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【読書メモ】『夜のピクニック』 (著:恩田陸)

9月も半ばを過ぎ、朝夕は若干ながら秋っぽさを感じる事も増えてきましたが、日中はまだまだ暑く、残暑どころか真夏日だよなぁ、、なんて感じながら『夜のピクニック』との一冊を思い出してみたりも。

物語の題材となる「歩行祭」、実際に長野かどこかの学校で行われる全校イベントとのテレビ番組を、学生の頃に見た覚えがあります。文字通り一昼夜かけて80kmを歩き通すというもので、なんかタフな事をやってるなぁ、との印象が強く残ってたりも。

そんな「歩行祭」を軸にした高校生達の青春群像、といったところでしょうか。幾度となく手に取ろうと思いつつも何回かスルーした覚えがあります。理由は特に無いのですが、、「夏」という季節を待ちたかったからなのかもしれません、なんとなく。

物語は同学年同クラス、そして異母兄弟という二人の主人公を起点に廻っていきます。また、二人が同性ではなく異性であることからその事実を知らない周囲への誤解もなかなかに面白い伏線となっていたりも。

そんな二人の関係が友人達に支えられながら、少しずつ変容していく様が高校生らしく、瑞々しく描かれています。多少、距離感がつかみにくい箇所もありましたが一気に読了した覚えがあります。

 みんなで、夜歩く。ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろう。

出典:『夜のピクニック』

「夜」というのはどこか、人の心を軽やかにするものなのでしょうか。目では見えないコトが多いだけに、心で視える部分がより、深まるのでしょうか。どこか、どうにもならないことと向き合うには、なんて考えさせてくれる一冊だと思います。

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