【237】本の話「烏の緑羽」「銀色のステイヤー」
最近図書館から借りて読んだ本から2冊紹介します。
1「烏の緑羽」
最初に「烏の緑羽」
知る人ぞ知る阿部智里さんの烏シリーズ、今まで本編第1部が6冊、第2部が2冊、その他に外伝が2冊が刊行されており、それを受けての本作です。
読み出してみて本来の主人公達がいつまでたっても姿を現さず、そのうちに出てくるのか出てこないのか、これが本編なのか外伝なのか一向にわからないまま読み進める。
しかし、本編だろうが外伝だろうか関係なく、現れてくる登場人物がものすごく魅力的なのと波乱の展開にいつしか次はどうなるのかと休む暇もなくページをめくらされて一気読みしてしまう。
そして、物語は結末に向かい、伏線は回収され、物語は見事に収束し、結局これは外伝だったのだと納得し心地よく満足しかけた、その時、事件は起こり全ては混沌の中に突き落とされる。
智里さんは正気なのか、やけでも起こしちゃったのではないか?
何はともあれ、この物語はさらに続いていくだろうことに安堵し、次なる転回が、どうなっていくのか、ただただ智里さんの手の中でこれからも転がされるのみである。
このおもしろすぎるシリーズをネタバレしては申し訳ないのでこのくらいしか書けませんが、このシリーズは絶対に面白いと思います。
もしまだ読んでいない人がいたら、第1作は「烏に単は似合わない」です。
お薦めです。
2「銀色のステイヤー」
北海道の日高地方の小さな牧場、菊地牧場で生まれた芦毛のやんちゃな仔馬シルバーファーンの物語です。
競馬にのめり込んだことはありませんが、サラブレッドが全力で走る姿は圧倒的に美しいと思います。
すごい潜在能力を秘め抜群の身体能力を持って生まれたシルバーファーン、その性格は天衣無縫で何をやらかすかわからない危うさに満ちている。
しかし一旦レースとなると負けず嫌いの気性をむき出しに大駆けしデビュー戦で勝利すると、その後も上位に食い込む活躍を見せて、皐月賞、ダービー、菊花賞のクラシック三冠に挑戦することになる。
ライバルのゲルハルトドリームとの対決はどうなっていくのか、手に汗握る展開が待っている。
主人公のシルバーファーンの魅力、そしてこのやんちゃ坊主が可愛くて仕方がない菊池牧場の菊池牧場長、新米で要領の悪い従業員のまさくん、馬のことが好きで好きで馬がひどい扱いをされることを許せないあやさん、ファーンを買い取る馬には全く素人の馬主広瀬夫人、茨城県美浦でファーンを預かる二本松旧車の二本松調教師、実際にファーンを担当する調教助手の鉄子こと大橋姫菜、ファーンをを御するのは菊池牧場長の兄の菊池俊基騎手、そうした周囲の人たちのキャラが立っていてそれぞれが結果的にうまくかみ合ってファーンを大きく成長させていく。
とにかく面白くて、こちらも先へ先へと一気読みしてしまいました。
この二冊は毛色が違いますが、どちらも絶対に面白く、お薦めです。