社会人/20代前半前半/ラジオと料理とカメラが好き

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最近の記事

絶対ではないけれど〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

玉ねぎは世界を救うと思っている、食材界の。とりあえず入れておけばカサ増しになり、それなりに甘みもあり、なにより価格は安定していて万能野菜の一つではないだろうか。 そんな玉ねぎにも花言葉があるようで、環境を問わず適応し育つため、その強さから「不死、不滅」と言われている。 とはいえ切ると涙が出るのは難点で、どうやら万能とは断言できないみたいだ。 どんな花も散りゆくように、命には果てがある。絶対は絶対にないが、それもまた絶対ではない。知らんけど。 寿命と言う名の下り坂でも、花

    • 少しあたたかくなれた気がする〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

      少し寒くなってきた気がする。 カフェでアイスコーヒーを注文した際に、店員さんからアイスで良いか再度確認されるくらいには寒くなってきている。 猫舌なもので、暑さはもちろん熱いのも苦手なのだ。猫の手ほどの貸せる力もないし、いつかの貴方みたいに首筋を撫でてくれる人もいない。 缶コーヒーではなくわざわざ1杯700円のそれにするのは、少しでも誰かに触れないとどうにかなりそうな気がするからか。 日の入りから数時間経つ夜道をトテトテと歩く。 今日も半額弁当か、はたまた栄養補助食品か

      • 右向け右でも目線は空へ/「先生」の違和感〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

        学生時代からちょっと変わったタイプだった。主観で「ちょっと」ならば客観では「かなり」変わっていたのかもしれない。具体的な話は省くが、クラスで浮いていたことは確かだ。 それも社会になると個性的だと捉えられるようになった。 とはいえ何をするにしても常識やマナー、基礎基本は固めるべきだ。 その上で自身の価値観を築いているつもり、守破離は普段から意識しているつもりである。 最近は専ら「離」ばかりで、周囲からユニークと捉えられることもあれば、いい加減だとされる時もあるが。 指導者に

        • 気力2割の盆の歯科〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          盆とは知らずに仕事の日々が続き、1週間ぶりの日曜日に歯医者で親知らずを抜いた。 僅か1時間後に、抜歯部位を避けビールでラーメンを流し込む。 歯茎にアルコールが染み渡り、豚骨と赤血球の味を感じながら処方薬を飲んだ。 呑みたいけれども日曜日はバーが休日であり、夏バテか、はたまた晩夏の焦燥感を脱するべくスーパーで食材を買う。 夏の終わりを迎える中で帰省出来なかった若干の罪悪感を持ち、所持金の少ない財布の中身を見つめた向こうには灰色の積乱雲が広がっていた。 どういう訳か太陽

        • 絶対ではないけれど〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

        • 少しあたたかくなれた気がする〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

        • 右向け右でも目線は空へ/「先生」の違和感〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

        • 気力2割の盆の歯科〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          瑠璃色薊にまとわれて〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          「独り立ち」、「傷つく心」 ___。瑠璃色薊(アザミ)の花言葉だ。一つだけ花を咲かせ、小さなボール形の花が棘(トゲ)状になっている。 時折、夜明けとともに目覚めることがある。 青かった私達には、ハリネズミのように棘を立てて、丸まっては周囲を寄せつけない時期があった。 それは自己が確立し、カゴの中から自由へと駆け抜けていく瞬間だったのかもしれない。 ボールが転がるままに身を任せ、安んずる所では棘を寝かせる。 闇を恐れず若いがゆえに夜を駆け抜け、いつの間にか夜明けが来ていた

          瑠璃色薊にまとわれて〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          メロンクリームソーダ〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          「私、浮気をしたんです。」 その人はおもむろに呟いた。 聞くところによると、当時のパートナーは束縛癖が強く、他の人に頼っていたらしい。 きっと「愛」というのは名ばかりで、「哀(あい)」を覆い隠していたのだろう。 喫茶店にあるメロンクリームソーダのようなものかもしれない。 通常はメロンソーダへ徐々にアイスが溶けてゆくと、どこか懐かしい味がする。 実際はメロンの味がしない人工甘味料と着色料がふんだんに使われ、氷やホイップクリームでかさ増ししてから少量のアイスクリームをの

          メロンクリームソーダ〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          朝まで酒を飲んだ日のこと〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          時折眠りについてから無呼吸になったり悪夢をみてしまう。1人が怖いのか、夜を恐れているのか、朝が来てほしくないのか。理由はわからない。無理に寝ないように努め、自然とおさまるのを待つ。 あまりよくないがグラス一杯の酒を飲むと寝つきがよくなる気がする。夜通し飲み続けこともそれなりにある。どうやら酒には強い方らしい。夕方から朝まで10杯近く呑んでも頭はハッキリしているし真っ直ぐ歩ける。いっそのこと記憶がなくなるまで酔い潰れ、気がついたら歩道のゴミ捨て場に横たわり朝を迎えていればいい

          朝まで酒を飲んだ日のこと〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          折り畳み傘 〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          コンビニの折り畳み傘がとても楽しい。 ボタンを押したら勝手に伸びてシュバッと開く。 また押したらシュバッと閉じる。 好きすぎて無駄に押してるし晴れてても傘をさしている。当然ながら、雨と日差しを防げて便利だ。 嫌なことも全部傘で防げたらいいのに。前に傾ければ見てみぬふりができる。軽く揺らせば振り落とすこともできる。 でも風邪がふけばコウモリ傘になって、どんどん水が溜まっていく。よく拭かないと黒い雨染みが残ってしまう。 頭は濡れなくても荷物は防げないし、ズボンも靴もダメ

