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制作日記:掲載まであと四日(制作を振り返る①)

詩画集「胡蝶の夢」掲載まであと四日となりました。
掲載日まで作品を振り返る事にしたのですが、自分としても記録になるし、〈制作活動〉を知っていただけることにもなるかなと思っています。

8月に入っても続きます、酷暑。
皆様も体調にはお気を付けください。

今回はペン画「彼岸」
こちらの作品は短編も書いたので草稿から現在まで一部分掲載して振り返ります。
短編(文)ペン画(絵)でわけました。
ちょっと長いです。
メモから形を文で形成していく過程の記録です。


短編「彼岸」校正

*文章のメモからト書きの様な文章になり、気持ちと背景の文が増えていく過程を太字にしました。
校正途中の文を載せて記録したのでだいぶ長くなります。
編集記に飛んでいただければ文章で、変更理由など説明してますのでご了承ください。

note版「胡蝶の夢」編集画面

草稿 2024年7月16日(火)

「もっと話しておけばよかった」
最後まで分かり合う事の出来ない後悔が残る。
あれだけ一緒にいたのに、あの人の事は何も分からないままだった。
人間同士の以心伝心などきっと夢に違いない。
あれほど心を開いて向き合ったのに、私の言葉は最後まで伝わらなかった。
別々の身体だから分かり合えないのか?
価値観が違うから分かり合えないのか?
近づこうと距離を詰めれば、詰めた距離と同じく離れていく。
「あなたが分からない」
それがあの人の口癖だった。
冗談だと思っていたのに、こうなってしまえば〈正解〉思うしかない。
言葉が返ってこない虚しい日々。
分かり合えないもどかしさにいつしか距離を置いてしまった。

夢の様な夕闇に黒い煙を眺めていると黒い蝶が目に留まる。

身近な人が逝く年は必ず黒い蝶を見る。

*第二校 2024年7月29日(月)(バラバラになっていた掲載作品を一つに集めた後)


「もっと話しておけばよかった」
最後まで分かり合えなかった後悔が残る。
あれだけ一緒にいたのに、あの人の事は何も分からないままだった。
以心伝心と他人は言う。
きっと、夢に違いない。

あれほど心を開いて向き合ったのに、私の言葉は最後まで伝わらなかったじゃないか。
別々の身体だから分かり合えないのか?
価値観が違うから分かり合えないのか?
近づこうと距離を詰めれば、詰めた距離と同じく離れていく。
恐怖に近い視線を向けられ、言われる言葉はいつも決まっている。
「あなたが分からない」
それがあの人の口癖だった。
冗談だと思っていたのに、こうなってしまえば〈正解〉認めるしかない。
言葉が返ってこない虚しい日々に中で、分かり合えないもどかしさに距離を置いた。
「何をすれば良かったのか」
何時しか話そうと思っていた矢先の知らせに言葉がなかった。
あの人は、遥か彼方手の届かない遠くへ行ってしまった。

夢の様な夕闇に、黒い煙を眺めていると黒い蝶が目に留まる。

第三校 2024年7月31日(水)

「もっと話しておけばよかった」
最後まで分かり合えなかった後悔が残る。
あれだけ一緒にいたのに、あの人の事は何も分からないままだった。
以心伝心と他人は言う。
きっと、夢に違いない。
私の言葉は最後まで伝わらなかったじゃないか。
別々の身体だから分かり合えないのか?
価値観が違うから分かり合えないのか?
近づこうと距離を詰めれば、詰めた距離と同じく離れていく。
向けられるのは恐怖に近い視線と執着に近い濁った視線だけ
「あなたが分からない」
それがあの人の口癖だった。
冗談だと思っていたのに、こうなってしまえば〈真実〉と認めるしかない。
会話などあっただろうか?今はもう確かめる事は出来ないけれど。
思えば言葉が返ってこない虚しい日々の中で、分かり合えないもどかしさに何時しか距離を置いた。
「何をすれば良かったのか」
何時か、話そうと思っていた矢先の知らせに言葉がない
嫌っているわけではなかった、ただ何を話せばいいか分からなくなっていた。
「お互い落ち着いたら会って話そう・・」そんな思いを分かっていた様に。

