You are the only boss!
今回は少し趣向を変えて、あるクラシックコンサートのことを書いてみようと思います。
2023セイジ・オザワ 松本フェスティバル
先日、Eテレで”2023セイジ・オザワ 松本フェスティバル”というコンサートを観ました。
このイベントは指揮者の小澤征爾さんが創立した、長野県松本市で開催されている音楽祭です。2023年のコンサートでは、『スター・ウォーズ』や『インディ・ジョーンズ』などの映画音楽を担当しているジョン・ウィリアムズが指揮者として出演していました。
この公演が目に止まった理由としては、元々私が筋金入りのスター・ウォーズファンだということ。それ以外にも、ちょうどその時に小澤征爾さんの自伝『ボクの音楽武者修行』を読んでいたこともあり、テレビの前で腰を据えて観ることにしました。
大好きな映画の劇中音楽が作曲者本人の指揮で演奏されている様子に、思わず釘付けになってしまいました。
あっという間にカーテンコールになり、演奏の素晴らしさにぼうっとしながら画面を見ていたその時。ジョン・ウィリアムズが誰かを呼んでいるのを見つけました。しばらくすると突然ジョンが
”Seiji!”
と叫びました。
え、セイジ?
ポカンとしていると、袖から赤い車椅子に乗った小澤さん本人が登場したのです。
その時ちょうど、小澤さんの若い頃のエッセイ本を読んでいたこともあり、車椅子に乗らないと移動できないほどになっていること、もう上手く手を動かせなくなっていること、その事実に少なからず衝撃を受けていました。それでも、私がもっと驚いたのはその次の瞬間。
ジョンが手を振って始まったのは『帝国のマーチ』。一音目が鳴った瞬間にジョンが小澤さんに笑いかけたのです。
その瞬間、少し時が止まったような気がしました。その一瞬でジョン・ウィリアムズと小澤征爾、2人の関係が証明されたように感じられたのです。
このコンサートで指揮をしたのはジョン・ウィリアムズだったかもしれない。でも彼は小澤さんに
ここの永遠のボスは、あなた、Seijiしかいないんだよ
そう語りかけているように思えてなりませんでした。
笑いかけたジョンに対して、小澤さんはあまり表情も上手く表せない状態だったにも関わらず
よくやるねえ〜〜
と言いながらジョンの肩をトントンと叩く様子が、私にははっきりと思い浮かびました。
ジョン・ウィリアムズが『帝国のマーチ』を小澤さんに向けて選曲したのかどうか、私にはその真意を知るよしも無いけれど。
演奏者の想いを思いがけないルートから受け取った時の感情は、言葉に表現しえないほどの密度を持ち合わせているな、と思ったのです。
ふっと誰かの想いが、すっと自分の心に入って、そのことに気付くこと
この流れが綺麗な一本の線となって自分に起こることは、稀有な出来事かもしれないな、と最近は特に感じます。
だからこそこんな風に言葉にして、その瞬間をできる限り残していきたいなと思う次第です。
大変な1週間もいよいよ終わりが見えてきました。まずは、あなたが自分自身をいたわって、心と身体をゆっくり休ませることができるよう願っております。
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