6年ぶりの一人旅。ストックホルム編④ 7/11 その4 エビ食べ放題クルーズ🦐
この旅で、一番強烈だったというか、人と「関わった」のが唯一コレだったかもしれない。
私はこのクルーズツアーに参加して、かなりの後悔(反省)もしたし、ものすごく幸運に恵まれたとも思っている。私がああしていなければ、次の日の行動に繋がっていなかったと思うからだ。
さて、前のnoteにて、カフェでお茶してから船の出帆する埠頭に出ても時間があり余っていた。仕方ないので、公園でボーッとしたり、埠頭付近をブラブラしながら時間を過ごす。
公園では舗道の石板をマス目に見立てて、巨大チェスマッチが行われていた。どういう集まりなのか知らないが、野次馬もいるし、いつもの光景なのかもしれないが、旅行者の私にとっては、とても新鮮。
暇すぎて、座っているベンチに近づいてくるカラスを撮ってみたり。なんだか真正面から見ると可愛いが。鳴き声もキョイキョイとしか聞こえなくて、日本のカラスより可愛い。
クルーズ船の出る埠頭、ニーブローカイエンにて。暇すぎて何度もここを行ったり来たり。ああ、本でも持って来るんだったと後悔。この旅行ではスーツケースに入れたまま、持って来た本達が開かれることは…なかった。
大勢の人々が集まって何かを聴いている。私はスウェーデン語が全くわからないので、実際は何だったのかわからないのですが、聞こえてくる言葉の端々に「スレブレニツァ」という固有名詞が出てきたので、推測するに「スレブレニツァの虐殺」に対しての哀悼を表する劇のようなものをやっていたと思われます。そして台詞を発している人達は、被害に遭われた側の方だったんでしょう。悲痛な叫び声がこだましていて、全く意味がわからなくても伝わってきました。全てが終わると、オーディエンスも演じた側も銘々に白い花を一輪ずつ手に取り、海へ投げ込んでいました。
以前にノーザンライツフェスティバルという渋谷ユーロスペースでの北欧映画祭へ初めて行き、2本のスウェーデン映画を観ましたが、いずれも旧ユーゴスラビアからの難民(移住者)にフォーカスしたもので、社会福祉先進国の底辺にいる人々を切り取っていて、なんとも言えない気持ちになったのを覚えています。きっとこの公園で声高に叫んでいた彼らも大都市の陰となっている人々なんだろうなと想像してしまいました。
***
はい、やっと本題のエビ食べ放題クルーズツアーです。これはVELTRAという国内外のあらゆるツアーを扱うサイトから申し込んだもので、口コミを見ても良さそうだし、いつも一人旅になると夜ご飯がテキトーになるので、1日くらいお腹いっぱいになろう!と思い、申し込みました。
19:30スタートで、3時間船に乗り、ストックホルムの島々を周遊しながら、エビを食べるツアー。
最初のつまずき…
1人参加が私ともう1人、当日飛び込み参加のスウェーデン人のオッサンだけ(すみませんが、これ以降彼の呼称は"オッサン"でいきます)。
必然的にオッサンと向かい合わせの相席…。
その他、同じテーブルには、仲良し4人組(構成:男1、女3。スウェーデン人と思われるが、人種としては白人2、黒人1、ヒスパニック1)。
私の席、一番奥で、通路に出たくても出るに出れない。全くスペースがない。
最初はですね、英語を喋ろうと努力したんです。向かいのオッサンに質問したり、聞かれたことに答えたりして。昔日本人の彼女がいて、日本にも二度旅行したこともあると言ってたし、スウェーデン人と日本人は国民性や芸術面で共通点あるよね、とか言われたのをフーンと聞いたりしてたんです。
でも如何せん、私、英語を一番使っていた学生時代(しかしその時でも能力としてはアヤシイ)からもう十数年経ってまして、語彙力も無いに等しい。何より頭の中が英語話そう話そうとパニックになってきて、クルーズ最初からものすごい疲労感に襲われてしまって、一気に喋りたくないモードに…。
また、偏見かもしれませんが、オッサン、やはり一人参加だけあって、ちょいヘンなんですね。多分最初にセットされていた私のものであろうシャンパンやパンを勝手に飲み食いしていたし、エビにつけるソースにやたらこだわって給仕係を困らせていたし…。
因みにオッサンの見た目は、フィリップ・シーモア・ホフマンには失礼だけど、これで、ざんばら頭のロン毛ですからね。推定年齢50代前半。いや、白人男性の見た目はわからないから、もっと若いかもしれぬ。
オッサンが私が喋らないとわかり、仲良し4人組に積極的に話しかけ始めた頃には、もう一人にして、放っておいてくれ状態でした。
はぁ、これから3時間どう時間が経つのさ…と、ボウル一杯のエビを漁りながら…。
オッサンは、このオーロラソースとマヨネーズとがエビに付ける調味料として当初置かれていたのに対し、やたらとスパイシーソースはないのかと係の人に問い詰めてて、しかも何故かちゃんとチリソースが出てきた。オッサン、満足した模様。
私は観光客なので、船から見える景色が綺麗だなぁと、というか、もうエビを黙々と食べる以外することがないので、たまに手を止めて、写メを撮ったりしますが、おそらく参加した客のほとんどが景色なんて見ずにひたすらエビを食べる、食べる、食べる。4人組もひたすら喋る、食べる、喋る。わかんないけど、現地の人からしたら、エビを食べることと皆でワイワイすることに意義があるようです。
途中でとある小島(島の名前忘れてしまった)に20分くらい停泊するということで、トイレ休憩はここしかない!と降り立ち、そぞろ歩き…。
休憩中、一番嬉しかったのは、白鳥の親子が泳いでるのを見れたことです。
さて、件のオッサンですが、休憩に入る随分前から写真を撮りに行くと言って、一眼レフを手にし、いなくなっていました。休憩の際に島では見かけたのですが、休憩が終わり、船が出た後も席におらず。
4人組のうちの1人から、
「あの人、どこ行ったの?」と聞かれたけど、
知らんがな。「知らない」と答えると、「アナタたち、カップルだと思ってたけど違うのね」だと。
ハァ!!!???
