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あんときのデジカメ 漫然と真冬の讃岐路を行く with Canon PowerShot SX210 IS

(はじめに)2月の讃岐の風景を漫然と撮影しましたが、真冬と一口に言っても、寒いとか陽が短いといった単純なものではないことが分かります。単純化することで私たちは生活世界の現実から程遠くなっているのではないかと最近考えています。今回はキヤノンの高倍率ズーム機で撮影しましたが、その様子をご笑覧下さればと思います。

漫然と撮影するには高倍率ズーム機がおすすめ

 4月から初めた「あんときのデジカメ」ですが、基本的にテーマを決めて毎回撮影しております。撮影しているときにテーマが思いつくこともあれば、あらかじめテーマを決めて撮影することもあります。

 しかし、このテーマを設定して撮影するということは、ある意味では非常にストイックな営みといってのいいかも知れません。特定の角度からのみ写真を切り取ることになるからです。そうしたストイックな営みを、僕は割と好きなのですが、それだけになってしまいますと、やっぱり窮屈な感じは否めません。だから同じぐらい漫然と撮影する、テキトーにスナップ撮影することも大切にしています

 ただ、しかし、漫然と撮影した場合、状況にズルズルとひかれてしまい、ひとつのコーナーあるいは企画としてまとめることが難しいのが事実ですが、1月の終わりから、キヤノンのコンパクトデジタルカメラの高倍率のモデルで漫然とポタリングを続けましたが、3~4倍の標準ズームのカメラよりは、まとまりやすいのではないか、などと感じています。

 高倍率のズームだとやはりその高倍率を活かすことで、自然とテーマの「ようなもの」へと収斂していくように思えるからです。

東京に住むのも、グリーンランドの雪原に住むのも、たいした違いはない
 

 さて、今回は、1月の終わりからおよそ1ヶ月ちかくを高倍率のコンパクトデジタルカメラで季節の移り変わりを漫然と撮影してみました。そして、これも何度も言及していることですが、やはりその季節の真っ只中に、次の季節の準備が進んでいることを強く考えさせられました

 例えば、1月31日の日の出日の入りと最低最高気温は、7:08~17:34で、2~8度になります。それから20日ちかく経過した2月20日では、6:44~17:53で1~12度になります。どちらも香川県善通寺市の記録です。ミッド真冬というのが2月ですが、もっとも寒いこの時期に日の出は6時台となり、日没は18時近くとなります。冬至から2ヶ月ちかく経過したことを踏まえれば「当たり前」のことになりますが、真冬と一口に言っても、やはりその内実は変化の連続であり、次の季節の準備が進んでいることが一目瞭然です。

 しかし、私たちは、真冬はとにかく寒い、あるいは陽が落ちるのが早いと十把一絡げに理解しているのが事実で、その理解というものは現実とは程遠い理解ならざる理解なのではないかと僕は考えています

 何も変化がないという思い込みこそ、自分自身の暮らしを雑に扱ってしまう軽挙妄動ではないでしょうかね?

 町で本を読みたいと思ったときは、なんといっても午後のレストランが一番だ。しずかで、明るくて、すいていて、椅子の座り心地が良い店をひとつ確保しておく(中略)
 このような類のささやかな生活のコツは、とくにだれかがわざわざ教えてくれるわけもないし、情報誌に載っているわけでもない。自分で試行錯誤をかさねつつ身につけていかざるを得ないわけで、そういう意味では東京に住むのも、グリーンランドの雪原に住むのも、たいした違いはないのかもしれないですね。
(出典)村上春樹、安西水丸「レストランの読書」、村上春樹、安西水丸『ランゲルハンス島の午後』新潮文庫、平成二年、11頁。


初心者からベテランまで納得のいくキヤノンの高倍率ズーム機

 今回使用したのは、2010年発売のキヤノン製のコンパクトデジタルカメラのPowerShot SX210 ISになります。レンズは35mmフィルムカメラ換算で28~392mm相当の14倍ズームを比較的コンパクトなボディに収めたスタイリッシュなコンパクトデジタルカメラになります。

 キヤノンのコンデジには2つのラインがありますが、1つはスタイリッシュなIXYで、もうひとつが本格的な撮影に耐えうるPowershotになります。後者には、乾電池利用の入門機も含まれますが、SシリーズやGシリーズがその代表といってよいでしょう。そしてその隙間を埋める高倍率モデルが本機になります。発売時購入し、初めて高倍率ズームを使用した時の衝撃は強く、こんなにも拡大できるのかと驚いたことを覚えています。今回は広角端と光学望遠端での撮影でまとめてみました。14倍ズームの世界をお楽しみいただけるのではないかと思います。

 では、簡単にスペックを紹介します。撮像素子は1/2.3型CCDで、画素数は1410万画素で、背面液晶は3型液晶となります。レンズは前述したとおりですが、f値は、開放F3.1で望遠端はF5.9。望遠端での暗さを否めませんが、それでも日中に使用する分には問題ないのではないかと思います。ホールド感も良いため、コンパクトカメラの不安定さと一線を画している点は良い工夫ではないかと思います。

 さて絵作りの点は、高倍率ズーム機としては優秀で、素直な写真を得られるカメラです。解像力が際立っているというほどのことはありませんが、全領域で非常に見たとおりの写真を切り取ります。さすがキヤノンというほかありません。撮影機能もプログラムAEほかシャッター優先、絞り優先のモードを搭載し、写真づくりの工夫をあれこれ試すことも可能です。難点をひとつだけ上げれば、ズームレバーが小さいことでしょうか。ちょうど季節柄手袋をしたまま撮影すると不便を感じましたが、この辺りは使い勝手に好みが分かれるところではないかと思います。

 全体としての使用感ですが、初心者でもベテランのユーザーでもこれ一台あれば、気軽にこだわりのある写真を切り取るカメラという印象です。デジタル一眼同様の露出制御も可能ですから、身近な記録から、ちょっと工夫の効いた撮影にいたるまでオールマイティーに活躍できるカメラという印象を抱きました。

以下、拙い写真ですが、作例です。2月の讃岐の風景を漫然と撮影しましたが真冬の時の流れを28mmとその14倍ズームの対比で確認できるかと思います。ご笑覧下さればと思います。


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今回の撮影ポタリングで立ち寄ったのは、丸亀市の本格手打ちうどん あかみち」(香川県丸亀市田村町915-1)さんです。「妥協のない本格手打ちをモダン空間で気軽に!」(四国新聞)との評判通りで、この季節ならではのしっぽくうどんを美味しく頂戴しました。きんざいの方はぜひ。

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 ということで撮影データ。プログラム撮影、ISO100、ホワイトバランスオート、露出補正なし。画像は1280×720(FINE)で保存。撮影は2020年1月30日~2月13日。撮影場所は香川県善通寺市、丸亀市、三豊市、仲多度郡多度津町。


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氏家 法雄 ujike.norio
氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。