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思いを馳せる東京日本橋
いつだったか、夜中に車を走らせていた時に、ライトに照らされた日本橋を通り過ぎたことがあった。日本橋を目指して走っていたわけではなく、どちらかというと、ちょっと迷い込んでしまったタイミングだったので、ほんの数秒のすれ違いだったが、その情景はずっと心に残っていた。
「日本橋を撮りに行ってみよう」と思ったのは、年始に行われた箱根駅伝で、ゴール間近にある日本橋がテレビに映ったときだった。いつか撮ろうと思っていた気持ちが、不意に蘇ったのだ。純粋にそれだけの思いで、休日の早朝6時に東京駅へ降り立った。
まだ辺りは暗く、車や人通りは少ない。駅前広場も静まり返っている。皇居の方へ目を向けると、月が沈みゆくのが見え、静けさの中で心に灯りがともる。
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余韻に浸りながら振り返り、日本橋へ向けて歩き出す。途中、工事作業員に道を尋ねながら到着したが、中央にある麒麟像の前に立ち、ここが街道の起点だと思うと感慨深くなる。カメラをセットし構図を決め、空が明るくなり始めた頃、車と人が通るタイミングを避けてシャッターを切る。「かつてはここから富士山が見えたのかもしれない」と思いを馳せる。
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付近には超高層複合施設の建設や、日本橋川上空を覆っている高架橋も撤去計画があるため、きっとこの風景もどんどん変わっていくだろう。
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『地域がさらに躍進していけるように』という願いが込められた麒麟像を見ながら、周りの風景は変わってしまっても、日本橋に込められた想いは変わらないでほしいと願う。
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日本橋川上空に青空が見える頃、もう一度同じ場所で写真を撮れたらいいなと思う。そんな早朝の日本橋。