股関節の運動特性を深めた運動療法の考え方
みなさんこんにちは!
リハビリナレッジです。
今回はメンバーである梅本君がアウトプットしてくれました。【股関節の運動特性を深めた運動療法の考え方】です。
⚫︎はじめに
股関節は360°全方位に動く「モビリティ関節」として、人間の動作の土台を支えています。
ADL動作では様々な運動パターンが必要不可欠であり、股関節の運動制限によって関節運動のバリエーションがなくなると、隣接している腰椎や膝関節が本来の動きを逸脱して動きを補おうとします。これにより過剰な負担がかかり、痛みや変形の原因となります。
⚫︎運動療法の基本視点:固定点と運動点
股関節に限らず、関節の動きを理解し、運動療法に活かす上で欠かせないのが「固定点」と「運動点」の概念です。
関節とは「2つ以上の骨がつながっている部分で、骨に対して骨が様々な動きをすることを可能にする構造体」と定義されているように、ある骨(固定点)に対して別の骨(運動点)が動くことで関節運動が発生します。当たり前のように思えますが、これを意識するかしないかだけでも運動療法の質に大きな違いが生まれます。
⚫︎股関節の運動特性を活かしたバリエーションの考え方
股関節の運動では腰椎や骨盤 帯の動きを含む全体的なリズム(腰椎骨盤リズム)と、分離した局所的な運動のバランスを組み合わせることで対象者に合わせた効果的なアプローチ・バリエーションが生まれた。
⚫︎腰椎骨盤リズムを活用した
・前屈動作(腰椎屈曲+骨盤前傾)
・後屈動作(腰椎伸展+骨盤後傾)
腰椎骨盤リズムから逸脱した運動
・骨盤ニューテーション+股関節屈曲
例:しゃがみ込み、床に手を伸ばす動作
・骨盤カウンターニューテーション+股関節伸展
例:立ち上がり動作、歩行
骨盤と大腿骨の相互運動
・骨盤に対する大腿骨の屈曲/伸展
例:足を上げる、歩行時の振り出し
・大腿骨に対する骨盤の屈曲/伸展
例:立ち上がり動作、歩行の立脚時
骨盤に対する大腿骨の屈曲/伸展
大腿骨に対する骨盤の屈曲/ 伸展
これらはいずれも「屈曲」「伸展」ですが、運動の質が異なります。
⚫︎ADL動作と臨床での運動療法の乖離
ADL動作の中での股関節機能でいうと、殆どがCKCでかつ、大腿骨に対しての骨盤の動きが重要になってきますが、学生で学ぶのはROMやMMTといった骨盤に対する大腿骨の動きばかりが注目されており、その背景からか、臨床でもOKCで、骨盤に対して大腿骨が可動する運動療法のパターンが多く見られます。この基礎的な運動パターンは必ず必要にはなってきますが、対象者のニーズ、身体機能のレベルに合わせて、いかにこのパターンを崩して、様々なバリエーションを入れていくかが重要になると考えています。
⚫︎まとめ
・固定点と運動点を明確にし、関節運動の本質を捉える
・固定化した運動パターンを崩したバリエーションをいれる
・ADL動作に近い運動パターンを再現しながら、運動療法を展開する
これらを意識することで、質の高い運動療法が実現し、対象者のQOL向上につながると思うので明日からの臨床に活かしてみてください。