まったく・けっして〜ない
『さよなら、人類』を観た。
色味が少なく、登場人物の顔色が悪い。
この映画との出会いはたしかツイッターを見ていたときに流れてきた記録のようなツイートだった気がする。
なんとなくおしゃれなポスターだな……と思っていたのと、タイトルがバンドのたまを思い出させた。
あの紅白にも出場したという『さよなら人類』と酷似したタイトル。
我が家は父がたまのリアルタイム世代で、当時イカ天を見ていたらしく、CDがあったため小さい頃から英才教育(?)を受けていた。
ちなみに最近のたまのお気に入りは『学校にまにあわない』だ。
話を戻す。ツイッターで見たのは数年前なのだがレンタルショップでは見つけられず、最近Amazonプライム・ビデオで発見した。
近頃自宅で映画を観ることに対するハードルがかなり上がっていて、なかなか観られなかった。
約2時間のために静かな時間を狙い(実家暮らしなので親の生活音などを気にしてしまう)、自分の気持ちを映画を観ることにシフトするのが難しくなっていたのだ。
なので映画リハビリ期間である。
しかし、いきなり難しいのを引き当ててしまった感はあった。
私はアンドレイ・タルコフスキーという監督の作品が好きなのだが、寂しげな色あいは似ているのにタルコフスキーよりストーリーがわかりづらく頭を使っても一度だけでは理解が追いつかなかったな、というのが正直な感想だ。
全体的に場面の切り替えの音楽と登場人物のテンションの対比が描かれているように感じた。
もう一つ思ったのが、俯瞰で見ているような、決まった一方向からのワンカットで構成されていて、こういう作り方でもいいんだ! と新しい発見になった。
こういう気づきが楽しいんだよね、だからいろんな映画を観るのが好きだった。
ネットでレビューを調べてみた。
「喜怒哀楽の喜・楽がない」と書かれていて、確かに! と思った。
激しく感情をぶつけるというシーンはあったかな? ほとんどなかった気がする。
けっこう言われていたのが「シュール」という言葉だ。
シュールで笑えるという人もいればシュールすぎてついていけない人もいるようで、私は理由を求めてしまいがちなので後者よりだった。
ほかの人のレビューを見ていると、自分では気づかなかったことや発見があっていい。
最後に「ロッタの店では〜」のところの歌、なんか聞いたことあるんだよな……と思いながらその日を終え、翌日風呂場で思い出した。
高校の古文でやったやつだ……!
「あえて・おほかた・かけて・さらに〜」と先生が歌ってた!
打ち消しのやつ、当時ノリがおもしろくて全部覚えなければいけないのに最後の「まったく・けっして〜ない」しか頭に入ってこなかった私、あの歌フルで覚えてる同級生いたらラインして。