「なろう系以外」の『隠れた面白いWEB小説』を高確率で拾い上げる究極のスコップ方法
意外とやってみると、作品を掘り出すこと自体が結構楽しかったりする。
作者としても勉強になったりするかもしれない。
「なろう系は嫌いじゃないけど、いい加減ちょっと飽きてきた。たまには違う雰囲気の作品をガッツリ最後まで読んでみたい」
そう思った画面の前のあなたも、試しに一回だけやってみよう。
見つけ出せ、究極の名作。
・具体的なやり方
①まず、以下のURLにアクセスする
検索状態は既にある程度整っているので、①ポイント帯と②検索ワードを入力し、③ジャンルを指定したりして検索をかけてから作品をさらに抽出する(やり方は後述)。
※入力するポイント帯について
4~3000ptがおすすめ。この辺りに埋まっている作品が集まっている。
ぶっちゃけ、3000~5000も気になるが、そこまでいくともはやポイント分布的にはジャンルによっては既に有名というか、非なろう系作品的な目線ならば埋もれているとは到底言いづらく。他のユーザーがスコップしている可能性が高い。(特に過去に連載されていた作品ならまだしも、ここ数年で高ポイントになっている作品は歪な環境である程度打ち上がる性質を持っている作品なのでむしろ高ポイントの方が信用できない)
加えて、この方法は総合ポイント/ブクマ数の計算式を使う関係で人気作になればなるほど精度が落ちる(ポイントの割合が増えると流れてくるユーザーの母数が指数関数的に増えていき、好みでなくとも人気そうだからとりあえず評価する、とりあえずブクマするユーザーの割合がかなり増える)ため上限を3000ptにさせてもらった。
体感でしかないが、ポイントごとにスコップを繰り返していたら以下のような特徴があった。検索するポイント帯を決定する時の参考にしてほしい。
※基本的に、今回の探し方はポイントを使って計算する要素が大きいので、ポイントの全体数が低ければ低いほど良作を掘り出せる率も低下する。
(しかし、声を大にして言いたいが、低ポイント=100%駄作というわけでは決してない)
・ 4-300ポイント帯
70000字以上とはいえ低ポイント故に作品数も膨大。
ミステリーやホラーなどのなろう系とは程遠い文体のマイナージャンルが光るポイント帯でもある。これらのマイナージャンルでは商業で出版されていてもおかしくないような作品が転がっていることも普通にあるので侮れない。
同時に、なろうの人気ジャンルでこのポイント帯だとやはり当たり外れが大きいと感じた。これらのジャンルにとっては、僅かな黄金と大量のガラクタが見つかる。ハイリスクハイリターンのポイント帯と言える。
(人気ジャンルを探す場合上級者向けで忍耐を要する。実際熟練のスコッパーはこの辺りを徘徊していることが多いと聞く)
・300-1000ポイント帯
非なろう系のマイナージャンル作品は、このポイント帯に行っていたら既に最上位クラスの有名作品となっている節がある。ちょっと手直しをすればそのまま文庫で販売されていてもおかしくないレベルの作品が眠っている。
なろうの人気ジャンルでこの辺りにいる非なろう系作品の場合、とにかく癖が強く、試作品的な物が多い印象。
中級者向け。
・1000-3000ポイント帯
スコップ初心者向け、300-1000よりは安定感がある。(その代わり、マイナージャンルによっては作品自体が見つからないこともある)
人気ジャンルでありながら短文タイトルだったり、長文タイトルでも内容がよくわからない作品の場合、このポイント帯ではかなり期待できる。しかし同時にこのポイント帯特有の罠もある。
作者ページに行くと有名ななろう系作品を執筆してたりして(筆者主観だが)大して面白くもないのに作者の人気作から読者が流れて作者読みされて固定層からポイントをもらっているだけのパターンがかなり多かった。(また、外伝や設定資料集など。他の人気作品から固定層の読者が流れているパターンもあるので注意)
逆に総合ポイントが低いマイナー名作だけで淡々と勝負を続けるようなモンスターユーザーが名作を埋めているのもこの層な印象。
ポイント帯を設定したら、作品一覧を見てみよう。
②検索をかけた後、以下の項目に気をつけて「目視」で作品を抽出する
1.作品内容を直接説明しているようなタイトルの作品を排除。
2.一話の平均文字数が3000文字以下の作品を排除。
3.ブックマーク件数に対して、総合評価ポイントが低い作品を(自分で計算して)排除。(総合評価ポイント÷ブクマ件数 の数字が低い作品はクリックしない。ただし例外もある、詳しくは後述)
4.読者の平均評価が低い作品を排除。
