕の視線は、ピアノを弾く奏者の指先にフォーカスされます。そして、集中しているから、周りの景色も雑音も全く気にならない。
気がつくと、僕は、奏者の指先と、放たれる音だけの世界に入っていました。
放たれる音は、とても1人の人間が弾いているとは思えない。重なり合った繊細な響きとまろやかなリズム。すっかり美しい曲の世界に入ることができました。
とても心地よい体験でした。
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そうかと思えば、会場の皆が協力して、1つの楽曲をつくりだすこともありました。
奏者に導かれるように、観客たちも音を奏でる(といっても、手拍子とかですけど)。
続けていると、いつの間にか、皆で奏でる音とリズムが一体となり、1つの楽曲が完成される。
そしてなぜか、完成された楽曲は、ホールの天井の1点からシャワーが降り注ぐように、僕らひとりひとりに音を浴びせるんです。そんな感覚になりました。
しばらく音を浴びていると、自分のからだの内側に音がどんどん染み入ってくる。楽曲に包まれて音に溶け込まれていく感覚。
これも最高に心地いい体験でした。
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もちろん、ライブだけが音楽の楽しみ方の全てではないと思います。
いまや音楽を持ち運べるので、どこかの美しい風景の前で聴くこともできるし、目を閉じて心に情景を浮かべながら聴くこともできます。
いろいろな楽しみ方、人ぞれぞれの楽しみ方があるんだと思います。
ただ、僕は今回、すっかり忘れていた生音の感覚を思い出したというだけです。
それは、奏者の熱量を感じ、観客と一体になり、音が体に染み入り、心が揺さぶられる、そんな体験でした。
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ところで、音楽をやっている方って、音階に色のイメージを持ってる方が、少なからずいらっしゃるみたいですね。
そんな話を聞いて、僕は、音楽家でもなんでもありませんが、ちょっと身近な人の協力を得て、音階を色でイメージすることに挑戦してみました。少しだけ見えたのがあったのですが、いかがでしょうか・・・。
D (レ) ニ長調 :みどり、草原のイメージ
F (ファ)ヘ長調 :青、海や空のイメージ
B♭(シ♭)変ロ長調:シルバー、クールなイメージ
E♭(ミ♭)変ホ長調:淡いオレンジ、やわらかくてやさしいイメージ
これって僕がこれまでに聴いてきた音楽に影響するのでしょうか。
とりあえず、僕の個人的な感覚なので、共感する人はまずいないと思いますが、もし、同じ意見の方がいらっしゃったら奇跡なので、会いたいです。
そうでなくとも、音に色のイメージをお持ちの方がいらっしゃったら、それってどんな色なのかとても興味があります。
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しかし、音楽って本当にいいですね。改めて感じました。言葉にすることが難しいですが、今回は、心がとても豊かになった気がします。
そういえば、部屋の中には、何度も挫折を繰り返して、結局、インテリアになってしまったアコースティックギターがあります。
今度こそ!という思いで、練習を始めてみようかなあ・・・。弾けたら絶対にもっと楽しいと思ったんで。
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