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親からの過保護によるアダルトチルドレン/HSP違いや共通点

最初に

非常に感受性が豊かなぶん、傷つきやすく繊細な「HSP(Highly Sensitive Person)」
HSPは「AC(Adult Children)」と似た特徴を持つため、混同されることもあります。




HSPの4つの特徴:DOESとは


D:Depth of processing(深く処理する)
O:being easily Overstimulated(過剰に刺激を受けやすい)
E:being both Emotionally and having high Empathy in particular(全体的に感情の反応が強く、特に共感能力が高い
S:being aware of Subtle Stimuli(ささいな刺激を察知する)

相手のわずかな表情の変化や声のトーンなどから「この人はいま機嫌が悪い」といったことを敏感に察知し、そのフォローに回ろうとするため、1日が終わる頃にはぐったりと疲れ果てていることもあります。

また、「物事を深く考えるために決断が遅い」「疲れると自分の殻に引きこもってしまう」といった特徴もみられます。



AC(アダルトチルドレン)とは

幼少期の虐待や不適切な教育環境によるトラウマから、自己評価が極端に低くなっており、不安感や飢餓感を持つ人のこと

HSPと同じく、医学用語ではなく、その人の特性を指す概念




タイプ別AC

ヒーロータイプ

家庭の雰囲気を壊したくないという自己防衛の気持ちから、学校で良い成績を取り続けるなど、評価してもらうために過剰に努力し続ける


ケアテイカータイプ

家庭が崩壊しないよう、自己犠牲的に家族の世話をして支え続けようとする


ピエロタイプ

家庭が暗い雰囲気になるのを避けたいがために、わざとおちゃらけたり、笑わせようとしたりして顔色を伺い続ける




HSPとACは同じ?

  • HSPとACは別の概念

  • ACの人は虐待や親からの否定的な言動、機能不全家族などの家庭環境が原因なのに対し、HSPの人は必ずしも家庭環境に問題があるわけではない

ただ、HSPの方は、ACの心性を持ち合わせている人も少なくありません。というのも、HSPの子供がHSPではない親に育てられた場合、その繊細な特性がうまく理解されず、否定的な言動を浴びることになってしまうことがあるためです。

また、HSPの親に育てられた場合も、「どうやって子育てしたらわからない」という困惑から、愛情を十分受けられないケースもあります。その結果、自己肯定感が極端に低い子供になってしまう可能性があります。




親の過保護と過干渉によるAC

何事もうまくいかないのは、親が過干渉・過保護だったからではないか。機能不全家族のもとで過干渉・過保護な親に育てられ、大人になってからも生きづらさを感じる人に「アダルトチルドレン」と呼ばれる人がいます。

この記事では親の過干渉と過保護からの心理的影響や、そこからの回復方法を説明します。過干渉・過保護な親の影響からの回復には、カウンセリングなどの支援も役立ちます。




では過干渉・過保護な親とは

過干渉・過保護な親はどんな親のことを指すのでしょうか。ここでは過干渉・過保護な親の定義や子どもの反応、過干渉・過保護の背景としての「機能不全家族」に触れ、最後に「親の愛情」との違いを説明します。



過干渉・過保護な親はどんな親?

過干渉・過保護な親とは、適度な範囲を超えて子どもに関与し影響を及ぼす親のことです。

常に子どもを気にかけて、子どものすることに口や手を出したり、子どもが自分で判断できる時期になっても子どもの判断を自分(親)の判断におきかえてしまったりします。

たとえば、子どもの宿題を途中で奪って自分でやってしまう、子どもの希望を無視して有名な学校の受験を強制する、子どもが訴える前になんでも先回りして用意する、といった振る舞いをします。さらには子どもが社会に出た後の職場や結婚後の家庭にまで口を出す場合もあります。

こういった過干渉・過保護型の親は、最も「毒親」といわれることの多い親でもあります。



過干渉・過保護な親と「良い子」

過干渉・過保護な親に育てられた子どもはしばしば、親の期待に応えようとします。

親のかける高い望みに沿おうと頑張って勉強し、親の望む大学に入る、といった例はよくみられます。

いつも成績が良くて粘りづよさもある子どもの場合、親の期待は膨らみ続け、子どもは頑張ることをやめられなくなります。

反対に、親が子どもの成熟を望まない場合、子どもは「自分では何もできない」「小さくて細い」といった子どものままでいようとすることもあります。過干渉・過保護な親の子どもは親に従順な、親にとっての「良い子」となりやすいのです。



