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【読書メモ】『生物と無生物のあいだ』(著:福岡伸一)

壮大な叙事詩、福岡伸一氏が読み解く

本展の狙いは、動的平衡の視点から火の鳥の意味を読み解くことにあります。そして、手塚治虫が描くことを約束しながら果せなかった物語の結末を想像してみたいと思います。

出典:『手塚治虫「火の鳥」展 -火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡 =宇宙生命の象徴-』 東京シティビューで2025年3月7日開幕  初の「火の鳥」大型展
(「美術展ナビ」2024年10月29日)

福岡伸一さん、どこかで聞いたことあるなぁ、と思ったら『生物と無生物のあいだ』の方でした。発売当時(2007年頃)に話題になっていたのですが、いかにも理系との事で食指は伸びず、、その後に読書会か何かでご紹介いただいて手に取った覚えがあります、懐かしい。

それは自己複製を行うシステムである。

出典:『生物と無生物のあいだ』

これは一つの命題に対する「界面の物語」、なのでしょうか。完全な理系の世界のお話しなのですが、思ったよりもスルッと入ってきた覚えがあります。

「生命とは何か?」、冒頭で既に出ている答えの一つは、自己複製を行うシステムであるとのこと、、ですが、続きがあります。そちらのファクターについて、著者の過去を含めて、その思考経路をたどりながら追い求めていく事になります。

生命とは動的平衡(ダイナミック・イクイリブリアム)にある流れである

出典:『生物と無生物のあいだ』

以前、ドラマか何かの恋愛ネタで「DNAレベルから引き合っている」、なんてフレーズを見た覚えがありますが、なんとなく実感したりも。

生物には時間がある。

出典:『生物と無生物のあいだ』

ラスト、なんとも哲学的なフレーズに行きついた上で、解きほぐされていきます。時間という概念と、その不可逆性が指し示す「生命」とは、、さて。

どこかミステリーのようでいて、でも、システマチックなガイア理論をも喚起させたりと、時間という絶対者から、生命として生まれた時に付与されたその「絶対の概念」の行きつく先は、、

生命とは何か?、ある種の哀切さが残る読後感でした、だからこそ美しいのでしょうけども。確かに『火の鳥』との親和性も高そうだなぁ、、なんて思いながら。

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