[SIer]社内昇格試験

他の会社の事は分かりませんが、私の所属していた会社の話です。
社員には、ランクがあり、ランクに基づき基本給が変わってきます。
基本給や役職をあげるためには、社内のランクを上げる必要があります。
ランクが上がらないと、基本給があまり変わりません(ランクで決められた枠内での変動)し、基本給が上がらないのでボーナスも上がりません。

ランクは、一般職でも数段階あり、管理職になっても数段階あります。
ランク毎に求められる行動指針があり、その行動と実績を元に、上長による面接があり、年に1回ランクが変わる可能性があります。
業績評価面談は年2回行われており、その中で上長が評価をしていき、総合評価の結果によってランクが変わる可能性があります。
ランクは上がる事もありますが、落ちる事もあります。落ちる時は、チャンスは与えられますが、普通に落ちます。

ランクの変更は、昇格審査会という人事部と部長と、担当役員だけの密室の会議で決定がされます。
ただ、この昇格審査会で昇格の対象として審査されるためには、事前に上長からの推薦があります。一般的に配られている人事評価の資料には書いてありませんが、昇格審査前に部門内で内々で誰を上げるのか上位の管理職で内々で決めています。
管理職への推薦についても、事業部の上位管理職が集まった会議で、事業部で誰を推薦するのか決めています。もちろん誰かが推薦したものを他の上位の管理職が反対する事もできます。最終的に誰を推薦するのかは役員が決めます。

ランクによって異なりますが、ランクを上げるためには、前提として大きく2つの必要があります。
1.昇格条件を満たす資格などを取得している事
2.事業部から昇格推薦があり、社内の昇格試験に合格する事

そうです。ランクを上げるためにはまずは資格を取得しなくてはいけません。例えば情報処理試験の基本情報などを取らないと一生低いランクのままです。
特例はあります。どうしても昇格をさせたいけれど資格を取れない人は、人事部から出された長期間の研修・通信教育を受けることで資格の代替えとして、認められます。ただし、宿題が多いし、読まなくてはいけない本も多いし、研修・通信教育はかなり面倒です。
しかも、資格を取らずにいると、ランクが変わるたびに毎回その研修・通信教育を受けなくてはいけません。ランクを上げる推薦をする時も、毎回資格がない事がネックになってランクを上げる推薦がしにくいです。
ランクに合わせた資格を取らないとなかなかランクは上がらないのです。

二つ目に事業部からの昇格推薦があり、社内の昇格試験に合格する必要があります。

これは管理職採用試験が一番難しくて、非常に精神的にも時間的にも大変な試験です。試験は事前に大量の本が送付されてきて、準備や宿題も含めると数カ月かかります。試験本番も数日間、隔離された会場で行われます。最初にペーパーテストがあって足切り点に届かないと、そこで即会場から退場させられます。地方から試験を受けに来た人も宿を取っていると思いますが、ペーパーテストで不合格だと即退場です。また、管理職採用試験の合格率もあまり高くありません。さらには、2度試験に落ちると今後推薦される可能性は0に近くなります。この試験は本当に精神的にも、肉体的にもつらく、私は二度と受けたいと思いません。

管理職への昇格だけが、社内試験ではありません。
一般職内でランクが上がる際も、人事部の試験を受けなくてはいけません。
管理職内でもランクが上がる時は論文の提出や人事部の面接などがあります。
事業部がいくら押しても、会社の人事部の試験に受からないとランクは上がりません。

私の思い出話をしましょう。
一般職内で私のランクを上げる推薦を事業部が行ってくれました。
人事部からあなたが推薦された事、事前課題などのお知らせのメールがありました。
大体ランクが上がる人は、忙しいのです。忙しくて仕事に追われている人が多いので、仕事でいっぱいいっぱいになっており、昇格試験にあまり時間をつかう余裕がないのです。

私ですが、その時は本当に忙しくて仕事に追われていました。昇格試験の課題提出納期を忘れており、納期の時間が過ぎた1時間後に出していない事に気づいて人事部に課題を送付しました。
人事部からメールが返ってきました。
「納期時間を過ぎています。受け取りません。前代未聞です。」
私は絶句しました。まぁ課題の納期を過ぎていたので、仕方がありませんが、こんなに仕事に追われ会社のために働いているのに馬鹿らしくなりました。