過干渉・過保護な親と「機能不全家族」

過干渉・過保護な親の背景には「機能不全家族」と呼ばれる家族の状態があるかもしれません。

機能不全家族は、健康な機能を果たしていない家族をいいます。親の病気や両親の間の暴言・暴力、性的虐待などによって、子どもの安心や安全が脅かされている家族です。

機能不全家族には、子どもが親のケアをする親子の役割逆転や、家族のメンバーの間にプライバシーがない(境界がない)、といった特徴があります。

過干渉・過保護な親と従順な子どもの関係は、こうした機能不全家族のもとで生じている場合があります。




過干渉・過保護と「親の愛情」の違い

年齢や状況によっては親の過保護は必要とも考えられ、一概に不健全とはいえません。では過干渉・過保護と、適度な「親の愛情」は、どう違うのでしょうか。

同じ出来事が過干渉・過保護になるか「親の愛情」になるかは、親子の関係性によります。

たとえば受験勉強中の夜に親が夜食を用意した場合、子どもは「干渉」や「余計なお世話」ととらえるかもしれませんし、「ありがたい」ととらえるかもしれません。

「干渉」と感じる度合いが強ければ、子どもは親に暴力を振るうかもしれません。

親が過干渉・過保護ととらえられるのは、親子が共依存関係にあるときです。共依存関係は、いつも片方が相手を自分に依存させて、相手がもともと持っているはずの人としての能力を無視するような関係のあり方です。

依存したり、依存させたりと、その時によって役割を柔軟に変えられる関係であれば健全です。しかし、そうではなく、どちらかが一方的に相手を依存させ支配する共依存関係にあれば、それは過干渉・過保護といえるでしょう。



親からの過干渉・過保護によって生じる心理

ここでは過干渉・過保護な親をもつ子どもへの影響として心配される心理状態についてお伝えします。
過干渉・過保護な親に育てられた子どもにはさまざまな心理的影響があり、それは大人になってからの生き方や対人関係にもあらわれるといわれます。




大きすぎる、幼いナルシシズム

特に過保護な親に育てられた子どもは、大きすぎる、幼いナルシシズムを持ち続けるといわれます。

このナルシシズムは「誇大自己」とも呼ばれ、自らを神のように感じて、万能感や自己顕示性、思い通りにならないときには激しい怒りを示すことが特徴です。このナルシシズムの形は、幼い時期には誰にでもみられるものです。

通常の発達過程では、適度にナルシシズムが満たされるだけでなく、適度に挫折も味わって限界を知ることで、ナルシシズムは身の丈にあったサイズにおさまっていきます。
しかし過保護な親に育てられると、ナルシシズムはいつも満たされて限界を知る機会を失います。その結果、成人してからも大きすぎる、幼いナルシシズムが残り続けるのです。

この大きすぎる幼いナルシシズムは大きな理想を実現する力の源にもなる一方で、厳しい現実に直面したときの傷つきも大きくなる、諸刃の剣です。この傷つきやすさが社会適応を難しくすることもあります。




自己を確立できない

過干渉・過保護な親に育てられた子どもは、自己を確立しにくくなるといわれます。

通常の発達過程では、子どもの不満は満たされることも欲求不満が残ることもあります。子どもは欲求不満に苦しんだり、自己主張したりしながら自力で不満を解決する力を身につけ、自己や人格が育っていきます。

また、社会的に適切でない行動は叱られることで、家の外での人間関係もむすびやすくなります。
しかし過干渉・過保護な親に育てられた場合、子どもは親と一体化したままです。

親の欲求を取り入れて生きてきたため、大人になってからも自分自身の感情や欲求を持ちにくく、自分が何をしたいのかわからない、適度に自己主張できない、といった状態に陥りやすいのです。




他人を責めるか、自分を責める

過干渉・過保護な親に育てられた子どもは、他人を責める気持ち(他罰感情)が強いことがあります。

成長してからの就職や人間関係などがうまくいかなかったときに「うまくいかなかったのは全部親のせい」「親の判断が悪い」と親を非難したり、親に暴力を振るったりすることもあります。

一方で過干渉・過保護な親に育てられた子どもは、自分を責める気持ち(自罰感情、自責感)が強いこともあります。親の期待に応え、親の求める「いい子」を続けてきた自分がうまくいかず「いい子」の道から外れてしまったことに気づくと、罪悪感を抱えてしまうのです。

「親のせいだ」と親を責めるのは、そうしていないと自分を責めてしまうからだともいえるでしょう。

親を責めるか自分を責める、というあり方が他の人との関係にもあらわれたとき、他人を責めるか自分を責める形をとります。自責感が強すぎるときには、うつ病を発症することもあります。




人間関係がうまくいかず、自分を活かせない

上に挙げた心理状態はすべて、人間関係での困難につながる可能性があります。ナルシシズムが大きすぎて幼いと、他人に尊大な態度をとったり、傷つくと激しい怒りを表したりしやすくなります。

自己を確立できていないと、心にあるモヤモヤを適切に表せません。ようやく主張できても「自分、自分」と幼い主張の仕方となって周囲に受け入れられにくくなります。

一方的に他人を責めるか自分を責めるか、という関係のあり方も極端です。場合によっては自分を支えようとしてくれる人へも否定的に反応して傷つけてしまいます。

このように、親からの過干渉・過保護に影響された心理状態は、周囲と安定した人間関係を築きながら社会の中で自分を活かすことを難しくしかねません。


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