どこをどう見たら、オッサンと私がカップルなんだよ!?
誤解されたことがかなしくて、悔しくて、余計に無口になり、「スウェーデンはどう?好き?」とか聞かれても「うん」しか答えなかった。答えられなかった。なんて言うか、この4人組、特に話しかけてくる黒人女性の言葉の端々に私をバカにしてる感が漂っていたのもあって。
休憩から席に戻ると、オプションで頼んだアップルパイとコーヒーが出てきて。これがとても美味しくて、エビでお腹いっぱいだったし、私の気分はもうドン底だったけど、五臓六腑に染み渡る感じがしました。甘い物、バンザイ。
オッサンのデザートは残されたまま、クルーズの旅も終わりかけ20分前くらいの土壇場で、オッサン戻ってきた。
「もうあの島に置いてけぼりになってたかと思ったわ。彼女(私のことです)に聞いても知らんって言うし、アナタ達カップルじゃなかったのね!(爆笑)」
また言うとる。ホンマ、ふざけんなや。
挙げ句の果てには、デザート代の会計の際に、オッサン(めちゃくちゃワイン頼んでた)と私の分が一緒に計算されとる…。
無表情で給仕係の人に、「私の分はコレとコレだけです。分けてください」と頼みました。いや、あなた方まで、この赤の他人のオッサンと私をくっつけるんですか…。
でもその時応対してくれた給仕係の女の人が、突然私に話しかけてきて。
「あなた、スウェーデンに住んでるの?」
「いえ、日本から来ました」
「ある島のギャラリーがとても良いから、ぜひ行ってみて!私、昔そこで働いてたんだけど、とてもオススメなの」
「ありがとう。(ギャラリー名知らんけど…) 行けたら行ってみますね(←わりとテキトーに答える)」
何で突然話しかけてきたんだろう、私がよほど孤独で寂しく見えたのかしら、と思っていたんです。
そしたら、レシートを持って来た際に、行き方を書いたメモまで持ってきてくれて。
なんだかとっても嬉しくなって、あれ、ユールゴーデン島なら今日行ったんだがなと思いながらも行ってみようかなと思い始めて。
***
私がこのクルーズに乗って、後悔したこととは、決してオッサンとカップルに思われたことではなくて、もっと英語で話せたらよかったのに、という後悔でした。
オッサンと4人組(というか主に黒人女性だけ)が話してる内容は大体聞こえていて、オッサンは実はどこかのカレッジで映画学を教えていて、映画の話もたくさんしていたのです。キューブリック作品の話やら、一番好きな映画の話やら。私はその話題に入りたくてウズウズしてるけど、割って入るだけの英語力もないし、あと原題と邦題がマッチしなくて、アレ、今何の映画の話題なんだ?と思うことが多々あって。
もっと異文化交流を積極的にするなら、スマホも持っていたし、翻訳アプリを使ってでも、片言ででも出来たはずですよね。でも私がそれをしなかったのは、さっきも書いたけど、その黒人女性の発する言葉にどこか侮蔑する雰囲気を感じたからです。その他の3人からはあまり感じなかった。でも会話の主導権は彼女が握っていて、太刀打ちできないなぁって。あと、オッサンと話すのはもうええや、とも思ったんですけどね。
それでも幸運だと思ったのは、最後に私に話しかけてくれた給仕係のティルダさん(名札にそう書かれていた)のお蔭でした。
彼女がどういうつもりで私にオススメしてくれたのかはわからないけれど、何もないままだったら、私は後悔だけのエビクルーズで終わっていた。彼女のアドバイスがキッカケで、次の日のスケジュールも変わったし、何よりそうやって思いやってくれた心遣いが嬉しかったんだなって。
夜10時過ぎの船から見たグローナルンド。まだやってたんだろうか。
クルーズ船から降りる時にかかっていた曲が、ABBAの"If It Wasn't For The Nights"だったんですが(個人的にとても好きな曲)、ノリノリで降りていくスウェーデン人のおばちゃん達を見て、それがとても微笑ましかった。
相席の彼らに別れを告げることはなくて、また侮蔑の視線を感じたけど(アイツ、サヨナラもナシかよというような)、もういいのです。今度こういうことがあった時に対処できるような力を今からでも身につけよう。そう誓ったのでした。
ホテルに戻ったのはもう11時過ぎ。
やっと次のnoteで7/12に入ります!
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