私は同じ事業部に私と同様に同じランクに推薦された同期がいたので、愚痴りに行きました。
「人事部に課題を出すことを忘れていて、提出したら前代未聞と言われて受け取られなかったよ」
「実は、わたしも課題を出すのを忘れていて、前代未聞と言われて受けたられなかったよ」
同期は私と同じく、課題を出すのを忘れていて同じく受け取ってもらえなかったそうです。何が"前代未聞"だよと思いました。ここにも同じく提出忘れた馬鹿がいるじゃないかと思いました。私達2人は本当に馬鹿です。

人事部に直接うかがって、人事部長に仕事が忙しくて提出が出来なかった事を伝えに行きましたが、課題の受け取りを拒否されました。

仕方がないので、私は自分の担当役員に直接会いに行って、課題を出すのを忘れていたこと、人事部が受け取ってくれない事、仕事が忙しい事を伝えました。
担当役員は私と一緒に人事部に行ってくれました。人事部は役員が出てきたので、特例という体裁で、私の課題を受け取ってくれました。
担当役員は特に私には怒らずに、淡々と対応をしてくれました。担当役員には感謝です。

私は、同期に担当役員を使えば人事部は課題を受け取る事を教えました。
同期も担当役員の所に行って、課題を人事部が受け取ってくれたそうです。

それから、推薦を受けた人が集まって、丸一日の審査が始まりました。ペーパーテストがあり、プレゼンがあり、色々なテストがあります。試験の総合結果をもって、ランクアップの可否が人事部によって判断されます。

結果は、部門長から教えられます。
その時は、課題を出し忘れた問題がありましたが、何とか合格をいただく事が出来ました。同じく課題の提出を忘れた同期も合格でした。私たちは課題を忘れたにも関わらず通過できましたが、同じ試験を受けた身近な人で落ちた人もいます。

社内は、上が詰まっています。その為、ランクを上げるのは非常に大変です。若手で本当に優秀な人は早くランクを上げていきますが、なかなか難しいです。
事前に資格を取得しなくてはいけないというのもありますし、人事部の試験は本当に大変なのです。それ以前に事業部から推薦してもらうのも、周りとの競争ですので、推薦してもらうのも大変です。

また、人事制度は3~4年程度で変わります。人事制度が変わる際にランクが小刻みにされて上がるのが難しくなったり、ランクがあがる条件が変わったりします。そのような状態に巻き込まれない為には、はやく自分のランクを上げておくのが得策です。実力のある人は上がりやすいのかもしれませんが、人事制度はどんどん厳しくなっているように思えます。

自分が、推薦する立場になって色々なからくりを理解する事が出来ましたが、推薦してもらうというのは、実績はもちろんですが、実力の要素もありますが、運の要素もあると思います。結構理不尽だなと思う内容もあります。

ランク制度には、年功序列の考え方は全くありません。
30歳を超えるのに低いランクのままで、仕事のやる気はあるけれど、ミスが多くてトラブルばかり起こす人がいました。ただ、この人は仕事のやる気はちゃんとあります。最近結婚をして、さらに仕事にやる気が出てきました。しかし技術力が追い付いていません。周りがランクが上がっていく中でその人だけが低いランクでいました。事前の資格などは取得しております。
あまりにもミスがあるので、今までの役職者はこの人は低いランクのままにしていました。
私は、他にも若い優秀な人がいましたが、この人をランクを上げる推薦をしました。本当に人情というか、独断と偏見な推薦ですが、ここで上げてあげないとあまりにもかわいそうだと思ったので、推薦をしました。
この人を推薦した事で、推薦できなかった若い優秀な人には本当に申し訳なかったです。

働いている若い人は、2種類に分かれます。早くランクを上げる推薦をしてほしいと思っている人と、絶対にランクを上げる推薦をしてほしくない人がいます。ランクが上がると仕事の範囲が変わり、立場的にだんだんつらいものになっていきます。その為、ランクが低くてもいいやと思っている人はそれなりに居ます。それに一般職でもある程度のランクまで行くとランクが低くてもそれなりに給与は出ているので、お金に困る事はないと思います。
この点は私の勤めていた会社は意外と給与がいいと思えた点です。
また、年間休日も多いし、福利厚生も良いです。リフレッシュ休暇もあります。出勤時間もかなり自由度が効くので、良い会社なのだと思います。

ランクが上がって給与が上がっても、税金があがりますので、手取りで考えるとあまり増えていないような気がしてなりません。
ふるさと納税の返戻品は沢山もらえるようにはなります。

税金高すぎでしょ。

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