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周産期疾病対策

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#73 ホルスタインにおける双子を防ぐには?

#73 ホルスタインにおける双子を防ぐには?

双子が生まれました!
本来ならばよい響きなはずですが、酪農家さんではあまり歓迎しません。

その後の後産停滞→子宮炎→ケトーシスそして第四位変異。あるいは子牛の死亡リスクが高くなります。
さて、双子をどう防ぎますか。難題です。

授精の時、超音波を使い卵巣を確認。二つの卵胞があるときは一個排卵してから授精、あるいは思い切って次回に。
実際効果があるでしょう。ただ、繁殖成績は?

本来、一個排卵すべ

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#72 研究的にはNGかもしれないけど…

#72 研究的にはNGかもしれないけど…

合わせて一本。
柔道は詳しくありませんが、見るのは好きです。どちらの技が決まったのか分からないことがありますが…

研究論文を読んでいると…例えば周産期のコリン給与。イオンバランス、エネルギー濃度の評価などなど、他の条件はすべて同じにした研究が常識です。
私は研究者じゃないので、現場で上手く行ったケースをいろいろ組み合わせて使うことを好みます。

①肉牛のビタミンAとβカロチン
②子牛移行期の酪酸

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#65 乾乳牛の給与メニューを考えてみる

#65 乾乳牛の給与メニューを考えてみる

乾乳牛の給与メニューについて考えてみる!

特に周産期疾病の多い牛群の乾乳について。

現状
すでに過肥気味の牛が多いと思われます。
このようなケースでは泌乳期からの調整が必要でしょう。だた、ある事情で乾乳牛だけの設計です(乾乳一群)。

現状の評価から行ったこと。
①現状の乾物摂取量を維持…ただし変更後の摂取量を確認します。
②エネルギー濃度を下げます。粗飼料割合を上げていきます。
③センイ濃度

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#50臨床型の低カル”ゼロ”を目指して

#50臨床型の低カル”ゼロ”を目指して

訓子府、紋別、雄武から下川経由…採血しながら巡回しました。
五つの農場で約60頭の採血を行いました。結果が楽しみです。…怖いのもありますが。

乳熱(臨床型の低Ca)ゼロを目指します。目標は高くとも、有言実行です。

そのための作戦…(メモ)!?

①泌乳期のCa濃度に注意すること。特に泌乳後半は1.0%DM以上

②乾乳を一群管理し、繋留せず、運動可能な状況で管理する。エネルギーは抑え気味(BC

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#34 血液代謝プロファイルテストの返信の一例

#34 血液代謝プロファイルテストの返信の一例

血液プロファイルの返信の一例です。

“先日はありがとうございました。

結論からです。
良い結果と思います。
添付資料の採血結果をご確認ください。尚、推奨値はこれまでの私の経験からの値です。

MP(代謝タンパク質)の供給量を示すBUN、エネルギーとタンパク質のバランスを示すアルブミン、良質のバイパスタンパク質とコリン給与によるγ―GT(肝機能の指標)は牛群平均で推奨値に入っておりました。
NE

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#27 血液代謝プロファイルテストの使い方

#27 血液代謝プロファイルテストの使い方

最近、2年くらい、肉牛、乳牛の血液プロファイルに力を入れています。

主にBUN、アルブミン、γ―GT、T-CHO、NEFA、βカロチン、ビタミンA、ビタミンE、Ca、Mgを見ています。
以前はケトン体も見ていましたが、最近は見ていません。

乳牛は乾乳期からフレッシュにかけて、肉牛は繁殖親牛の各ステージ(泌乳期、妊娠維持期、分娩前)。

データがたまってくると非常に役に立ちますね。

乳牛につい

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#11 UCM的な乾乳の飼養管理のアプローチ

#11 UCM的な乾乳の飼養管理のアプローチ

私の乾乳の飼養管理をまとめてみます。

これまでのコラムに記した胎盤停滞、乳熱、ケトーシスを踏まえて。

胎盤停滞 ⇒ 乾乳期の代謝タンパクレベルアップ、バイパスコリンを給与。
乳熱 ⇒ Caレベルアップ、日光のあたる運動場で使用管理、Mg濃度も注意。
ケトーシス ⇒周産期のエネルギーとタンパクのバランスに気を付ける。肝臓をケアする。

これに加えて牛を健康に飼うためのカウコンフォートを牧場内の最

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#10 乳牛のケトーシスを人のケトジェニックを通して考える

#10 乳牛のケトーシスを人のケトジェニックを通して考える

ケトーシスについて考えてみる。

人でもケトジェニックという言葉を耳にしますが…
機序を確認します。

断食により、栄養が入って来なくなると、体は自分の体に蓄えられていた栄養分をエネルギーとして消費し始める。

この時消費されるものは、まず、グリコーゲンという糖質ですが、これは一日も持たない内に枯渇します。

次に使うのが、筋肉などに蓄えたタンパク質、これを分解して糖質の原料とします(糖新生)。(

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#9 低カルシウム血漿を人の骨粗鬆症を通して考える

#9 低カルシウム血漿を人の骨粗鬆症を通して考える

酪農における疾病の王様?
乳熱(低カルシウム血漿)について考えてみる。

胎盤停滞と乳熱。これを防げると繁殖成績も改善間違いなしですよね。

人の骨粗鬆症とは異なるかもしれませんが、これを勉強すると…

・破骨細胞(骨からCaを取り出す)と2骨芽細胞(骨にカルシウムを蓄積)の
バランスでCaの血中脳濃度を9~10mg/dℓで保っています。

確か、血中pHが7.4で、これが一番シビアにコントロール

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#7 胎盤停滞と虚弱子牛症症候群(WCS)対策

#7 胎盤停滞と虚弱子牛症症候群(WCS)対策

疾病について考えてみます。

キーワードはずばり“ストレス”です。
これを軽減出来れば、乳房炎、周産期疾病、繁殖障害、ビタミンA欠乏症などなどの疾病の発症が軽減され、生産性が向上するでしょう。

私は胎盤停滞と虚弱子牛症候群(WCS)は関係があると考えており、関連記事を探してみたところ、やはり発見しました。
私の恩師が関わっていました。

当時、先生は
「これからは牛もストレスの時代」
とおっしゃ

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#3 周産期疾病対策への基本方針

#3 周産期疾病対策への基本方針

最近、時間が出来たので生化学?の勉強をしています。

医学は獣医学よりかなり進んでいます。
暑熱による乳脂肪の低下、周産期の乳熱、ケトーシスの軽減を目指すための手法を教科書(獣医の参考書は結構信じられないかも)、実学(現場学)両面から何とかしたいと思っています。

乳熱は人の骨粗鬆症的な考え方、破骨細胞と骨芽細胞から考えてみます。
乳牛も産次を重ねるにつれて乳熱リスクが高くなるので、同じように考え

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