【読書メモ】『風の海 迷宮の岸(十二国記:EP2)』(著:小野不由美)
なんでもオーディオブックの企画も進んでいるとか、今まで試したことは無いのですが、iPod(iTunes) とかで聴けたりはするのかな、少し調べてみようかなぁ。
老眼が大分きつくなっている身としては満員電車で老眼鏡の出し入れが微妙にストレスになっても来ているのですよね、、なんて思いながら十二国記シリーズの『風の海 迷宮の岸』を思い出してみたり。
位置づけとしては"エピソード2"、"エピソード1"の主人公・陽子と同じ日本からの還り人ですが、今度の主人公は高里という少年、でいいのかな。時系列的には陽子が帰ってきた時代よりは前になるようです(10年くらい?)。
そして、"エピソード0"として組み込まれた『魔性の子』の狭間を埋める物語の一つでもあり、高里が「神隠し」にあっていたとされる時期の物語、といったところ。この物語を経て、シリーズ通しての「麒麟」の設定がある程度固まったのかなぁ、といった印象も。
さて、日本では漠然としたままに浮いた存在であった高里ですが、ある時、空間の隙間の「手」に誘われて蓬山に還ってくることになります。高里の本性が「人間」ではなく、王を選び国造りの象徴となる役割を担う「麒麟」であったが故に。
にもかかわらず、どこか浮いた存在であるのは蓬山にいても変わらずに。還り人であるが故も普通の麒麟とは違っている点も、それを手伝っているのでしょうか。それがむしろ本編終盤での王を選ぶくだりの心地よいカタルシスにもつながっていくのかな、と個人的には。
「離れたくない」、その思いを具現化するに全ての壁を取り払って、王と麒麟のつながりはそこまで純粋になれるのかと。それが故に『魔性の子』で語られた"再び還る"ことになった経緯も気になっていくところ、そしてまた、"再び還ってから"の物語も。
今のところは、高里たちが一番幸せであった時代の物語、でしょうか。さらなる続きも期待したいのですが、、なんて期待と共に。