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「いろはにほへと ちりぬるを」の続き言えますか?
言えますか??笑
今日は、ちょっと柄にもなく「日本語教養講座」をやってみたいと思います。
題材は、いろは歌。日本人なら知っておくべき!?(それはちょっと言い過ぎかな)、知っている方が大人っぽい、いろは歌の色々を解説します。
一応、昔、国語の先生をやっていましたので、一般的な人よりはこの辺詳しいと思います。(そう信じたい笑)
では、参りましょう。
その1 いろはにほへと ちりぬるを、の続き
タイトルにしてみたんですが、これ言えます?絶対に中学校で習っているはずなんですよ、皆さん。ほら、歴史的仮名遣いとか、現代仮名遣いとかやりましたよね?あそこの導入で全中学生がやってるはずなんです。覚えているでしょうか。思い出せたら素晴らしいですね。
引っ張っても仕方ないので、答えです。
いろはにほへと
ちりぬるを
わかよたれそ
つねならむ
うゐのおくやま
けふこえて
あさきゆめみし
えゐもせす
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でした!
どうでしたか?懐かしい!って感じでしょうか、それとも、なんだそれ、という感じでしょうか。あんまり権威主義的なのは好きでないですが、まぁ、日本人としてこれくらいは覚えておいてもバチは当たらないと思います。
その2 いろは歌の特徴について
このいろは歌の最大の特徴は?と書かれて何を答えますか?まぁ普通は、あれですよね、あれ!!
正解は、、、
重複なく全ての仮名文字が使われている、ですね。
これは簡単でしたかね。
また、全体が七五調の「今様(いまよう)」という形式になっていますね。
仏教の無常感が色濃い、なども一つの特徴ですが、最大の特徴と言えば、やはり仮名文字習得のための歌だ、ということになります。
ちなみに、いろは歌の作者は空海ではないか、と言われていますが、正式にはわかっていません。成立年代は、平安時代ではないか、と言われています。11世紀の「高光明最勝王経音義」という書物にはじめて出てくるので、それより前の成立であることは確かです。
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その3 どういう意味の歌なの?
日本語訳できますか?
これは、かなり難しい。できたら、スーパー教養人ですね。
ちょっと考えてみてください。
・・・・・・・・
まずは、ヒント。漢字入りで表現してみます。
色は匂へど 散りぬるを
我が世誰ぞ 常ならむ
有為の奥山 今日越えて
浅き夢見し 酔ひもせず
2行目までは、なんとか意味がとれそうですね。
ては、答えです。
色は匂へど 散りぬるを
花は咲き誇っていても、やがて必ず散ってしまう。
※古語では、「色」とは「花の色」を指します。花が匂うほど咲き誇る、という意味になります。
我が世誰ぞ 常ならむ
いったいこの世で永遠に生き続ける
ことができる人がいるのだろうか。
いや、すべての者は死んでいかねばならない。
※「ぞ・・・む」で、反語、というやつですね。「○○みたいな人が本当にいると思う?いるわけないよね」という意味。
有為の奥山 今日越えて
無常なこの世の苦しみや迷いを
今日も今日とて乗り越えて
※「有為」とは、仏教用語で「移り変わるこの世のすべての現象」。「奥山」とは、深い山のことで、ここでは「迷いや苦しみが多い人生の険しい道」を象徴しています。
浅き夢見じ 酔ひもせず
はかない夢など見まい。
酒や世の儚い快楽などに酔ったりもしない。
※「酔う」とは酒に酔うですが、ここでは拡大解釈して世間の儚い欲求すべてを指しています。
どうでしたか。あれ、こんなに深い意味だったの?と思われたかもしれません。いろは歌は、一貫して、仏教的な思想を歌っています。諸行無常の無常観ます。それゆえ、作者は空海だという説が有力なんですね。
その4 英語でいろは歌
ここまでくれば、本物の教養人ですね。最高でしょう(何が)!
英訳にチャレンジしてみてください。これできたら、外国人と話すときに大盛り上がりですよ。マジで!あなたすごいやん!ってなること請け合いです。
いいですか、では、解答例。
Even the colors that bloom so bright, will soon wither and fade away.
Who in this world can escape the fate of impermanence?
Beyond the deep mountains of worldly desires, I cross today.
I shall not be deceived by fleeting dreams, nor be intoxicated by the pleasures of life.
いかがでしょうか。
英語にしたとたん、オシャレな英詩に見えるのはなんなんでしょうか。特に「Who~?」のところは、無常観というより、なんだか高貴な洒落みたいですね。西洋志向バイアスですかね。ちょっと嫌ですね(笑)日本語に誇りをもって生きたいものです。
さて、仏教についてちょっと興味あり、という方はこちらもどうぞ。