③条件が合致した好みの作品を発見したら、あらすじを読む
あらすじで過剰なまでに自作の宣伝をしている場合、その作品は読む価値が全くないのでブラバして問題ない。ぶっちゃけ、作者ごとミュートしても良いレベル。
また、作者がTwitterで過剰な宣伝をしつつ、3つ以上のサイトで同時並行で連載しているような作品はガワが良いだけで中身が伴っていないことが多い。
過剰な宣伝をしていない場合でも――
「他サイトで掲載中」
「作品を再掲載、(もしくは)リメイクしました」
といったような文言があるかどうかを確認する。
そういった文言がないことが確認できたら作者ページに移動する。
そういった文言が確認できたら警戒しつつ作者ページに移動する。
④(作品を読む前に、必ず)作者のページに飛ぶ
この時、作者が他に投稿している作品を必ず確認し、いかにもなタイトルで読者を引っ張るようななろう系作品を大量に投稿していたり、なろう系作品でランキングに入って高ポイントを稼いでいたり、書籍化しているような作者なら作品を読まずに戻って検索一覧を再び物色する。
以降②、③、④を繰り返して作品をストックしていく。
選別した作品を実際に見て、良いものがどれだけ掘り出せたかを確認する。
以上、手順説明終了。
検索設定を変更した場合、URLを短縮したりなどしてメモ帳などに控えておくと良い。次回検索時に即座に再開できる。
※この記事のやり方は、非なろう系の恋愛作品と掲載年度が2014年以前の非なろう系作品がヒットしないため注意。
また、掲載年月日の日付は常に最新の状態になっているというわけではないので各自で変更してもらいたい。
・何を根拠にこのような検索をしたのかを解説
大雑把に説明すると、除外ワードを入れて、文字数とポイントを指定した上で検索をかけて、なろう系作品を排除。
そこからさらに総合ポイント/ブクマ件数の割合と高評価作品を抽出し、作品タイトルとあらすじ、作者情報から、検索した作品がなろう系であったり低品質の作品である可能性を目視で取っ払っているというだけだ。
この検索方法は「作品をきちんと読んだユーザーの評価が高い作品」にフォーカスを当てている。
もちろんこのやり方が絶対的なものであるわけでは決してないし、穴もあるだろうが個人的に非なろう系を読む目的ならかなり掘れたので今回紹介させてもらった。
この記事を読んだ上で、自分なりの掘り方を模索するのも良いと思う。
また、このやり方では拾えない作品もあるので後述。
・検索除外ワードについての説明
今回の検索方法で除外したワードについて、除外ワードに入れた理由を説明する。
除外検索は入れられるワード数に上限があるため、一つの単語で極力多くのなろう系作品を排除できる要素を優先して入れている。
さらに検索結果を絞る単語は存在しているが、概ね他の除外ワードと重複していたので入れていない。(例:女奴隷、ロリ、幼女などの世間一般的な価値観では気持ち悪いとされるような単語はハーレム、チートなどの単語で概ね排除される等)
以下、除外ワードと除外した理由を掲載。
・書籍
既に書籍化しているような作品はスコップの必要がないため。
(書籍という物体をテーマにした作品はヒットしなくなるので注意。といってもごくごく少数であり、ほとんどは書籍化の宣伝だった)
・最強 無双 勘違い ご都合 ざまぁ チート ハーレム ハッピーエンド 成り上
そもそもこんな砕けたワードをタグやあらすじにつけて堂々とプッシュして内容のネタバレをしているような作品がなろう系でないわけがないという考えに基づいて除外した。
なろう系でない作品の場合、こういった作品内容のネタバレになりうるような主張の強い単語を、わざわざタグに入れない傾向が強い。(これはなろう系に対する批判とかではなく、事実そういった傾向が強い。逆にこれらのワードを妥協してしまうと作品の数が膨大になってしまう)
また、もしも上記のような描写や概念が作中に存在していたとしても、力量のある作者なら自分の筆力を使って本文中にこれらの概念を丁寧に表現しようとする傾向が強い。
(尚、バッドエンドはそもそもタグにつけるだけでデメリットなのかつけているユーザーは見当たらずほとんど検索に引っかからなかったので除外ワードには入れなかった)
・婚約 恋 ラブコメ
今回の検索方法では恋愛要素がある作品で良い物を中々引っ張り出せないことが多く。説明不足なだけのなろう系テンプレが多数ヒットした。(筆者の感性がおかしいだけかもしれないが)
理由は不明だが、恋愛要素がある作品は女性読者が多く。女性読者は男性よりも低いボーダーで加点をする頻度が高いからなのかもしれない。
