見知らぬおばあちゃんとのわずかな会話
今日は、いい天気でした。
歩いていると、空は青いし、風はキリリと気持ちがいい。
赤信号で、あゆみを止めると、僕のちょうど真横に、杖をついたおばあちゃんがやってきました。
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「いい天気ねぇ。」
と、おばあちゃんは、僕に話しかけてきました。上品な雰囲気の方でした。
「いい天気ですね。お散歩にはちょうど良い気候ですね。」
と、僕は応えました。本当にいい天気でした。
「孫がね、家で、あれよ。パソコン。今日は、わたしが買い出しなの。」
と、おばあちゃん。
「そうですか。お孫さんがいらっしゃるんですね。ほんと、今日は、気持ちがいいですね。」
と、僕が言うと、信号は青になりました。
おばあちゃんは、杖を持っていましたが、しっかりとした足取りだったので、僕は、
「失礼します。お気をつけて。」
と言って、先に横断歩道を進みました。
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「あんたも気をつけるのよ!!」
突如、後ろから、おばあちゃんに、フランクな口調で、激励されたので、
「はい!」
と、僕は、思わず、振り返りながら返事をしました。
おばあちゃんは、笑っていました。
僕は、おばあちゃんと会話をして激励されたことが、何だかうれしくて、しばらくニヤニヤして歩きました。マスクをしていて良かったと思います。
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思えば、道ばたで、見知らぬ人から声をかけられるのが、久しぶりでした。
僕に、声をかけてくる人は、大抵は決まっています。
「おばあちゃん」、「外国人」、「何かの勧誘の人」のいずれかです。
そう考えると、最近、外国人に声をかけられていない気がします。
少し前までは、なぜか、あんなに外国人に道を聞かれたのに・・・。
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数年前に仕事で、タイのバンコクに行ったことがあります。
行きの国際線の飛行機の中で、CAさんが後ろの座席から順番に、ドリンクを配っていました。
僕の後ろの席は、タイの方だったようです。CAさんは、その方に、タイ語で話しかけ、ドリンクのやりとりをしていました。
僕の席に来ると、CAさんは、僕を見て、タイ語ではなく、英語で話しかけてきました。
僕は、「コーヒー、プリーズ!」と、何とか英語で言えました。
無事に、トラベル英会話を終え、コーヒーでホッと一息入れようとしたときです。
僕の前の席で、CAさんは、「お飲み物は何に致しますか?」と、それはそれは流ちょうな日本語で、オーダーを聞いていました。
日本語、話せるじゃねぇか!
・・・? わたくし、顔、濃いかしら?
なぜか、僕は、よく外国人に話しかけられるのです・・・。
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今日は、おばあちゃんのおかげで、とても良き1日になりました。
見知らぬ者同士、何気ない会話を交わすって、いいもんですね。改めて実感です。
でも、誰にでもできるものでもないとも思っています。
もし、僕が、道でいきなり、
「今日は、いい天気ですね。」
と見知らぬ人に話しかけたらどうなるか。
変なおじさんに話しかけられたとして、小さな幸せどころか、小さな恐怖を与えてしまうと思うんです。だから、躊躇しています。
詰まるところ、おばあちゃんは、偉大だと思うんです。