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一日一頁:中畑正志『アリストテレスの哲学』岩波新書、2023年。③

縷々寄り道しながら読み進めている。

「心」の概念の成立以降、アリストテレスの魂論は更新されたとの感が強いが果たしてどうか。身体の働きや感覚や理性の働きはを別々と切り分けて議論することこそ問題があるのかも知れない。

時間がなくても1日1頁でも読みないことには進まない。

 われわれがアリストテレス的な魂の概念を理解するためには、失われた思考の方向感覚を覚醒させなければならない。その試金石となるのは、心という仕切りによってその外と内に分けられた栄養摂取と感覚知覚を、同じ概念の傘の下に入れて同じように考えることできるかどうかである。あなたは、朝、「パンを頬張りながら、携帯の天気予報を確認しているかもしれない。この二つの活動、つまり栄養を取ることと携帯を見ることを、魂の活動として同様に考えるのだ。そう考えることが、アリストテレスのような仕方で考えることである。そのためには、心のはたらきについての一般的な見方を大きく変更しなければならない。

中畑正志『アリストテレスの哲学』岩波新書、2023年、143頁。

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氏家 法雄 ujike.norio
氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。