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「ニュータイプの時代」多くの方に薦められやっと読めました。さすがだった。

こんにちは、オオハシです。 なんとか毎週の読書レビュを続けていますが、毎週一冊読み切ることはそんなに苦ではないんですが、毎週レビュをアップするのって地味に大変ですね。 自分で決めたことだし、誰に言われたわけでもないし、勝手にやってるんで、なんとか続けられるだけ続けようとしているけど。 緊急事態宣言も後半になり、ラグビートップリーグも開幕して週末時間は少なくなってきてますけど、読んでくださる方も何名かおられるのでがんばって続けたいと思います!  

★5つつけたレビュです。それではどうぞ! 


ニュータイプの時代
山口 周 2019年7月の本 

いろんな人から、この本の概念とかイメージとかお聞きしていて「買って読まなきゃいけない本リスト」としてメモを残していて少し時間が経ってしまいながらもようやくたどり着けた本。 なるほど多くの方が推薦しておられることがよく伝わってきた。 VUCAの時代に求められる新しいスタイル:ニュータイプ(と、この本では定義している)を多面的な角度から考察・検証している。
僕らの育った年代において「ニュータイプ」というと、ララァ・スンとかアムロ・レイとかスペースノイドのイメージが強すぎてしまうのですが、本文の途中でもそのような表現もちらりと出てきて、そのへんも共感すること多数。
ビジネスの世界に入って20年、論理的な思考が足らない(よってバーバラミントの「考える技術・書く技術」を読んでみたり)、とか、D・カーネギーのいろいろ読んだり、いろいろ言われてきたけれど、ここ数年読んできた『直感と論理をつなぐ思考法』だとか『13歳からのアート思考』だとか、いくつかの本からは(もちろん自分は自分でいいと代弁してくれる『欅坂』からも)本書の中で『相対的に「直感」が重要な時代』と表現されていて、ぼくが生きてきた価値観は間違っていなかったんだ、と勝手に自分で納得していたりする。(超個人的レビューですみません)




アフターデジタル」の価値観や、「ファクトフルネス」でのデータも出てくる。
また、P80 の「クソ仕事の蔓延」の引用を見たときに、おぉこれは「ブロークン・ブリテンに聞け」でのデヴィッド・グレーバーの『Bullshit Jobs: A Theory(邦題『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』2020年7月刊)』をまさに同じ本を引用しているではないか!(クソ仕事という表現そのまま)なるほどなるほど、と思ったりもした。

いくつかの個人的な想いはさておき、大変印象的な本なので、ぜひ多くの人に読んでいただきたいと思った本でした。 2019年の本ではありますが、まだまだ今後主流の考え方になっていく気が強くしている、そんな本です。 山口周さんの次の本も買ったので、また読むのが楽しみです。


やはり気になったところ多くなり、引用抜粋多数となります。 (あくまで気になったところであって自分がもろ手をあげて賛同しているところというわけでは必ずしもないです)
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P28 しかし、社会がより「不安定」で「不確実」になるということは「予測の価値」がどんどん減少していくことになります。このような時代にあって、計画に時間をかけ、立てた計画を実直に実行するという行動様式は極めてリスクが大きいと言わざるを得ません。今後はむしろ、とりあえず試し、結果を見ながら微修正を繰り返していくという、いわば「計画的な行き当たりばったり」によって、変化する環境に対して柔軟に適応していくことが求められます。


P54  私たちが事業を行って社会に働きかけるのは、何らかの本質的な豊かさを生み出したい、あるいは社会的な課題を解決したいと考えているからです。重要なのはそれらの目的が達成されるかどうかであって、方法論が革新的かどうかはさしたる問題にはなりません。極論すれば別に魔法や忍術でも構わないのです。


P61  ニュータイプはあくまで「課題の設定とその解決」にこだわる。その方法論が画期的なものであり、また、生み出された経済価値が大きなものになれば、それは結果として「イノベーション」と呼ばれることになるかもしれないが、最初からそれを目的にして活動するのはオールドタイプの思考様式である。


P80  「クソ仕事の蔓延」デヴィッド・グレーバーの『Bullshit Jobs: A Theory』の件 割愛


P99 「世の中をこう変えたい」「こういうものを作りたい」とい主体的な「想い」や「意味」を構想するということを長らくしてこなかったオールドタイプは「自分はどうしたいのか?」「何を作りたいのか?」という問い、さらに指摘すれば「私は何のために生きているのか?」という哲学的な問いについて考える脳の機能が委縮・退化してしまっているのです。


P131 ビジョンに求められる最も重要な要件、それは「共感できる」ということです。
 目的とその理由を告げられて、自分もその営みに参加したい、自分の能力と時間を実現のために捧げたいと思うこと、つまりフォロワーシップがそこに生まれることで初めてそれと対になるかたちでリーダーシップが発現するのです。


P137 ドイツとの交渉に応じるか否かという問題は、すでにチャーチルにとっては外交問題などではありませんでした。自分たちが向き合っている選択に「ストーリー」を与えたのです。それはつまり、この意思決定というのは「暴力に頼って侵略を繰り返す男と戦い、自由を信奉する私たちの国を守り通すか、あるいは滅びるか」という選択だったということです。


P151 「役に立つ」方向でパフォーマンスを高めたいのであれば、主軸となるのは「論理」です。「役に立つ」ということは効果関数で記述できるということですから、要素を分解した上で数値目標を設定し、目標を達成するための活動計画を実施すればいい、ということになります。
 一方で「意味がある」方向でパフォーマンスを高めたいのであれば、「論理」は役に立たず、センスに代表される「直感」が決め手となります。どのような「意味」や「ストーリー」を紡ぎだせば顧客に刺さるか、という問いに「論理」は答えを出すことができません。


P210 山中氏が最初に目指したキャリアはスポーツ整形外科医でした。ですが、これは自分に向いていないと考えて、2年後にはキャリアを転向しています。(中略)
 そしてその後、薬理学の世界に身を転じた山中氏は、ここでも挫折してしまいますが、このとき、後の研究につながる大きなヒントを得ています。 挫折して逃げる。ただし逃げるときにタダでは逃げない。そこから盗めるものはできるだけ盗んで、次のフィールドで活かす。(中略)
 山中氏のキャリアは、一般に日本では忌避されがちなニュータイプの行動様式、つまり「一所懸命に頑張らず、次々にポジショニングを試すことで、最も自分が輝ける場所を探す」という行動様式がもたらす大きな成果を示しています。


P263 18シェアしギブする人は最終的な利得が大きくなる 
  殺し合うのが、ニュータイプじゃないでしょう? ララァ・スン
 
(この記載は個人的には絶対引用抜粋したかった。。)


P315 自分が所属している組織が自分の価値観に照らして許容できないことをやろうとしているとき、本人は大きなストレスを抱えることになります。このストレスを解消するためには、組織に変わってもらうか、自分を変えるか、の2つしかありません。
 このとき、多くの人は「自分を変える」というオプションを取ってしまうわけですが、そんなことをし続けていればやがて思考力は衰退し、倫理観は麻痺し、最終的には自分自身がオールドタイプに堕することになります。


P344 結局のところ、この劇の脚本を書き換えるには、舞台の上で適切に振る舞うことでしたたかに発言力・影響力をたかめながら、脚本そのものへの批判的な眼差しは失わないという二重性を持った人によるしかありません。そして、そのような二重性を破綻なく持った人物こそが、システムの改変を担うニュータイプだということになります。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。 いつものブクログのレビュをつけておきます。ブクログから他の方のレビュ見るのすごくたのしいですよ!


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