リアクション芸で奥義発動!?本当に米中劇場版クレヨンしんちゃんだった「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
本年度アカデミー作品賞本命の呼び声。「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」が日本でも公開。早速観に行って参りました。
率直に言って変な映画です。複数回の鑑賞でようやく話が理解できる人、ついていけない人もいるのではないかと思います。
鑑賞前に見て幸いだったのが劇場版クレヨンしんちゃんとの口コミで成程。これは、みさえが主人公の話なのかと入り込めました。
ひろしは尻に敷かれてスケベだけどマイホーム持ちで係長(年収600万)。野原家は今の日本で裕福な方に入る家族ですが、主人公のエブリン一家はというと。。
経営するコインランドリーが破産寸前。税金申告に頭を抱え、反抗期の娘と要介護の父、そして、ひろしと違い頼りない夫・ウェイモンドに挟まれ切羽詰まって常にイラついている。
それこそ、ぬいぐるみでも置いてあれば、ネネちゃんのママみたいにみぞおちを殴っていたであろう程に。
それで作中に下ネタ要素もあるという事で、これで誰かがケツだし星人でもやったらより近づくと思っていたのですが、流石にそれはなしでした。
いや、違うな。ケツは関係ありますね。
寧ろこっちがより体を張っています。
今作見どころの必殺技「バース・ジャンプ」は「違う宇宙の自分とリンクし、その自分が持つ能力を使って戦う」技なのですが、これを行う燃料として「奇怪な行動」が必要らしく、使い手の一人がやった手段が上記に関係しています。作中屈指のインパクトといって良いと思うので必見です。
あれで「バース・ジャンプ」が出来るなら、水槽のザリガニを鼻に挟んだり、熱湯風呂に飛び込んだりしても発現できるのかなと想像しました。
日本には出川哲朗、ダチョウ俱楽部、エガちゃんに電撃ネットワークといったリアクション芸という伝統芸能がありますからね。
自分が「バース・ジャンプ」が使い手でピンチになったら、危機的状況で発言させる救いの手段としておでんを使いたいと思います。
下ネタの話はここまでにして。
やはり目を見張るのは出演者のアクション。ミシェル・ヨーは流石の一言。魅せるのがウェイモンド役のキー・ホイ・クァン。それまでの頼りない夫から一変。ウエストポーチをヌンチャク代わりに敵をなぎ倒す動きはジャッキー・チェンそのもの。
実際、ジャッキー主演で話を進めていたらしく彼の辞退に伴いこのキャスティングになったのですが、恐らくジャッキー主演ならここまで注目される作品にはならなかったでしょう。良くも悪くも「ジャッキー映画」の型にはまってしまいそうな感がするんですよね。
不思議なもので作品での顔と今年の各賞授賞式で見せる笑顔と親しみやすい雰囲気が本当にジャッキーに似ています。
アジアの大スターになったジャッキーの一方、役者引退を余儀なくされたクァンが彼に成り代わるように輝きを放っているのが物語性を感じます。
先に劇場版クレヨンしんちゃんに触れましたが、やはりこの作品も最後に行きつくのは家族愛。
エブリンは自分の人生を振り返り後悔を抱えて生きているけど、理想と思っていた自分もまた後悔を抱えて生きている。
やがて、娘と向き合って家族を守る決意をするんですね。この時見せるミシェル・ヨーの優しい母としての顔。今作はここが見せ場かもしれません。
みんな各々の事情を生きている、理想の人生とは違っていても幸せなかたちはあって、相手を理解することで人に優しくなれるというテーマが最後に添えられている。人に優しくなれる映画でした。
最後に、出川さんも準レギュラー「内村プロデュース」発のユニット「NO PLAN」から。
実際に劇場版クレヨンしんちゃんの主題歌に採用された「◯(マル)あげよう」の歌詞で〆。
「平凡な毎日に◯(マル)あげよう」