(どんな作品でもそうだが、気軽にブクマを入れたり評価点を入れるユーザーの母数が多くなればなるほど、作品の良し悪しを正しく判断するのが困難になる)
今回、恋愛関連から掘るのを諦め、これらのワードは丸々除外した。
恋愛要素のある作品を探す場合は別の方法をお勧めする。
・「・・・」「~」「!」「?」
・・・はあらすじに…を使っていないユーザーを弾くため。
小説としての暗黙のルールは必ず守らなければいけないというわけではないが、作者に熱意や知識があって推敲が繰り返されている作品のあらすじには大体三点リーダーがきちんと使われていることが多い。
~ ! ? はあらすじに登場人物の台詞や感嘆詞を入れるような作者の作品を弾く意図がある。この三つが入っている作品はインパクト重視のなろう系であることが多い。
(ただし、「」、はどんな作品でも固有名詞を説明する際に使われることがあるので除外対象にしていない)
また、「~」は説明口調のサブタイトル除外も兼ねている。
(ただし、! ? ~ を入れても作品が除外ができていないことが本家サイトでもたまにあった。これは本家なろうのバグ、もしくは仕様なのかも)
・その他好みで除外する単語など
ほのぼの シリアス ボーイズラブ ガールズラブ
(このURLでは排除するようになっていないのでご安心を)
これらの要素は主張が強いわけではないが、検索するユーザーの好みによっては肌に合っていないことがあるので各自で除外欄に追加してほしい。
・会話率50%以下についての説明
なろうの会話率平均値は30後半から40前後らしい。
ちなみに行詰めのライトノベルが31.7%、一般小説が29.8%ほど。
70%以上はほぼSSのような内容で、会話が増えれば増えるほど地の文や情景描写が減っていくのがWeb小説はフォーマットとして会話の率が高くなる傾向があるので足切りとして中央の50%(40%代まで容認するという意図)で検索している。
より地の文や情景描写が多い作品を好むのなら数字を下げて検索してみよう。
逆に言えば、スピーディに作品を読みたいとか、情景描写の多い作品を足切りしたい場合は会話率を50%以上で絞って検索すると良いかもしれない。
・全体の文字数が70000字以上についての説明
小説家になろうでは短編の最大文字数が7万字なので、それを満たしていないような作品を一旦全部弾いた。
文字数少な目で検索すると、序盤のテンプレ展開で点数を稼いでいる作品が多数ヒットしてしまったためだ。
残念ながら、今回の方法では短編の良し悪しを判別するのは困難と言わざるを得ない。
・掲載年度が2014年以降についての説明
掲載年度が昔の作品はなろう系が大暴走する前の平和な時代であるため、激戦区である現代と比較するとなろう系ではない作品に対する評価が全体的に甘いと感じることがスコップしていて多かった。(主観ではあるが、昔であればあるほど甘い印象)
とはいえ過去に名作がないと断言しているわけではなく。(ヒット数が膨大な故に)検索数を減らす意図もある。
これ以前の名作を探したい場合は年月の部分を自分で弄るか、別の検索方法をお勧めする。
以上で検索条件の説明は終了となる。
・検索後の目視での作品除外についての解説
①内容や結末を直接説明するようなタイトルは排除する
非なろう系の面白い作品をスコップする目的ならこのような作品は読まなくて良い。(というか、作品が多すぎていちいち拾っていられない)
サブタイトルがついていても、くどくどと作品内容や展開を直接タイトルで説明しているようなら躊躇なく弾くことをお勧めする。
また、タイトルが短くても物語の内容や結末を直接説明しているような作品も排除する。
例:「いずれ天下無敵の王族騎士」
「無自覚だけど実力者になりました」
「僕を左遷した人、必ず後悔するよ」
等。
また、逆にタイトルが長いがタイトルを読んだだけでは何が起きるのか、どのような作品なのかがさっぱりわからないような作品は拾い上げても意外と問題ないと感じることがスコップをしていて非常に多かった。
例:「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」
「追放された挙句に充実していたはずの人生は世界の全てを理解した結果、無限の崩壊を繰り返すことが確定してしまったという夢を見た」
「見見見見見見見見見見、故件件件件件件件件件件件件、故剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣、故賢賢賢賢賢賢賢賢賢、故建建建建建建建建建建」
等。