あの人は、遥か彼方手の届かない遠くへ行ってしまった。
夏の夕方は暮れるのが遅い。
夢の様な黄昏に、黒い煙を眺めていると黒い蝶が目に留まる。

*第四校 同日 (全10作品の入れ替えをして詩画集の流れを変えた後)

もういないあの人を思う。
「もっと話しておけばよかった」
別れの式の後にむせ返る真夏の外に出て空を仰ぐ。入道雲に日が隠れ、そろそろ夕日に姿を変える頃。もう、会う事がないと思えば振り返る事が多くなる。
最後まで分かり合えなかった後悔が残る。
あれだけ一緒にいたのに、あの人の事は何も分からないままだった。
以心伝心と他人は言う。
きっと、夢に違いない。
私の言葉は最後まであの人に、伝わらなかったじゃないか。
別々の身体だから分かり合えないのか?
価値観が違うから分かり合えないのか?
近づこうと距離を詰めれば、詰めた距離と同じく離れていく。自分の事を分かってもらおうとすれば話すだけ距離が遠のいた。
「あなたが分からない」
それがあの人の口癖だった。
冗談だと思っていたのに、こうなってしまえば〈真実〉と認めるしかない。私の何が分からなかったのか?今はもう確かめる事は出来ないけれど。
思えば言葉が返ってこない虚しい日々の中で、分かり合えないもどかしさに何時しか距離を置いた。
「何をすれば良かったのか」
何時か、話そうと思っていた矢先の知らせに言葉がない。
嫌っているわけではなかった、ただ何を話せばいいか分からなくなっていた。
「お互い落ち着いたら会って話そう・・」そんな思いを分かっていた様に。
あの人は、遥か彼方手の届かない遠くへ行ってしまった。

夏の夕方は暮れるのが遅い。夢の様な黄昏に、黒い煙を眺めていると黒い蝶が目に留まる。

第五校 2024年8月2日(金)

もういないあの人を思う。
「もっと話しておけばよかった」
別れの式が終わり外に出る。
むせ返るような真夏の空気が半袖の腕にまとわりついた。
今日初めて、空を仰ぐ。
入道雲に日が隠れ、そろそろ夕日に姿を変える頃。
もういない。
もう、会う事がないと思えば振り返る事が多くなる。
最後まで分かり合えなかった後悔が残る。
あれだけ一緒にいたのに、あの人の事は何も分からないままだった。
以心伝心と他人は言う。
きっと、夢に違いない。
私の言葉は最後まであの人に、伝わらなかったじゃないか。
別々の身体だから分かり合えないのか?
価値観が違うから分かり合えないのか?
近づこうと距離を詰めれば、詰めた距離と同じく離れていく。自分の事を分かってもらおうとすれば話すだけ距離が遠のいた。
「あなたが分からない」
それがあの人の口癖だった。
冗談だと思っていたのに、こうなってしまえば〈真実〉と認めるしかない。私の何が分からなかったのか?今はもう確かめる事は出来ないけれど。
思えば言葉が返ってこない虚しい日々の中で、分かり合えないもどかしさに何時しか距離を置いた。
「何をすれば良かったのか」
何時か、話そうと思っていた矢先の知らせに言葉がない。
嫌っているわけではなかった、ただ何を話せばいいか分からなくなっていた。
「お互い落ち着いたら会って話そう・・」そんな思いを分かっていた様に。
あの人は、遥か彼方手の届かない遠くへ行ってしまった。

夏の夕方は暮れるのが遅い。夢の様な黄昏に、黒い煙を眺めていると黒い蝶が目に留まる。

編集記(一校ずつ見ると長いので端的な振り返り)

草稿から5校までだいぶ変わった印象ですね。
大きく変化したのは*印のある校です。
掲載作品を一つにまとめて読んだ後に書き足し。
掲載作品の順番を入れ替えて読んだ後に書き足し。
・・そして、こまごま誤字脱字(泣)
集中し過ぎると目が乾きます・・

