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【読書メモ】『ホーンテッド・キャンパス・シリーズ』(著:櫛木理宇)

NHK大阪放送局は12日、令和7年秋開始予定の連続テレビ小説(朝ドラ)が「ばけばけ」に決まったと発表した。ヒロインのモデルは「怪談」で知られる明治時代の文豪ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の妻で松江の没落士族の娘、小泉セツ(1868~1932年)。

出典:「来秋のNHK朝ドラは「ばけばけ」 モデルは「怪談」ラフカディオ・ハーンの妻、小泉セツ」
(『産経新聞』2024年6月12日)

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)、読んだ覚えがあるような、ないような、、『怪談』との書名は国語の授業とかで取り上げられていた覚えも、、まぁ面白いところついてくるけど、夏を過ぎての秋始まりなんだぁ、と、こちらのネタを思い出しながら。

さてホラー系というと『リング』や『夜市』、『陰陽師』などが思い浮かびますが、その中でもなぜか『ホーンテッド・キャンパス』のシリーズは全巻揃っていたりします(『陰陽師』は途中でとまっています)。

1作目が2012年発行ですから10年以上続いているのかな、現時点(2024年7月6日)で既刊21巻(2023年7月が最新刊)、大体年に2冊出るかどうか位のペースですが、本棚の一角をそこそこの規模で占めています。

主人公は八神森司(やがみしんじ)灘こよみ(なだこよみ)との一組の男女。高校時代の先輩後輩ですが、大学では同級生(森司くんが一浪してます)。その大学を舞台にした日常系&ライトホラーという感じの向こうの世界が「視える」人々の物語、といったところでしょうか。

確か、10年前はまだ存在していた地元の書店でブラウジング中に見つけ、軽い気分転換にちょうどいいかと手に取ったような覚えがあります、、こんなに長く読み続けるとは思いませんでしたけども。

大学1年から2年には3~4巻辺りで上がっていたので、続いても10冊程度で大学卒業して完結かなぁくらいで見ていたのですが、大学3年に入った頃(9巻辺り)からゆったりとした時間経過になっています。

その原因は、シリーズ開始当初から両片思い状態に陥っている主人公二人のじれったさにあるとは思いますが、まぁ、大学生活ってこんなに甘酸っぱかったかなぁ、、と、少し羨ましくも。

まぁ、ようは、、

(『葬送のフリーレン』:公式「X(旧:Twitter)」より)

な感じの話が連綿と続いていくのですが、形態としては連作短編でホラー系ミステリ?、となるのでしょうか。

大枠としては、大学で二人が所属するオカルト研究会なるサークルに、折々で持ち込まれる様々な怪奇事件とその解決譚が、季節ごとの大学の日常エピソードとない交ぜになりながら綴られていきます。

といっても、もんの凄い霊能力者が特殊能力で悪霊たちを薙ぎ払っていく、、といった展開ではなく、「霊が視える」、「霊に憑りつかれやすい」、「霊感は無いけど知識だけは豊富」等々の、どこかゆるーい面々が物事を整理、解決していくような感じになります。

最初はそんなに背筋にゾッと来るような怖さもなく、登場人物の気持ちにシンクロできれば楽しめるかぁ、と思いつつも、要所要所で差し込まれてくる「人の悪意」については結構エゲツナイと感じるところも増えていきます。

時には、思った以上に生理的に来るホラー要素もあったりと、この辺りは作者の櫛木さんが女性であるが故の感性の違いかなぁ、とも。恐らくは本能的に理解できない「未知の部分」に対する恐怖を喚起されると、個人的には。

季節ごとの大学のイベント、定番のサークル夏合宿、海辺の肝試し、クリスマス、バレンタインにお花見、学園祭等々と経ながら、二人の関係性がじわじわと進んでいく、成長もしていく、ほっこりと見ていたいなぁ、、

なんて矢先に、人の心の闇を、悪意を浮びあがらせるような、ゾッとする話が差し込まれてくるのがいいギャップともなっています。あと確か5巻位だったと思いますが、吸血衝動の話も個人的には印象に残っています。『空の境界』や『痕』、『羊のうた』、『月姫』を想起させられたような、久々に再読してみるか。

この他、サボテンの名前とかもやきもきしっぱなしでしたが、最新刊では大分関係性も進んでもいるのかな、小指?とか。なんのかんのと大学卒業まではやるのでしょうけど、このペースだとあと10冊くらいは最低でもかかるかなぁ。

なんとなく、遠い果てに置き忘れてきた何かをイロイロと思い出させてくれるような、こんな大学生活ならもう一度巡ってみたい、とも感じながら。さて、息子(大学1年)の卒業とどちらが早いのか、、なんて郷愁とともに。


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