人事チームでスクラム導入 - レトロスペクティブいれてみた
こんにちわ。
メルカリ人事部門にて人事データ分析を担当しているtweeeetyです。
HR Data Managementというチームにて、いわゆるPeople Analyticsを推進しています。
さいきんは「強いチームをつくる」という個人的なミッションのもと、スクラムを導入しています。なぜスクラムか?というと、「強いチーム」とは「変化に強く自己組織化したチーム」であり、「変化に強く自己組織化したチーム」とは「スクラムチーム」であるという仮説を持っているからです。
今回は、ゼロからスクラム導入をした知見・経験をまとめるべくnoteをいくつか書いていこうと思います。
今回とりあげるのは「レトロスペクティブ」です。
1. レトロスペクティブとは何か
レトロスペクティブとはかんたんに言えば「ふりかえり」です。
定期的に「ふりかえる」ことで活動を改善します。
2. なぜレトロスペクティブをやるか
個人的にレトロスペクティブの目的は2つあると思っています。
それぞれ順に深堀りします。
2.1. チームで共通認識をもつ
何をするにもチームで共通認識をもつことは重要です。
なにかを改善したい場合、その背景には課題感や問題意識が必要です。しかし、これらは個人が抱えているだけではチームの改善活動につながらない場合が多いです。
なぜでしょうか?
それは、個人で課題感を抱えているだけの段階ではチーム内で認識の齟齬がある場合もおおく、チームとしての課題に昇華できていないからです。
たとえば、Aさんには問題でもBさんには問題ではない場合や、課題リスト全体でみるとAさんには優先度が高いものでもBさんには低いなどさまざまな認識の齟齬が考えられます。言葉にして、見えるかたちにして共通認識をもつことでチームの課題となりチームでの改善が行われます。
レトロスペクティブは共通認識をもつためのアクティビティがたくさんあります。それらをうまく活用することでさまざまな側面の共通認識をもつことが可能です。
2.2. チームで改善する
つぎはチームでの改善です。改善を行うべき理由は2つあります。
また、スクラムにおけるレトロスペクティブのポイントは、ふりかえりの期間・間隔をなるべく短くすばやく行うということです。
たとえば、毎週や2週間に1回ペースでふりかえりを行います。その都度、小さくても良いのでチームで1つの改善が成されれば、年間で約50回(約50週分)の改善が行われます。
長期間でふりかえり実行されるかわからない大きな改善案を考えるのではなく、確実に実行可能な小さな改善を繰り替えすことで長い目でみて大きな改善につなげようという考え方です。
そのために、定期的に立ち止まる機会を作り、少しずつでもチームをうまくできるように改善します。
3. どのようにレトロスペクティブを導入したか
導入までのステップは以下のように行いました。
3.1 チーム説明時のキーポイント
上記ステップ2, 3の補足です。レトロスペクティブにおいて「"目指す姿"をチームに共有する」というのがキーポイントのひとつです。
大前提としてレトロスペクティブをうまく実行するのは難しいです。少しずつ説明/練習/実践を繰り返して最終形態に向かうイメージです。途中うまくいかなくとも、"目指す姿"を共有しておくことで安心感が増します。
これは実際に行った説明です。
最初に目指す姿として「準備なしで、いつでもどこでもレトロスペクティブを開始できるチーム」と掲げました。
これにより、都度、共通のゴールイメージ/いまの自分たちがどういう状態か/ゴールに何が足りないかを認識できます。
また、以前の導入時、こんなフィードバックをもらったこともあります。
「毎回、課題感や改善案の付箋は事前に考えてくれば良いのでは?」
チームを良くしようと挙げてくれる意見は貴重です。しかし、もちろん理想的にはそうできると良いのですが、実際やってみるとほとんどの人が何も書いていない状態で当日を迎えることも多いです。
また、レトロスペクティブの手法がKPT固定などの場合は良いのですが、さまざな手法を使う想定ではそもそも毎回どの手法を使うのか前もって決めておくことも難しいです。
最初に「目指す姿」を掲げておことで、なぜ少しずつステップを踏んでいるのか、なぜたくさんの手法を試すのかなどの疑問もクリアになります。
4. どのようにレトロスペクティブを運用したか
運用の算段は「目指す姿」へのステップとなるように設計しました。
具体的には、"導入のステップ"とそのステップでの"課題感"と"解決策"というカタチで想定しました。
4.1. 具体的な運用スケジュール例
以下は、具体的な運用スケジュールの例です。
前半は「手法の学習」と「共通認識をもつ」ということに狙いを定めて実施しました。
5. レトロスペクティブを導入してどうだったか
「チームで共通認識をもつ」という点においては非常に上手くいった手応えがありました。
また、所属しているチームは、多様なメンバーで構成されていました。バックグラウンドが異なる職種のメンバー、外国籍のメンバー、結婚しているメンバー、子供がいるメンバーとわりと多様です。こういったチームで共通認識をもつことは、多様な背景をもつメンバー同士の相互理解にも繋がったと思います。
以下は、実際に行ったレトロスペクティブのボードです。
Movie Critic:
Sailboat:
自チーム以外でも実施した例:
6. レトロスペクティブのアップデート
冒頭でも述べたように共通認識をもつことからが改善のスタートです。
それを表しているのがこちらの図です。
この図は、左上「問題を事実として共通認識を持つこと」から始まる改善までのStepです。たとえば、左上の象限から矢印「1. hypothesis(仮説)」を経て、左下「問題に仮説を立てて意見に落とす」というようにながれます。その後は、仮説をもとに改善案を計画、実行、検証するという流れです。
チームでさまざまな手法を用いて共通認識をもてるようになったと思うので、つぎはレトロスペクティブの時間内で改善案の計画とトラッキング(JIRAに登録など)までできるようにして行きたいです。
参考
おわり
レトロスペクティブは、チームをKAIZENするのに欠かせないツールです。スクラムとは関係なく取り入れられる点も良いです。もしまだやったことがないチームであれば、ぜひ共通認識をもつことからはじめてみてください。
スクラム導入に関しては以下のnoteが連載になっています。気になったら覗いてみてください🍻