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絵本だからって子ども扱いする必要はなかった話。

みなさんこんにちは、
グラフィックデザイナーのウエマツです。

今日(8/28)、制作した絵本の贈呈式を開いてくれるということで、静岡県の富士市にある保育園に行ってきました。

その時に職員さんからいただいた言葉がとても印象的で、色々と考えさせてもらったので、その共有をさせていただきたいと思います。

制作した絵本はコチラ↓


絵本っぽい絵本を選んでいた。


今までは、「絵本っぽい絵本を選んでいた!」
このように職員の方に言われました。

詳しく話を聞いてみると、
絵本はこういうモノという固定観念を持っていたらしく、
絵も内容もシンプルなでわかりやすいモノだけを選んできたし、そいうモノでなければいけないと思っていた、とのことです。

例えば、建設機械を紹介してくれている絵本はあったけれど、「働く車」的なカテゴリーで、消防車や、パトカーなどと同じ本に一緒に描かれていたりするのが当たり前だったという。

今回、私達が制作した絵本は建設機械も載ってはいるが、一番は「建設業」というものを知ってほしいというコンセプトを立てていました。

このように一つの業種をしっかりと掘り下げて作られていた絵本を見たことがなかったので、驚いたのと、こういう内容でも子ども達は楽しんで読んでくれていたことが新しい発見になった、ということです。


私達の絵本制作への思い。


今回私達がこの絵本へ込めた思いをここで少しお話しさせてください。

私ウエマツは、建設業(解体業)を約20年やってきました。
そして、絵本の共同制作者であるもう一人の方は前の職場の社長であり、私の雇用主という関係でした。
その方は約30年程、解体業をしてきていました。

そこで、私が前職を続けるのが肉体的にも精神的にも辛く厳しくなっていた頃、いろいろと話をしていた中で、一つの集大成として、
「何か形になるものを作りたい」という相談を受けました。

それなら絵本がいいのでは、ということから制作が始まったという感じです。


ただ、楽しいこともたくさんあったけど、それ以上に大変な経験もたくさんしてきました。

簡単に言葉では表現できない思いもたくさんあります。

今回絵本という表現方法を使って、さまざまな思いや、辛かった過去の思い出を成仏させてあげたい、とも思っていました。

だから、使用した建設機械も私達が実際に乗っていたものを写真から加工して使用しました。

写っている建設機械の角度も同業者や、建設機械好きな大人が見てもカッコいいと思ってもらえるような角度にもこだわりました。

それと合わせて、建物の持ち主の方達が、建物を取り壊す様をとてもさみしそうに眺めていたり、時には涙を流す方もたくさん見てきました。

それらの経験をたくさん詰め込んだ絵本を作ったというわけです。

結果的に、子ども向けであり、それ以上に大人にも向けて制作していました。


絵本だからって子ども扱いする必要はなかった。


話を戻します。

今回、職員さんからいただいた、
「絵本っぽい絵本を選んでいたけれど、こういう絵本でもいいんだ。と気づかせてもらいました。」
という言葉。

それは本当に印象的で、物凄く色々なことを考えるキッカケをいただきました。

作り手側は使う言葉とか、表現の仕方には最大限の気遣いは必要だとしても、子供向けだからと勝手に決めつけて扱うジャンルを狭めたりするのはとても勿体無いことだと教えてもらいました。

大人側が勝手に理解できないだろう、と決めつけるのではなく、
「子ども相手」という意識から一人の「人間」を相手にしている意識を持って、優しい表現、伝わりやすい言葉を選んで丁寧に届ける。

そう思って作っていくことが大事なんだと思いました。

そして、大人の方が子供達から学ぶことは本当に多いと教えてもらった日になりました。

今回このような機会を作ってくれた本当に多くの方達に心から感謝します。

以上、ウエマツでした〜


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