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戦後教育を斬る!!(憲法夜話2)⑧
日露戦争の勝敗を分けたものとは?
軍隊の強さは、民族意識の強さに比例する。
この観点から見たとき、はたして明治の日本軍はいかに。
維新から37年目の1904年、世界の人々は日本軍の強さに仰天した。
日露戦争において、東洋の小国・日本がロシアの陸軍を鴨緑江や遼陽で打ち破ったからである。
さらに翌1905年、日本の興亡を賭けた日本海海戦では、東郷平八郎率いる連合艦隊はバルチック艦隊に対して、海戦史上まれに見る「完全試合」をやってのけた。
繰り返して強調するが、このとき日本は近代化をはじめて30数年しか経っていない。
日本の陸海軍なんて、欧米の軍隊とは比較にならないほど歴史も経験も浅いのだ。
その日本がロシアを打ち負かした。
そんな信じられない話はない。
ヨーロッパの人々が驚き、かつ不思議がったのは無理もない。
だが、この日本の勝利は決して偶然なんかではなかった。
なぜなら、この当時、ロシアはまだ「国民」は誕生していなかったが、日本には「国民」が存在していたからである。
たとえば、こんな話がある。(日下公人先生談)
日露戦争の前、ロシア騎兵の演習が行われていたとき、見学のフランス人将校の馬が倒れて、起きあがれなくなった。
すると、それを見ていたロシアの将校は何をしたか。
やにわに短銃を引き抜くや、そばにいた自分の部下を射殺して、こう言ったという。
「この馬をお使いください」
死んだ男の馬を使ってくれと言うのである。
たまたま、そばにいてこの一部始終を見ていた日本人将校は狂喜した。
ロシア騎兵は世界一強いと言う評判だが、こんなことをしていたのでは国のために命を捨てる兵士などあるはずもない、日本は必ず勝つ、というわけである。
彼の予感は正しかった。
騎兵経験の浅い日本軍は満州の大地で強大なコサック騎兵を圧倒することになったからである。
この当時のロシアではすでに農奴解放が行われていたが(1861年)ツァーリ(皇帝)や貴族と一般の庶民との階級差はあまりにも大きかった。
農民の子がツァーリの軍隊で将校になることなど、まったくあり得なかった。
ロシアの将校はみな貴族出身であった。
ロシアの軍隊は国民軍ではなかったのだ。
日露戦争は当時、奇跡の勝利と言われたが、その勝因は実はこうしたところにあったのである。
「資本主義の精神」を教えた戦前日本の教育
明治の日本はわずか数十年にして、軍隊を国民軍にした。これはまさに奇跡と言ってもいいほどのことである。
では、その“奇跡”はいかにして行われたか。
それはひとえに教育の力による。
もっと深く言うならば、アメリカ式教育の力による。
戦前の日本の小学校で「尊敬すべき人」の筆頭として挙げられたのが二宮金次郎であった。
「手本は二宮金次郎」という歌が作られ、全国の小学校の校庭には金次郎の銅像が建てられた。
これはまことに象徴的である。
戦前の日本教育を「軍国主義的」と非難する人は多いが、はたして金次郎のどこが軍国主義的であろう。
とんでもない。
二宮金次郎は貧しい農家に生まれた、善良なる一農民にすぎない。
では、二宮金次郎のどこが偉いのか?
二宮金次郎は日本的資本主義の象徴だった。
だからこそ、教科書は彼を取り上げたのである。
マックス・ウェーバーが資本主義の精神から導き出される徳目として、強調するのは以下のような事柄である。
すなわち、勤勉、正直、刻苦勉励、勤倹貯蓄、向学・・。
中でも最も重要なのは「労働の自己目的化」。
つまり、報酬のために働くのでもなければ、習慣的、惰性的に働くのでもない。
労働そのものが救済(salvation)であると考えるから、一所懸命に働く。
つまり、労働とは宗教の一種なのである。
さて、翻って二宮金次郎を見れば、どうか?
ウェーバーの指摘するものが、みな彼の中にあるではないか。
二宮金次郎は勤勉で正直で、努力を惜しまず、学問に励んだ。
労働は美徳であると信じて疑わなかった。
金次郎にとって、労働とはすなわち信仰であったのである。
「アメリカ資本主義の精神」の体現者がベンジャミン・フランクリンであるとすれば、二宮金次郎はまさに「日本資本主義の精神」の象徴であった。
戦前の教育は日本を近代国家にすることを最大の目標にしていたと述べたが、金次郎少年の物語は、日本が資本主義経済になるためのお手本であったというわけだ。
戦前における初等教育は、日本をアメリカの近代資本主義の国にすることを目指していた。
この教育のどこが軍国主義的、反動的だろうか。
つづく
※ この記事は日々一生懸命に教育と格闘している現場の教師の皆さんをディスるものではありません。
【参考文献】『日本国憲法の問題点』小室直樹著 (集英社)
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