(ふざけているように見えるかもしれないが、こういう条件下で選別を生き残ったこのようなタイトルの作品は最初からなろう上で作品を飾り立てる行為を完全に諦めた上で内容勝負で高評価を受けているということになるので、内容自体は割としっかりしていることが多い。読者との相性は出るかもしれないが…)
②一話の平均文字数が3000字以下なら排除する
一話平均文字数が3000字以下なら、ほぼ100%なろう系作品である。
なろう系でなかったとしてもWEB小説の形式に迎合している作品である可能性が高いので弾いてしまって良いと判断した。
(ただし、意図的に短編を多く綴っているような短編集、エッセイ集は例外にした方が良いかもしれない)
文字数が多ければ多いほど良いというわけではないが、なろうは一話文字数が多ければ多いほどユーザーが離れていく傾向にあるので平均文字数が多くて他の条件にきっちり合致する作品ならそれなりに期待できる傾向にある。
③ブクマの数に対して、評価ポイントが低い作品は排除する
総合ポイント/ブックマーク数の割合が低い作品はある程度の部分まで読んだユーザーの評価が低い可能性が高い。(低評価、もしくは評価をつけないでブクマの隅に作品が放置された等)
これが2~2.3くらいだと注目度重視のなろう系作品であることが多く、本当に期待できない。
逆にここが2.7~くらいならそれなりに期待できるし、3を超えているようならまず間違いなくある程度作品を読み切ったユーザーには刺さっている作品ということ。
これが4を超えている作品は何度もスコップされているがなろうのランキングを愛好するユーザーに好まれず打ち上がらなかったり。何作も完結をしていて、根強い固定層がいるような作者であることが多い。
(ただし、なろう系作品を執筆してランキング層に人気を博している作者が、「作者読み」によって固定読者から高評価を得ているだけの場合があるので、作者の他の投稿作品は必ず確認しよう)
・作品を見つけた後のあらすじについての注意点
過剰に自作の宣伝をしまくっている作品は内容で勝負する気概に欠けているのでどれだけ総合評価点/ブクマの割合が高かろうと、その時点で読む価値が無いと判断して良い。このような宣伝を行う作者はなろう系ランカー作者の作者読み現象と同じで、作品の内容ではなく盤外戦術に頼っている節は否めない。
あらすじなどで他作の宣伝や合作のアピールをしていたり、『他サイトでも掲載中』といった文言が入っている作品も要注意。
他サイトに掲載しているということは、別の場所から既存の固定読者を直接引っ張ってきている可能性が高いため評価割合が高くなりがち。(とはいえ他サイトに掲載しただけで排除しろというのは流石に暴論すぎる上に、自作と相性の良いサイトを探すためにマルチ投稿をする作者の心情は理解できるのであくまで注意するに留めた)
他サイトにも掲載されている作品が信用できないのなら、「も掲載」「転載」「投稿」という単語を除外ワードに追加しよう。(除外ワードの上限圧迫に注意)
また、再掲載、再投稿、リメイクという単語は特に要注意。これは一旦投稿した作品を消して再度投稿し直す行為であり、作品が好きな固定層だけをリメイク後に引き継ぐ関係でポイント/ブクマの割合が不自然に高くなるという現象が起こりやすい。
活動記録やあらすじなどで再掲載した、リメイクした旨が書いてある作者の作品には特に警戒して挑もう。
・作品ページにアクセスした後、抽出した作品の作者の「他の作品」を見てみる
ここでベタベタのなろう系を打ち上げて高ポイントを取っていたり、なろう系作品を書籍化していたり、読者の欲望を喚起させるようなタイトルの作品を大量執筆してポイントを稼いでいる場合、それらの作品の人気でその作者の非なろう系作品の評価が引っ張られていることがある。(こういう作品は作者読みしかされていない上にそのようなアベレージがあるのにポイントを稼げていないから非テンプレ作品が埋もれていることが多い。要するに同種の同ポイント帯のマイナー作品と比較した場合、内容が劣っていることが多い)
実際、こういった作者の非なろう系作品は、他の抽出条件に一致していても作品としての質が悪いと感じることが多々あった。
また言っちゃ悪いが、投稿作品数が単純に多い作者であればあるほど露出の機会は大きくなるため、ポイント/ブクマの割合は高くて当たり前だしポイントもそれなりにあるのが当たり前だ。
例えば、大量に作品を執筆しておきながら人気ジャンル(ファンタジーなど)で総合ポイント自体が低い(3000pt以下の)作者の作品は質が低いと断言して差し支えない。
・その他、逆に作品の期待値を上げる要素
①作者ページに大きく打ち上がっている「なろう系」の作品がない。
