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言葉だけでは足りないものを伝えられる力が写真にはあると思う

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言葉だけでは足りないものを伝えられる力が写真にはあると思う

最近の記事

【掌編小説】それはあなたが猫のようだったから

彼女とは、ほとんど話をしたことがない。 同じ部署で働いて3年目になるのに。 彼女は、誰とでも気さくに 話しができるようなタイプでは なさそうな感じだったが、 同僚とは何気ない話をしているし、 どちらかといえば 明るく振る舞っているように見えた。 でも胸の内は見せていないように 感じていたし、私に対しても同じだった。 ある時、2人で話すタイミングがあり、 仕事の取り組み方や進め方など できることが増えてきていたので 「色々とできるようになってきたね」と そのことを伝え

    • 山梨県北杜市の風景

      「何か新しいものに触れたい」と思う時に、 カメラを持って旅に出かけることが多い。 それはほんの1日、半日でもかまわなくて、 気分転換というよりは、自分にとって 必要な時間。という意味合いの方が強い。 レンズの先にある時間を、瞬間に変える。 のどかな風景に心を和ませる。 水の音を聞きながら、 移り変わる流れの形を見つめる。 自然は何か問いかけてくれるわけではなくて、 ただそこにある。 でも自分の心が満たされ 変わっていくのが分かる。 触れることで気付くこと。 見る

      • 素直にやってみた ぺんた栞の使い方

        本を購入したら、間に挟まっていたので 特に意識もせず いつも通りの栞として使っていた。 本が読み終わって栞を抜き取ると 可愛らしいペンギンのイラストに気付く。 あらためて見てみると ぺんた栞の使い方 『ななめに挟んで写真を撮ってねぇ〜!』 と書いてある。 普段なら素通りするところだったが、 素直にやってみることにする。 ななめに挟んで写真に撮ると、 何か変わって見えるのかな。 と思ったが そんなこともなかった。 「この栞はなんのためのもの?」 と使い道がわからな

        • 自分のペース 自然のリズム

          足もとしか見えない暗闇の中で 登り始める。 苦しくなったら立ち止まって息を整え 落ち着いたらまた登る。 それを何度も繰り返し 少しずつ、少しずつ目的地を目指す。 慌てずに自分のペースで。 静まり返った中で聞こえるのは 自分の呼吸の音 心臓の動く音 足を踏み込む音 それから音のない音 シーンとした音も耳に入ってくる。 まわりの風景が変わっていき 一歩一歩進んでいることを実感する。 東の空がうっすらと明るくなるにつれ 視界がひらけてくる。 鳥の鳴き声が聞こえ 遠くで

          紙幣の肖像に『大谷翔平』が採用されることになる日は来るのか?

          いつだったか長女と次女と 3人で話をしているときに 新しいお札の肖像が 話題になった。 最初は「まだなんか馴染めないよね」とか 「何をした人かわからないよね」とか そんなたわいのない 会話だったと思う。 不意に「私たちが歳を取った時の お札の肖像って誰になると思う?」 と話が変わり 誰がいいかなと思案し始めた。 いろいろおもしろおかしく 人物像を出していた時に 「大谷翔平とかもありじゃない?」 と言われ「お〜なるほど」と思ってしまった。 私には思い浮かばなかっ

          紙幣の肖像に『大谷翔平』が採用されることになる日は来るのか?

          「あっ」と言うまもなく心惹かれた アルフォンス・ミュシャの版画

          何度となく目にしたことがあったのに なんとなく気にはなっていたのに なぜか一度も見に出かけたことがなかった ミュシャの版画。 先日府中市美術館で開催されている 『アルフォンス・ミュシャ ふたつの世界』で 実際に目にすることができたのだが 「あっ」と言うまもなく 心が惹かれてしまった。 見ているとやはり描かれている女性に 目が奪われやすいが 実際目にしてみるとミュシャの版画は それだけではないことを実感できる。 *展示品の写真撮影は禁止されていたので  記事の写真は

          「あっ」と言うまもなく心惹かれた アルフォンス・ミュシャの版画

          ナースの卯月に視えるもの『思い残し』

          noteを見ていてなんとなく クリックした記事。 そこには創作大賞、応募、受賞、デビューと 身近な言葉ではなかったけれど 1冊の本についての対談だった。 確かその数日後のことだったと思う。 いつもの本屋へ寄ると 見覚えのある表紙が目に飛び込んできた。 「あっ noteの記事に載ってた本だ」 きっと記事を読んでいなければ 素通りしていたと思う。 これも「なにかの縁かな」と思い手に取る。 『思い残し』 ありすぎて困る。 やり直したいことなんて いっぱいある。

          ナースの卯月に視えるもの『思い残し』

          それは『ケチャップは平気だけどトマトは苦手』という感覚だろうか?

          「おとーさーん」 次女の声が聞こえる 分かっている。 これは助けてほしい時の呼び方 「助けてほしいみたいよ」 妻からも声がかかる なんだか人ごとのような声 「はいこれ」とハエ叩きを渡される。 分かっている。 黒くてすばやいものが 部屋をうろついているのだ。 部屋を覗くと椅子の上で足を抱え込み 微動だにしない次女がいる。 「そこの下に入っていった」 それだけ言うと黙り込む。 下を覗いてみても見当たらない。 仕方なく物をどかす。 「いた!」壁に張り付いている。 「

          それは『ケチャップは平気だけどトマトは苦手』という感覚だろうか?

