ガバナンスの話は「自律と統制のバランス」がテーマになりつつあると思った「全国ないかんMeetup in 渋谷」
「ガバナンス」という言葉使っているけれども、何かわかるようでわからないと思いました。そこで具体的にどんな状況で話すことが多いですか?とお聞きする内部監査室向けイベントをやりました。
株式会社ネクイノさんが主催する「ないかんMeetup」で機会をいただいきました、集まったのは内部監査室や監査役の方々です。みなさん、1人で進めている人が圧倒的に多かったのです。ガバナンスについても表題のような学びになったのですが、これを進めるのは1人だと大変だな!これは今後も集まった方が良いな!(私の精神の健全性を保つためにも)と思ったので、今後も集まりましょうと思いました。
まとめ
日本の中小の上場企業の内部統制はやっぱり大変そう。
ガバナンスのことを話していると、「自律型組織」を指向している会社が多くて、今の報告制度との隔たりを感じている人が多そう。自律と統制のバランスをとったり矛盾の解消をする方法を、これから考えないといけない。
1人内部監査室が多くて、みんな大変そう。1人でやるには結構重たい問題と直面している人が多そう。
内部監査室っぽい人は、またこのイベントで集まりましょう!
イベントの中身
「ないかんMeetup」の趣旨。
今回、私が話したテーマ。
今回の目的は、「ガバナンスという言葉について色んな解釈がありそうなことを知る」としました。
参加者からガバナンスという言葉が出てくる状況をシェアしてもらい、自分にも当てはまることや違うことがあるなと思う
当てはまったり違った点をシェアする
ガバナンスという言葉と内部監査室に関わっている人たちとの距離感を知り、自分が今後何をしたら良いのかの感覚が少し掴める
事前にみなさんに聞いてみたアンケートはこちら。
「ガバナンス」が、会話の中に出てくる人は多そうです。
アンケートの中身からガバナンスが出てくる空間みたいなものを取り出しました。会社として関係がありそうなのは、コーポレートガバナンスですが、そもそもその周りにガバナンスが語られてきた歴史とか文脈があり、お互いに影響を与えたりしていそうです。
これが誰から見た問題なのかも一応リスト化して準備しました。
そして、ガバナンスの話が出そうなどの部分なのかを特定する補助線みたいなものです。
と、いうところまででみなさんにディスカッションを島ごとにしていただきました。
その上で事後アンケートをとり、みなさんの会社の中で起きることを振り返っていただきました。
ガバナンスはどの問題に近いのかアンケート
私の個人的な事前の予測では、以下の3つの質問のうち、1つめ(会社の「やりたいこと」意悪決定の問題に近かった)は当てはまる回答が少なく、後半は高くなると思っていました。結果もその通りなのですが、思ったよりも1つめの当てはまりが高い(4と5が多い)ことが面白いなと思いました。(母集団が少ないので、もっと違う集団だと違うのかもしれませんが。)
Q1 会社の「やりたいこと」意悪決定の問題に近かった。
この回答の分布がもっと左に寄ると思っていたので、ここが面白かったです。
Q2 会社のおかれている「局面の理解」リスクマネジメントの問題に近かった。
Q3 会社の続制の具体的な解決「手法」コントロールの問題に近かった。
2と3については、予想していた分布に近いのですが、5とまでは行っていないところが興味深いです。
誰にとっての問題と思いますか?と言う質問に対しては、「取締役会や取締役」との回答と、「執行役員や経営会議メンバー」との回答が多い結果になりました。
ガバナンスのディスカッションまとめ
当日のテーブルごとのディスカッションで出た話題や終わった後の雑談で出た話のまとめです。(私が困っていることに寄せて整理しているので、同じ文章を自社の課題に合わせてカテゴライズしなおすと何かわかるかもしれません!)
