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tumugi
2016年11月24日 08:12
一日中外出しない老父が私に挨拶する「外は暑いでしょう」私も笑顔で答える「ええ暑いですよ」 肌寒い季節になっても同じ挨拶のまま 二階にある自室から一階にある固定電話まで 一日中往復する 例えば電話機をひたすら眺めるだけだったり電話機の前にある回転椅子に座るだけ受話器を握るだけだったりボタンを一つ押してみたりボタンを一つ押すと別室のベルが鳴るワンコールだけ確
2016年11月15日 10:01
辛いという感情は複雑だただ悔しいだけとも限らないただこうして終わってしまうのかと物悲しい思いで胸が詰まり苦しいのである 今まで難なくこなせた事のひとつひとつがいま、とても面倒で動けないいま、前に進む気力が果てた 一つずつ気になる事をこなす事も少しずつコツコツ毎日頑張る事も 今の私にはとても難しい いまを誤魔化す事ばかり自分を直視しない時間ばかり求めて全て
2016年11月7日 11:58
猿までが力ずくで自己主張 もちろん僕だって自己主張 井の中の蛙の僕が大海原へ大冒険 良い出会いがあったりなかったり流れに逆らう事なんてしなかっただから結局もみくちゃにされてほらまた井戸端会議が始まった やっぱり僕は井の中へ帰るね 自己主張する事と主役を奪い合う事は違うそうやって逃げ回る僕を見つけた 優しくない言葉は聞きたくない優しくない顔は見たくないん
2016年11月5日 09:39
私は私の手でないと塞げない穴を探していた穴は大抵人間にあり背骨中央部にあいている 小さな子供達の穴だけは頭のてっぺんにあり相手構わず触れる人の愛や優しさを受け取る 色々な人の背中に触れ手を当ててみるがどの穴も小さかったり大き過ぎたりする ある日私は一人で長時間立ち尽くしている人を眺めていた ひと押しして欲しそうなその背中に触れてみたその穴の形は私の手にぴったりだっ
2016年11月3日 21:11
愛投げる優しさ投げる思い切り投げる 水面深く沈んでいく 愛もらう優しさもらう思い切り捨てる 水面深く沈めていく そぉっと投げたつもりそぉっと捨てたつもり なぜ石のように固くて重くなるの そう水面をアメンボが歩くように そぉっと投げるそぉっと捨てる 一人で意味のない練習を繰り返す