もしくは
②作者ページの作品数自体が少ない。
作者のページを見た時、なろうであまり打ち上っていないようなタイプの非なろう系作品ばかりを書いていたり、そも作品を少数しか執筆していない場合はかなり期待できる。(例:マイナージャンルの作品ばかり投稿した結果、ハードSFなどのマイナージャンル作品で2000pt取っているなど)
(常識的に考えれば、人気ジャンルの人気作品を多数投稿できている作者の方が信用できるはずなのだが、小説家になろうというサイトの評価構造が歪すぎて非なろう系の名作をスコップする目的なら真逆の方が良いという謎の逆転現象が発生している)
身も蓋もない、とても厳しいことを言ってしまうと、この記事の発掘方法は読者確保のためになろう系に魂を売ってしまっているユーザーであればあるほど、発掘の恩恵を受けられないようになっているというわけだ。
また
③2020年3月3日以前に連載を開始している(この場合、文字数は多ければ多いほど加点になる)
というブースト要素もある。(これは知り合いの長編スコッパーに言われるまで気づかなかったブースト要素の一つ)
小説家になろうは2020年3月3日以前は部分別に評価フォームが付けられておらず、最後投稿分のページまでアクセスをしないと評価点が入れられない(最後まで読まないと評価が入りにくい)仕組みになっていた。
つまり、極端な話ではあるが
A.2020年3月3日以前に連載を開始している長編
と
B.全く同条件でそれ以降に連載を始めた長編
では、文字数が増えれば増えるほど評価の受けやすさに差があるということになる。
A以前の時代に連載を始めて作品の文字数がかさんでしまうと、Bの時代と比較して最終部分まで読まれない作品には圧倒的に評価がつかない(放置されて、放置ブクマだけが増える)ということになる。
この時期に連載が始まっている作品に関しては、文字数が増えれば増えるほど評価を甘くしても良いかもしれない(例:総合点/ブクマは2.5だが、昔の時期から30万字以上の連載をしていたなど)
とはいえ、現在その環境を再現することはできないのでこれはあくまで加点要素、ブースト要素の一つであり「ちょっと甘めに脳内で加点しても良いかな?」くらいに思っておくと良い。(……とのことだった)
以上。説明終了。
・その他の注意点
・前提の段階で恋愛以外のジャンルそのものの除外はしていない。
転生、転移要素がある作品はサイト単位で隔離されるようになっているが、今回は弾く設定にしていない。(追放なども同じ)
これは、小説家になろうで人気の題材を扱っている作品でも描写が丁寧で面白ければそれで良いだろうという筆者個人の思想に基づいている。
そも小説家になろうの問題はアングラな界隈において特定ジャンルが氾濫する構造、及び創作素人がそこに集まることによって自然発生する粗製濫造という現象にあると筆者は考えている。作品のジャンルそのものに罪はない。
今回の検索方法でジャンルを絞りたい場合は、ジャンルを指定して検索すると良いだろう。
・作品の全体文字数も考慮していない。
「〇万字の作品なら〇〇ポイント取れているのが普通」といった指標が小説家になろうではほとんど全くあてにならないならないと痛感したためだ。 面白いなら必ず打ち上がるというのなら誰もスコップなどしていない。
(極端な喩え話だが、10万字の作品を1000字で投稿すれば合計100話となり新着欄には100回載れるが、一話1万字なら合計10話でたった10回しか新着欄には載れない。その他にも、作者のプロットを練っている時間が長く一話ごとの投稿間隔が長い。文庫本単位で話をまとめているため読者が居つかないなど、様々な要因で読者が居つかず文字数が多くてもポイントが低いという現象は起こりうる)
今回の記事の発掘方法は「きちんと作品を読んだ読者が、どのような評価を下しているか?」という点を重視している。
・レビュー数やレビュー内容も指標に入れていない。
読者の目にまだついていなかったり、内容が濃すぎてレビューを書けていないのではないか? と感じるケースや、逆に内容が薄っぺらいのに身内による応援レビューを書いてもらっていると感じるようなユーザーがいたためだ(残念なことに、後者の方が圧倒的に多かった)。
むしろ感想がほとんどついていないのにレビューだけが突出して不自然に多い作品は逆に怪しい。
また、スコップする関係で読者の母数が少ないとレビューがつくかどうか自体が運否天賦になってしまうため、レビュー数は今回、あてにしていない。
・まとめ なぜこんな方法でなろう系とは特に無縁の隠れた作品が掘り出せてしまうのか?
