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一日一頁:レイチェル・カーソン(青樹簗一訳)『沈黙の春』新潮文庫、平成十六年。

行き詰まったら古典と向かい合う日々。

初出は1962年というから半世紀以上経過した環境倫理の「古典」を再読している。

自分自身の利益の最大化は悪だとは思わないけど、人間に対しても、「モノ」としての環境世界に対しても「生きている相手」と一緒に生きていると言う感覚が欠如してしまうとオシマイという話だ。

 自然を征服するのだ、としゃにむに進んできた私たち人間、進んできたあとをふりかえってみれば、見るも無残な破壊のあとばかり。自分たちが住んでいるこの大地をこわしているだけではない。私たちの仲間ーーいっしょに暮しているほかの生命にも、破壊の鉾先を向けてきた。過去二、三百年の歴史は、暗黒の数章そのもの。合衆国西部の高原では野牛の殺戮、鳥を撃って市場に売り出す商売人がサギやチドリを根絶に近いまで犬虐殺し、シラサギをとりまくって羽をはぎとった、など。そしていままた、新しいやり口を考え出しては、大破壊、大虐殺の新しい章を歴史に書き加えていく。

レイチェル・カーソン(青樹簗一訳)『沈黙の春』新潮文庫、平成十六年、116頁。


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氏家 法雄 ujike.norio
氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。