見出し画像

一日一頁:小川公代『ケアの倫理とエンパワメント』講談社、2021年。

読み始めた。

時間がなくても1日1頁でも読まないことには進まない。

自分はエライと思っている人に読んでほしい一冊。

さまざまな局面でカイロス的時間がクロノス的時間に変換されてしまう現代社会において、人間の内面世界を生き生きと描いたウルフの文学作品が教えてくれることは大いにあるだろう。女と男の間でオーランドーとシェルマディーンのような友愛の関係を構築するためには、なによりも想像力と共感が重要であるとウルフは考えた。また、人種、階級、ジェンダーの序列関係が存在する社会では、特権を持つ者こそケアの倫理を実践すべきである。そうすれば「家庭の天使」だけでなく、「男らしさ」の呪縛からも逃れるのではないか。ウルフの小説からは、そういう声が聞こえてくる。

小川公代「ヴァージニア・ウルフと<男らしさ>」、『ケアの倫理とエンパワメント』講談社、2021年、70頁。


この記事が参加している募集

氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。