理屈としては非常にシンプルで、なろうで作品が打ち上がる構造の真逆を行っているような作品を抽出する手順にしているからだ。
このやり方だと、公募に送るための作品置き場としてWebを利用しているだけの作者の作品が掘り出せる。
なろうの人気作品と違って、この検索条件に適応した作品を不正などで意図的に作り出す意味はほとんどないため現段階では面白い作品を非常に掘りやすいと感じた。
とはいえ、これはあくまで方法の一種でしかなく、絶対視されるような検索方法では決してないだろう。
このやり方が一般読者の間で流行るようなことはまずないだろうし。流行らなければ『あらすじに「再掲」「リメイク」の旨を記載しないで総合点/ブクマの割合を稼ぐような、システムを悪用するユーザー』は出てこないと思う。…多分。
この探し方はあくまで広範的なものであり、ジャンルによって固有に存在するような除外ワード(※要は地雷ワード。例:百合ジャンルに「男」など)もあるため、この探し方をベースに検索の設定を自分で弄って、自分の感性にあった作品を抽出する方法を構築してみるのも楽しいかもしれない。
また、他の記事でも紹介しているが、評価システムがどうこう以前に多数決による平均評価という仕組み自体に無理がある。
(実は大多数が下した母数のレビューというものは正しい評価に集約するのではなく。正しい評価から次第に離れていってしまうのだ。
おかしなことに、「皆の意見は実はいうほど正しくない」のである)
しかし、この方法は評価者が少ない作品に焦点を当てているため精度が過度に低くなるということもなだろう。
※これは余談なのだが、実際のところ一番狙って発掘するのが難しい作品群というのはなろう系要素を排除しきったガチンコの非なろう系作品ではなく。
「バチバチにテンプレにしているわけではないが、なろう系の雰囲気をなぞってる」くらいの塩梅の硬派なフリして実は軟派な内容の作品ではないかと筆者は思っている。
なろう系の要素というものは排除しやすいのだが、なろう系のテイストが半端に混ざりつつも面白い作品はなろう系の人気ワードをタグに入れてしまっていることが多く、それらのワードを除外する際にテンプレのなろう系と巻き込まれる形で丸ごと排除されやすい。(逆にそれらのワードを入れたら入れたでテンプレ作品が頻繁につっかかってくる)
そのような作品はテンプレのなろう系との境界をシステム上表現するのが困難であり、加えて作者自身がなろう系のテンプレ作品を同時並行で執筆していたりすることも多いため作者読みがされる傾向も強く、平均点や総合点/ブクマでの判断も困難になる。
なろう系に傾倒すればランキングを登れるかも知れない。
なろう系を捨てて自分の信ずる面白い作品を書けばスコップはされるかもしれない。
しかし、この二者の真ん中に立ってしまった作品はどちらの恩恵も受けにくくなり、注目されるかどうかは作品を訪れてきた読者次第という、要は完全に運否天賦になってしまう気がする。
・この理屈で行くと、ブクマだけが外れるのは作者にとって嬉しい現象
この評価方法で言えば、『作品のブクマだけが外れる』という現象は作者にとってとても嬉しい現象ということになる。
読者がなんとなくで集まって、なんとなくで保留されるようなあやふやなテーマ、内容ではなく。適当に作品を消費したり、大量の作品を消費するノリのユーザーが、見切りをつけて離れてくれるような作風であるということになるからだ。
表面上の集客力だけは高く、誰も彼もが考えなしに集まって、だらだらと消費をした挙句、50点くらいの評価を下すような微妙な作品であればあるほど、ブクマの数だけが多くなるし、総合点/ブクマの割合は落ちる。(ただし、高ポイント帯の作品は知名度が高くなりすぎた結果、好みがズレているユーザーすら集まってくる。その結果、ブクマの割合が必要以上に高まるということが起こるので、これはあくまで低ポイントでの話だ)
・この方法を広めることで、筆者は何をしたいのか?
