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【読書メモ】『マオ - 誰も知らなかった毛沢東』(著:ユン・チアン, J・ハリデイ / 訳:土屋京子)

本日は「6月4日」、共産中国を語るに忘れてはいけない「天安門事件」の日です(※今回のヘッダ画像は拾い物です)。

放送は数分間にわたって遮断された。同日朝に放送されたNHK海外放送のニュース番組でも、天安門事件について伝えた際に数分間、遮断状態が続いた。

中国では天安門事件に関する情報が厳しく制限されている。同日の中国メディアでは事件に関する話題は見当たらない。追悼などの動きは徹底的に封じ込められており、若い世代を中心に事件を知らない人も多くなっている。

出典:「天安門事件を伝えたNHK海外放送が数分間遮断 「信号異常」と表示 中国当局が制限か」
(『産経新聞』2024年6月4日)

中国では、天安門事件に関する情報が厳しく規制されていて、NHKの海外向けテレビ放送「ワールド・プレミアム」で事件のニュースを伝えるたびに、カラーバーとともに「信号の異常」などの文字が表示され、放送が繰り返し中断しています。

中国政府は、当時の学生らの動きを「動乱」だと結論づけて対応は正しかったとする立場を崩しておらず、習近平指導部のもとで当局による統制が厳しくなる中、事件の真相究明を求める遺族の声や政府への批判は徹底的に封じ込められています。

出典:「中国 天安門事件35年 北京は厳戒態勢 追悼や抗議活動を警戒」
(「NHK NEWS WEB」2024年6月4日)

珍しくNHKもフラットに伝えていますが、自身が「報道の自由を阻害されて困っている」とまでの言及はないのですね、、やはりきちんとした公共性の高いメディアが欲しいなぁ、国営でよいので。その前に、NHKのサブスク化が先かな、日本にとっての存在価値、もはや欠片も無いでしょう。

なんて、この時期になると思い出す書籍群の一つに『マオ - 誰も知らなかった毛沢東』があります。上下巻で1000Pを越えるボリュームながら非常に読みやすくさらっと。訳もよいのでしょうが、時系列でわかりやすかった覚えがあります。

賛否両論あるようですが、個人的には史料を丁寧に読み込み「事実」を「真実」として昇華しているのが見てとれ、説得力のある真に迫ってくる内容で、歴史学から派生する歴史の伝え方の在り様の一つとの評価です。

それだけに、、読み進めていくうちに、比喩ではなく文字通りに吐き気をもよおした場面が数多くありました、コレは一体「同じ人」なのか、と。

(吊るされた)彼女はブラウスを脱がされました。赤ちゃんを産んだばかりで、彼女の胸からは母乳がぽたぽた落ちてました。赤ちゃんは泣きながら地面を這い回り、母乳をなめようとしました。

出典:『マオ ― 誰も知らなかった毛沢東』

共産主義とか帝国主義とか、独裁とかファシズムとか、民主主義とか、、人間が生みだしたイデオロギーの衝突云々、それ以前の問題ではないでしょうか。

どこまで「残酷」になれるのか、ここまで「心」を捨て去ることができるのか。生命だけではなく、尊厳も文化も、自我さえも、全てを浸食しつくせるものなのか。

比喩ではなく全てを奪った対象は27年間で7,000万人にも及んだとも言われています。最初はイギリスで出版されたとのことですが、世界に衝撃を与えるわけです。ソ連崩壊後に流出した資料をベースにしているだけあって、信憑性も高そうで。

よくもここまで拷問の方法を思いつくと、よくもここまで人の生命を尊厳を踏みにじれるものだと、、これを読んでもなお「毛沢東」に心酔するのであれば、もはやそれは人ではない。人間の言葉が通じるとはおもえない、、文字通りのケダモノだろうと、眩暈を覚えるほどの怒りと共に。

そして今現在、共産中国ではこの毛沢東のあり様が再評価され、習近平はその模倣に走ろうとしています。事実だとしたら恐ろしい、チベットやウイグルはどうなっているのか、と痛感します。香港は既に陥落していますし、なおさら。

ソ連崩壊から30年が過ぎ、ヴェノナ文書などによる当時の赤化具合も明らかになりつつある昨今、戦後の国際政治史の流れに一石を投じている一冊に数えられるのではないかと、他の書籍と並べておきたいところ。

発行は2005年ですが文庫にも落ちずに絶版となってしまっているようで、私は最初は図書館で借りて読みましたが、追って古本を手元に置いています(こういった意味ではこの書籍を普通に開架に置いていた地元図書館を信頼しています)。

それにしても、恐怖による支配、洗脳による白痴化、人間性・教育の否定、などなどのアレな要素がてんこ盛りで、アサヒに代表される日本のアレなオールドメディアが好むわけですねぇ、最近だと日本保守党とかもその範疇に入ってきているのにあらためてマズイと感じながら、、やはり、左右問わずの全体主義者の跋扈を許してはいけない、それに追随するマスゴミ連中も、なんて風に思いながら、、自己のリテラシーを磨かないと。


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