          折り畳み傘 〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          アイスコーヒーができる頃に〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          確か秋の初め頃だったと思う。休日に散策していると、空き家だった場所にカフェができていた。立て看板にはどこにでもあるようなお馴染みのメニュー、内装は5名程度の座席。特段予定があるわけでもないので入ってみることにした。 誰もいない店内にドアベルが響き、ジャズが流れる。アイスコーヒーを注文したが、まだ試作段階でホットしかないとのこと。猫舌だが、一度入ってしまったのでホットを注文した。「すみません」と申し訳なさそうに謝られる。まだ慣れていないのかコーヒー豆を床に落とし、また謝られた

          アイスコーヒーができる頃に〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          憧れの人・独創と独走〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          あの人は今でも憧れの人だ。 10年近く経っても初めて話した日のことを鮮明に覚えている。異彩な雰囲気を放っていた。誰とでも仲が良く、普段から口角が少し上がっていて、勉強もスポーツも万能。誰もが認めるリーダーシップのある人だった。私は慣れていたので適当に流していたが、軽いいじめの標的にされていた時もすぐに声をかけてくれた。 いつからだろう、嫉妬するようになったのは。トラブルが起きても決して怒りの表情は見せず、少し困り顔で周囲に頼っていた。壁を段差のように捉え、階段を4段とばし

          憧れの人・独創と独走〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          もう春?〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          気づいたら2月も終盤に差し掛かろうとしている。気持ちとしてはまだ1月中旬なんだが。「1年って早いなぁ」と感じるのはまだ早いか。 タートルネックはいつしまおう、羽毛布団はまだいるかな、セーターはさすがに要らないだろう。とはいえ急に寒の戻りに遭遇したり雨と晴れの周期を繰り返したりする。けれども一雨ごとに春が近づくと言うし、晴れた日のありがたみを知るためにも雨が必要なのかもしれない。 気の早いウグイスが鳴いていた。名前の知らない花や実が咲いていた。鍋物が減って春野菜を市場で見か

          もう春?〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          厄祓いに行ってきた〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          前回の投稿は9月。気づいたら4ヵ月経っていた。 昨年は色々ありすぎた。ありすぎてあまり思い出したくない。 大晦日にテレビで特番をみながら何気に調べたら、昨年は厄年だったらしい。まじか、道理で色々あったわけだ。 今年は後厄で、厄除けは2月3日までにしてもらうのがいいらしい。まじか、早速行かねば。 電話して、仕事終わりに行ってきた。この町でも雪吹雪が激しい夜だった。とまぁなんだかんだありまして、初めてだったものだからこんなものなのかと思いながら厄祓いを終えた。 滅多にしないお

          厄祓いに行ってきた〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉

          どこに行き、誰と会おう(コップ一杯の夢と適量のノンフィクション)

          数年前に「絶対呑みに行きましょうね」と言ってた後輩とは未だに行けてないし、親友だと思ってた人とのメールは2年経っても未読のままだ。ある人には3回ほど誘いのメッセージを送ったあたりで遂には既読無視されてしまった。社交辞令だと分かってたしSNSの投稿を見る限り幸せそうな日々を送っているみたいだから、まあいいのか。無表情でイイネを押しておく。 「またいつか」なんて実現するのは難しく、「じゃあいつにしよう」と聞くと難色を示される。だったらこちらから会いたい人に会いに行く。学校は最大

          どこに行き、誰と会おう(コップ一杯の夢と適量のノンフィクション)

          夏バテ(コップ一杯の夢と適量のノンフィクション)

          夏バテになった。スーパーの割引パンを惰性で買うようになったからずいぶん堕ちてるとは思う。だけどアルコールやセフレには頼りたくない。熱帯夜に見るドロドロした夢のような時間は過ごしたくないのである。 オクラや納豆みたいなネバネバしたものやカレーが効くらしいが、作るのは面倒くさいし買うには値段が高い。こりゃあ重度の夏バテだな。起きてから着替えることすら忘れ、Tシャツとステテコのままで日中を過ごす。朝食も食べずにアテもなくブラブラする。 今年の夏も何も無かったな…。ふと砂浜が目に

          夏バテ(コップ一杯の夢と適量のノンフィクション)

          夏トマト(コップ一杯の夢と適量のノンフィクション)

          学生時代の夏にはやはりプールが定番なのだろうか。濡れたアスファルトに太陽が照りつけ、熱気と少し焼けた匂いがする。体育の後には軋んだ髪の毛に残る塩素の香りが充満した教室で、気怠げに授業を受けた頃を思い出す。あの瞬間の感情は一言では言い表せない。 夏休みの宿題は最後の日まで残っていた。でも大人になってからは毎日が実技試験で、毎晩が試験前日だからあの時遊んでおいてよかった気もする。 今となっては海に向かって無邪気に叫ぶこともなく、青空にはカキ氷の様な入道雲が浮かんでいる。ラムネ

          夏トマト(コップ一杯の夢と適量のノンフィクション)

          過去の私、今そしてこれからの私 (コップ一杯の夢と適量のノンフィクション)

          今の私は十年前に思い描いた自分だろうかと、時々考える。小中学生の頃の授業で未来の自分に向けた手紙を書いた。いや、書かされたと言ったほうがいいか。あの手紙はどこにいっただろうか、何と書いたかは忘れてしまった。 今日の夕食ですら、明日どうなっているかすら分からないというのに、十年後のことなんて尚更だ。それなりの職に就いて、それなりの年齢で出会いがあり、家族や友達付き合いが充実した人並みの幸せがあると思っていた。いや、もちろん今は幸せだし、今までの人生で最も楽しんでいると言っても

          過去の私、今そしてこれからの私 (コップ一杯の夢と適量のノンフィクション)