特に何かしたいわけではなく。「スコッパー界隈を盛り上げたい!」とか、「ランキング至上主義を変えよう!」みたいな崇高なビジョンを持っているわけではない。
界隈を理解している人間なら同意できると思うが、自分の意思でゼロから面白い作品を探そうなどと考えるユーザーはほとんどいない。
そして、小説を発掘するユーザー、スコッパーには小説家になろうでヒットしない性質を持つ、マイナーな作品を大きく打ち上げるほどの影響力などほとんど全くない。
(これを理解していない作者であればあるほど、スコッパーに期待しがち)
この小説家になろうというサイトはボリューム層の意見が反映されやすい仕組みが組まれているが、そのボリューム層は既に世間的にはアングラな層であり、そのアングラ層になんやかんやウケるような、なろう系の文脈から大きく外れていない作品でなければスコップしても100%跳ねないのである。
それを把握した上で、あくまでなろう系に飽きたユーザーにランキングを見る以外の、一つの道筋を提示しているというだけに過ぎない。(先程も言ったが、これはあくまでなろう系とは無縁の作品の探し方の一つであって、万人にとっての最良のスコップ方法ではない)
また、今回の方法で見つかる作品群は掘ったとしても日の目を浴びる可能性はかなり低いので、もしも掘った後に気に入ったようならば個人でできる範囲で応援をすることが大事だろう。構造上打ち上がらないので連載が止まる可能性が多分にあるからだ。
また、今回の指標は画面の前のあなたが既に知っている「数字としての評価が低い作品」の良し悪しを計るのにも使える。
数字が低く、なおかつこの記事の指標の条件に適合しているような作品ならば、自信を持ってプッシュしても良いかもしれない。
・おまけ 0-2帯(魔窟)について
最後に、0-2帯の作品発掘について言及する。
これはつまり、7万字以上書いて2ポイント以下の作品群。その性質上、ほとんどが新規作者が投稿するマイナージャンル作品となる。
ポイントが低すぎるため今回の発掘方法だと後半のポイント計算関連が全く適用できず。発掘が不安定な4-300ポイント帯以上に数字から良し悪しがほとんど判別できない。色々試行錯誤している筆者すら、このポイント帯から作品を救いあげることを諦めた。
スコップ初心者は生半可な覚悟で挑んではいけない。
おそらく最も救い出される機会がない魔窟(現にポイントがもらえていないので当たり前なのだが)がここであり、多くのスコッパーにとってエンディング後の裏ボスステージに該当するライン。
このポイント帯の作品を読みたがるユーザーはスコップの恐ろしさを何も理解していないド素人か、怖いもの見たさで作品を探すスキモノか、作品を救いあげ未来の小説界の新規ユーザーを救おうとするような救世主(メシア)か仏陀のいずれかである。
人気ジャンル作品の場合は、まず間違いなくあらすじが異常に短かったり読むだけでげんなりするような内容の作品であることが多い。
決してこのポイント帯の作品を冷遇する意図があるわけではないのだが、今回紹介した発掘方法の後半部分がほとんど適用できない上に、作品を探すユーザーにあまりにも大きな負担がかかってしまった挙句に精神が完全に崩壊して立ち直れなくなってしまう危険性があるため今回は除外させてもらった。
とはいえ、日本人は創作ですらゲテモノ喰いを好む稀有な国民性を持っているので、流行ればこの辺りの作品をなんの除外条件や除外ワードなど無しに駄作目的で探し回るような超変態ユーザーも出てきそうな気がする。
(一切の作品除外をしなかった場合、なろう全体のうちの約1/4の作品がこのポイント帯に該当する)
実際、条件を一切指定しないと精神を病んだユーザーの怪文書などや、そも文章として読解すること自体が困難なオーパーツ的作品、規約に違反しているであろう危険な思想をノンフィクションで堂々と公開しているアングラな文章などが多数掘り出せることもある文字通りの魔窟と化す(……らしい)。
そんなことをやる人間はもはやただZ級クソ小説を掘り当てたいユーザーであり、スコッパーですらないのだが……。