          『ビヤホールライオン銀座七丁目店』内装の美しさ

          銀座とかビヤホールとかには 縁のない生活をしているが 90年前に建てられた内装のほとんどは 創建当時のまま残っている。 国の登録有形文化財に登録されている。 との言葉に心誘われ 開店と同時に訪れてみた。 『天下一の建物に 後世まで残る日本を代表するビヤホールに』 との思いが込められ作られた空間で 『豊穣と収穫』がコンセプトの内装は 見ていてその思いが伝わってくる。 ビール麦をつくる人たちへの感謝の意味がある ガラスモザイクの壁画 ビールの泡や葡萄を モチーフと

          『ビヤホールライオン銀座七丁目店』内装の美しさ

          頑張りがカッコいい

          先日久しぶりに家に帰ってきた 長女と顔を合わせた。 遊びに出かけて 帰ってこなかったわけではなく 今年の4月から就職をして ひとり暮らしを始めている。 ふと指を見ると とても荒れている 「私だけじゃなくて 始めはみんなそうなるんだ」 と話してくれた顔の表情から 努力している姿が目に浮かぶ。 と同時にあんなにきれいだった指が 荒れてしまっていて ちょっと複雑な気分にも なってしまう。 「がんばって」という気持ちと 「がんばりすぎるなよ」という気持ちが 入り混じる

          頑張りがカッコいい

          自然の風景にきっと助けられている

          「気持ちの切り替え方がうまくないな」 と自分でも思う。 自然の中で深呼吸して 静かな時間を楽しむ。 ということをしたくて ここに来たのに こういう時に限って 楽しかったことではなく 気になっていることばかり 思い出してしまう。 あれこれ考えが巡ってしまうけれど 不思議と心は落ち着いている。 「忘れられる」のではなく 「気持ちを振り返ってみれる」 そんな時間になっている。 『自然の癒し』との ひとことではない 何かのチカラがありそうだけれど 理由を知りたいわけ

          自然の風景にきっと助けられている

          雑談の重要性

          先日会社でコミュニケーション講座が 開かれるとの連絡があり早速申し込んだ。 私はコミュニケーションが上手 とは言えないと思っているので このような講座があるのは とてもありがたく これも仕事のひとつとして オンラインで参加した。 講師+自分を含め 6名でチームを組み テーマに沿って意見を 伝える流れで進んでいく その中で仕事をする上での 信頼関係をどう築くか というテーマがあり コミュニケーションのやり方について 考えさせられた出来事があった。 挨拶は自分から

          雑談の重要性

          星空を眺めに

          「星空を見たい」と 次女がそう言っていたのを思い出す。 家の外からでも点々と 星は見えるが 見たいのはそういうのではない ということぐらいはわかっている。 明日はお互い休みだったので 「今晩星空を見に行ってみる?」と誘う 「お父さんと行きたくて 言ったわけじゃないから」 と言われるかと心配したが 「いいよ」との返事。 「夜のドライブって好き」と言われて 日付が変わるごろに出発 よく行っていた富士山の 御殿場口登山道まで車を走らす。 「ちょっと登ってみる?」と聞

          星空を眺めに

          角川武蔵野ミュージアム『モネ イマーシブ・ジャーニー 僕が見た光』

          埼玉県所沢市にある 角川武蔵野ミュージアムの 1階グランドギャラリーにて 体感型デジタルアート劇場第4弾 『モネ イマーシブ・ジャーニー 僕が見た光』 が公開されており モネがどのような 情景を見ていて 流れる時間を どう切り取ったのか その追体験をしたくて 先日訪れた。 ここはアートと物語を全身で浴びる 没入(イマーシブ)体験できる空間があり 映像と音楽で美術館とは違った 時間を共有することができる。 モネが描いた絵が動き出し 足跡を回想する。 その中でも印

          角川武蔵野ミュージアム『モネ イマーシブ・ジャーニー 僕が見た光』

          龍虎山 空を行く雲 流れる水

          立秋を過ぎ 暦の上では秋となるけれど 外に出る元気を 削ぐような暑さが続いている。 中国の江西省にある 龍虎山を訪れた時も そんな時だったように思う。 高速鉄道とバスを乗り継いで カメラを持ってひたすら歩く ひとりで自由に 風景の広大さの前で 立ち止まっていたら ひとりであることを実感して でも寂しくはなくて それがなんだが 大切な時間のように思えて あれこれ考えていることとは うらはらに 夕日に照らされた山がきれいで 時間の流れを思い シャッターを切る

          龍虎山 空を行く雲 流れる水

          「あなたのための短歌集 」でも誰かのためにもなる短歌

          「あなたのための短歌集」は 歌人の木下龍也さんによる 短歌の個人販売 「あなたのための短歌1首」で 生まれた100首を収録したもので これは依頼者からの想いをもとに 短歌をつくり 封書にして届けたものが ベースになっている。 パラパラとページをめくった瞬間に 言葉が心に飛び込んでくる 自分自身の経験と 重なっているわけでもないのに 言葉から情景が目に浮かぶ 心が震え気持ちが救われる その人の想いが 言葉で溢れている 自分の想いを 短歌にするのではなく 誰かの

          「あなたのための短歌集 」でも誰かのためにもなる短歌