①ガバナンスの定義で悩む
ガバナンスの定義が会社の中でも曖昧で、どう具現化していくが難しい。コーポレートガバナンスコードを読むだけだと、何をするのか決めにくい。
役員がガバナンスの共通認識を持っていないかもしれない。
②自律した組織と内部統制の矛盾
自律した組織を作りたいけど、統制を効かせたいと言う時に「性善説・性悪説」の話になりがちだが、本当は「性弱説」を前提にするべきではないか。
自律した組織にしたいけど、結局管理部門が吸収するみたいな話になり、管理部門が疲弊することはある。どうしたら良いのか。
③内部統制の運用の悩み
コンサルに依頼して作った内部統制が現場とあってないので作り直しになる。
組織内で起きていることがよく把握されていなくて、これをガバナンスの問題と呼ぶことがある。
内部通報制度を入れているけれど、運用の実態はそこまで議論されることがない。この制度は機能しているのか?と話すことが必要では。
内部監査は1人が多くて、悩みを共有できない。
今までの議論のまとめ
ここまでの議論から見えてきたのは、まず1つは、日本の中小上場企業の立ち位置はやはり世界から見ても特異であることが再確認されたのだと思います。
リンク先で紹介している「中小上場会社の内部統制」で書かれているように、アメリカですら導入しなかった小さい会社での内部統制報告制度実行をしているのは先進国では日本だけです。
なので、前述の「①ガバナンスの定義で悩む」は、ある程度仕方がないところがあります。普通に経営を真面目にやろうとしている経営者や取締役会であれば、内部統制にかけるコストのバランスについて、考えない訳がありません。(ここから、アンケートの結果のように、ガバナンスの問題を「やりたいこと」のズレとして捉える会社が多かったと言う結果が出てきているかもしれません。)
そして、ここから問題のふたつめが派生します。コストのバランスをとる時に、「どこに着地させるのか」に最適解がない、と言うことです。
そうなると、「理想とする組織」と「内部統制報告制度に求められる組織」が乖離し始めます。
この自律と統制のバランスをどうとるのかが、一般的な問題として広がっているかもしれない、と気付けたのが今回のイベントの最大の私の収穫でした。少なくとも、グロース市場では今後も問題になり続けるのではないでしょうか。
3つめの問題は、この乖離に取り組む内部監査室や管理部門は、現状これをうまく着地させる方法を持っていなさそう(しかも1人)ということです。なので、ここでのまとめとしては、みんな集まりましょう!ぐらいしか思いつきません。
最後にみなさんの事後アンケートのテキストを載せておきます!ここから、おっいいねと思った方は、ぜひまたお会いしましょう!
事後アンケートの回答欄のお悩み内容のテキスト
監査法人のIT監査でのコミュニケーション
内部監査と言うと距離を置く人がいるのでどう近づくか
ゼロから内部監査体制を構築した話を聞きたい
内部監査をどこまでやっているかを知りたい
孤独なシチュエーションをどう乗り越えるのか
状態として一定の正解があることは理解しているが、そこにたどり着くまでのアプローチが千差万別であること
IPO実現に際してのボトルネック、それをどう解消したか
外部監査人や主幹事証券から求められる内部監査のクオリティ
ガバナンスは会社にとって顧客に対する約束みたいなテーマでもある
ガバナンスを表面的な理解だけの仕組みを導入している事例が多いことに課題を感じている
内部監査を行う上での人間観は、性善説か性悪説か。(性弱説と言うのもある。)
内部通報制度の運用の実際を知りたい
外部監査対応を知りたい
FCRPのポイント
監査の効率化
往査の進め方
不正対応の進め方
監査の1日を知りたい
実務的な詳細を知りたい
社長・監査役との接点をどうするか
IPOの苦労話(監査室としての)
各社の監査事情
管理体制が全く整っていない会社の監査室立ち上げ経験を聞きたい
オーナー社長の元での監査室経験のある方の話を聞きたい
誰がなんのためにガバナンスするかで見え方が変わる
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