校正は、誤字脱字や英語のスペルミス、表記のゆれ、文章の構成や文法の使い方、内容に矛盾が起きていないかなどを確認して、正しく修正する作業や業務。

少し習ったことがあるのですが、だいぶ昔の事なので改めて意味を調べてみました。昔は紙に印刷して赤ペンで修正や文書く書き込んだりしたのですが、今はペーパーレスの時代。
紙もただではないので工夫して、PC内で行っています。

制作も校正も一人なので、基準は原始的〈感覚〉

Wordを使っているので、文の誤字脱字などしてくれるのですが〈詩〉などは使う言葉に矛盾があっても「あえて」その言葉にしている事があるのでそのままにしたりしています。
文を口に出してみたり、絵と見比べてみたり、詩画集全体をみたり。
自分の見た事のある風景や象徴的に思い浮かんだ言葉
自身の記憶や気持ち
言葉の余韻

を大事に制作しています。
こちらに関しては、〈絵を描く〉事に近い感覚です。

この記事ではnote版を記載しましたが、ウェブショップにデジタルコンテンツとして掲載するのでPDF版の校正も同時進行で行っています。
note版、PDF版では掲載時にフォントやサイズが変わります。

字面が違うと印象も変わるモノ

なのでPDF版は本文の文字のデザインを考えながら校正しています。
文によっては、フォントサイズを変えたり、行間を広げたり改行し全体を見ながらの作業。
変更は本文の内容を損なわないように行うので、note版もPDF版も同じような印象を持っていただけるように校正しています。
舞台などでも台詞の間なので心情が変わり、照明や舞台の場面転換でもストーリーの流れが変化するように、詩画集も一つの物語、作品として制作。
声や舞台装置の代わりに〈フォントと行間と改行〉で世界観が崩れないように気を付けています。

2024年8月3日(月)現時点(・・頑張ります)

PDF版詩画集「胡蝶の夢」
空に昇る印象の表紙

ペン画「彼岸」

*文よりも先に絵が出来ました。
それを見ながら「(短文)彼岸」を制作しようと思ったと思います。

「蝶は命の儚さ・魂」そんな意味を抱いて制作によく出てきます。
今回は彼岸と此岸。境界線のない幻想的なイメージを目指いしました。
本当は全部インクで当初は描こうとしていました。


曖昧な表情と世界観。
「どうしようかな」と考えて鉛筆を使いました。
柔らかい陰影、笑みの微妙なニュアンスを大切に。


作品を何度も見て自分の心象風景と照らし合わせ「言葉」と「文」を作る。
そんな作業。

鉛筆の無い画像と使った画像を見ると表情の微妙な変化が見れると思います。絵に化粧をさせるというか、歌舞伎で言う〈隈取〉のような感じです。
影で表情を変える。
それに鉛筆は適していると思いました。

詩画集の制作で「絵」が先か「文」が先か?
と聞かれても〈どちらでもない〉というのが答えです。

詩画集の題名が浮かんで、「絵」が出てきて「文」が出てくる時。
題名が浮かんで〈世界観〉を考えて「絵」を選んで「文」をあてる時。
浮かぶ場面はどの詩画集も少し違う気がします。

どうしているのか、思い出すといつも片隅に制作の枠があります。

いつも頭の片隅に〈詩画集〉の場所を作りアンテナを張っておくようにしているみたいですね。


掲載まであと四日

準備も追い込みです。
手帳のこの一週間のページは文字だらけです。
詩画集「胡蝶の夢」の準備をしながら〈次はどんな作品を・・〉と考えています。
やる事、やりたい事が溢れている時は〈脳が常に稼働している状態〉

「ゾーンに入る」と言うのでしょうか?

しかし、私事で日常生活でも色々感じて考えてしまう。
〈脳の安息は必須です〉

「あ・・駄目だ(脳が動かない)」

と、気が付いたら空を見てボーッとしたり無心に料理を作ります。
この酷暑ですが、油を多く使わなようさっぱりしたものを作ります。
薬膳の本で読んだのですが、季節のモノを採ると体に良いらしいですよ。

何か画像は撮っていないかと思ったのですが、残ってなかったです(残念)


制作日記


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卯月螢 /心の風景を描く「心象画」
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