気力2割の盆の歯科〈コップ一杯の夢と適量のノンフィクション〉
盆とは知らずに仕事の日々が続き、1週間ぶりの日曜日に歯医者で親知らずを抜いた。
僅か1時間後に、抜歯部位を避けビールでラーメンを流し込む。
歯茎にアルコールが染み渡り、豚骨と赤血球の味を感じながら処方薬を飲んだ。
呑みたいけれども日曜日はバーが休日であり、夏バテか、はたまた晩夏の焦燥感を脱するべくスーパーで食材を買う。
夏の終わりを迎える中で帰省出来なかった若干の罪悪感を持ち、所持金の少ない財布の中身を見つめた向こうには灰色の積乱雲が広がっていた。
どういう訳か太陽には好かれているようで、たいてい帰宅した頃に雨が降り出す。
バーが定休日という現実を受け入れつつ、作った弁当は茶色く彩りがなかった。
カットネギでも買えばよかったが、黄色いかぼちゃがあったのはせめてもの救いだ。
気力2割で作るご飯で明日もどうにか乗り越えていく。