リモートでチームのふりかえりに`Movie Critic`をやってみた
こんにちわ。
メルカリでEngineer組織の組織開発などをしているtweeeetyです。8月ももう終わりですが、夏のセールでナイキ AIR MAX 720 を購入して浮かれています。
今回はリモートでのチームふりかえりを
`Movie Critic`
という方法でやってみたnoteです。
日本語だと`映画評論家`となります。 その名の通り、
「ふりかえり期間を"ひとつの映画"と見立てて評論を行いふりかえろう」
というものです。
ちなみに前回は、`shooting star`を記載しました。よかったら合わせてご覧ください。
以降、ふりかえりと`Movie Critic`について書いていきます。
1. 「ふりかえり」をなぜやるか
ファン・ダン・ラーン(FDL)のnoteでも記載していますが、大事なポイントなのでこのnoteでも完結するように再掲しています。
「ふりかえり」は、アジャイルプラクティスでいう"Retrospective"です。
なぜRetrospectiveをやるか、大事なことは以下2点です。
1. チームをもっとうまくできるようにする
2. 立ち止まって考える機会を作る
その結果として以下のような事が期待できます。
# チームの成長:
チームメンバーの関係性を深め、相互作用の質を高める
# プロセス改善:
少しでも改善し、やり方の質を高める
# 仕事の棚卸し:
やらなくて良い仕事を辞め、成果の質を高める
より詳しい詳細は以下のslideをご参考ください。
2. ふりかえり: Movie Criticとは
`なぜやるか`の期待値別にRetrospectiveには沢山の方法があります。
よく知られているものにKPTがあります。ご存知の方も多いのではないでしょうか。`Movie Critic`もRetrospectiveのひとつです。
KPTはKeep/Problem/Tryですが、
Movie Criticは大きく3つのボードを使います。
使用する3つのボード:
- TimeLineボード
- Movieボード
- Actionボード
2.1. Movie Criticのボード説明
まずはイメージからご紹介。
TimeLineボード:
Movieボード:
Actionボード:
以下は、3つのボードの説明です。
TimeLineボード:
期間中の出来事を思い出すために利用します。
TimeLineはMovie Criticには必須ではありません。が、Movie Criticはある程度の長い期間のふりかえりにも有効です。そういった場合に用いると便利です。
Movieボード:
ふりかえり対象の期間を映画と見立てて以下を記載します。
- theme: メインテーマは何ですか?(2-3語で)
- twist: twistはありましたか?
(twists = ひねり、予期せぬこと、悪者、困難など)
- highlight: あなたの個人的なハイライトは何ですか?
- ending: エンディングはどのようなものでしたか?
(ハッピーエンド、クリフハンガーなど)
- expect it?:それを期待しましたか?
Actionボード:
「この映画をより魅力的にするためには何ができるか?」
という視点でteamでActionを話し合います。
team内で、お互いの映画の「感触の差異」や「どういう傾向が見えるか」を話し合ったり認識を合わせてから行うとより効果的です。
2.2. Movie Criticの手順
以下が、Movie Criticの手順です。
TimeLineボード:
1. ふりかえり対象期間にあったことをTimeLineに記載します
- 「teamでこんなことがあったね」という記憶dataの収集に利用します
- 対象期間は、四半期や半年などです
- big topicをいくつか記載します
- 時間の有無によって期間内の区切り、topic数のざっくり度を変えると良いでしょう
2. メンバーひとりひとり、TimeLineにあった出来事を軽く紹介します
Movieボード:
3. 対象期間が映画がだとして、どんな映画だったかを記載していきます
- theme: メインテーマは何ですか?(1~3語程度で)
- twist: twistはありましたか?(予期せぬこと、悪者、困難など)
- highlight: ハイライトは何ですか?
- ending: エンディングはどのようなものでしたか?
- expect it?: それを期待しましたか?
4. メンバーひとりひとり、"Movieボード"の内容を共有します。
5. あなた/teamの映画に対してどうだったかを評論します
- 「感触の差異」や「どういう傾向が見えるか」を話し合います
Actionボード:
6. 「この映画をより魅力的にするためには何ができるか?」を話し合います
- よりHappy Endにするためには?という観点が良いです
2.3. Movie Criticの実施イメージ
実際に実施した際のイメージを貼っておきます。
(内部事情もあるので、文章はだいぶ伏せています)
TimeLineボード:
Movieボード:
Actionボード:
2.4. Movie Criticの実施のポイント
Movieボードの「theme」は、日本語でいうと「テーマ」ですが「映画のタイトル」をつけるでも良いです。
最初は、恥ずかしさもありまともなワードや文章が出がちですが、こなれてくると「ぶっ飛んだタイトル」、「面白いタイトル」などが出てくるようになります。
そういったモノが出てくるようになると、ちょっとしたアイスブレイクになったり心理的安全性が高い状態になり、以降のtwistやhighlightもより自由な発想で記載しやすくなります。
ここはファシリテータの腕の見せどころなので、そういう方向に促してみてください。
3. オンラインでのMovie Critic
ツールは、以下を利用しました。
google docs: チームへの説明やアジェンダに利用
google meets: オンライン会議に利用
jamboard: ホワイトボード代わりに利用
詳細はコチラのnoteにも記載しています。良かったらご参照ください。
4. どんな時にMovie Criticをやるか
ふりかえり対象の期間を「映画」と見立てるため、ある程度の材料が揃う期間だと面白いです。
Sprintごとのふりかえりはもう少しライトな手法を、中長期のどこかでのふりかえりの変わりダネとして行う、というのが良いかなという所感です。
もう少し具体的に挙げるとこんな感じでしょうか。
どんなときにやるか例:
- projectの区切りなどある程度のTrack Pointとして使いたい
- team内のメンバーごとの総評を話し合いたい
- ある程度の期間の認識をあわせたい
- 評価や360度フィードバックの前の材料に使いたい
- 期初に前Qのふりかえりを行って新たな気づきを得て新しいQを迎えたい
4.1 Movie Criticをどんな感じでやったか
ちなみに、ぼくのteamでは以下の観点で行いました。
Movie Criticを行った観点例:
- 期の対象月は4,5,6月でした。
- ふりかえりは6月末に行いました。
- ふりかえりの対象期間は期中(4月、5月、6月)としました。
- ふりかえりにより、前の四半期の総評、次の四半期に向けての改善を話し合いました
おわりに
夏ももう終わりですが、季節の区切りに長めの期間のふりかえりをしてみるのも良いかもしれません。チームの状態、メンバーのモチベーションを知り、次のシーズへのupdateが期待できるかも!?
ぜひみなさんも活用してみてください!
気分が乗ったらまたnoteを追加していく予定です。
参考:
- リモートでのチームふりかえりに`Shooting Star`をやってみた
- リモートでのチームふりかえりに`ファンダンラーン(FDL)`をやってみた
- Effective Retrospective