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一日一頁:梨木香歩『ほんとうのリーダーのみつけかた 増補版』岩波書店、2022年。

読み終えた。

木に括られた生身の人間を銃剣で突き刺すことができなかった初年兵Aさん。自分自身のなかにリーダーがあるのかどうか問われている。

時間がなくても1日1頁でも読まないことには進まない。

 Aさんは英雄じゃない。英雄だったら、そこでこんなことはやめろと叫び、その中国人を助けて、でもその場で本人が銃殺になったかもしれない。Aさんはそれはできなかった。言われた通り、その場には出た。でも、それ以上はしなかった。ここまではする。でもそれ以上はしない。これ以上はしてはいけない。やってしまったら、そこであなたのなかの「自分」ということの連続性が切れてしまう。それは魂の存続の危機。「それ以上はやるな」。おそらくこれは、Aさんのまかのリーダーの声。ギリギリで発せられた魂の声。
 そういう声と会話するためには、批判精神を持ち、埋もれている魂を堀り起こしてリーダーとして機能させないといけない。そのためには、まずは自分自身で考える、ということが大切です。

梨木香歩『ほんとうのリーダーのみつけかた 増補版』岩波書店、2022年、36ー37頁。

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氏家 法雄 ujike.norio
氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。

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