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学びは続くよどこまでも【文学フリマ大阪レポ】

文学フリマ大阪12を終えて、じんわりとした筋肉痛をほぐしながらこれを書いています、つる・るるるです。筋肉痛が一番きている箇所は頬と腕。頬はとき子さんに会うたびにつりそうになるほど笑うので、それが尾を引いてる感じです。

毎度恒例の文フリレポにいく前に。
日本自費出版文化賞への入選をお祝いしてくださったみなさま、本当にありがとうございました。スキやコメントをくださったり、リポストしたり紹介記事を書いてくださったり。すかさずご注文くださったり、文フリで直接祝ってくださったり。それから常時励ましてくれる、空からの応援隊も。
嬉しくてありがたくて、こそばゆくてむずむずしています。
そちらにいただいたコメントには、ゆっくりお返事させていただきますね。
ネットショップにいただいた注文はすべて発送いたしましたので、近日中にお手元に届くかと思います。

さて、文フリについて。
とき子さんが己のメンタル事情に全振りした記事を上げているので、私は気持ち淡々と文フリ大阪を振り返りたいと思います。
あまりにも赤裸々すぎて、ちょっとときちゃん、そんなに恥ずかしがらないで!ていうか反省しすぎて埋まりかけてるじゃないの!!!と心配になる文フリレポ。

打って変わって大はしゃぎしていて、ちょっと安心する文フリ前日~後日レポ。

さて、たとえばの話。

【文フリ東京】
傾向:モノレールで浜松町から15分、入念な下調べのもとに目当てのブースを絞りに絞ったお客さんがくる。新刊が強い。イベント後に「#文学フリマで買った本」を検索すると、その回の人気作が一目でわかる。
対策:とにかく事前告知に力を入れる。本好きに刺さるようなネタ選び、本棚に並べたくなるような表紙作りを心がけるべし。

【文フリ大阪】
傾向:地下鉄の駅から直結、アクセスがよい分軽いノリでくるお客さんもいる。無料配布や見本誌にも目を通してくれる。
対策:セールストークを磨く。無料配布で足を止めてもらって本を紹介し、買っていただくという流れを作る。気軽に手に取れる安めな商品を充実させたい。

【文フリ広島】
傾向:地元の人によく知られているイベントとは言い難いみたい。とはいえ規模が東京、大阪に比べて小さい分、作品自体はゆっくり見てもらえる。
対策:気張りすぎず、出店者さん同士の交流や友だちと楽しむことを気持ちの軸に据えてもよいかも。圧強めに迫らないことが大事。

等々、各地の文フリに出る前に漠然とした傾向を予測し、対策を練っていくのが好きです。
目論見通り東京で新刊が、大阪で安い小冊子が売れたりすると「ほーら、やっぱり」とほくそえんでしまう。
出店回数を重ねながら「ほら東京ってそういうとこある」「ほら物価上昇でみんな財布の紐を引き締めてら」と、お客さんの雰囲気に自分の予想を重ねて喜ぶ。そういう楽しみ方をしてきました。
けれど今回、「その年、その月、その地域」によって文フリはまったく別のイベントなのだなと自分の分析の甘さを思い知る結果となりました。
日本自費出版文化賞への入選が、私の大阪に対するイメージをがらりと変えたのです。

9月6日に入選し、二日後の9月8日に文フリ大阪。
入選作の『羽ばたく本棚』(文フリにしてはややお高めの1200円)は、「お客様のなかに、どこでもドアをお持ちの方はいませんか?」と叫びたくなるほどよく売れました。
12時オープン、14時すぎに『羽ばたく本棚』&新刊『そばぼうろの夫婦』が完売。
さらにはKaoRu IsjDhaさんから預かった『その名はカフカ 1』も完売。
あ、『その名はカフカ 2』はKaoRuさんのネットショップでの販売のみとなっておりますので、お求めの際はぜひこちらへ。

最終的には見本として置いていた本の値札を剥がして100円引きで売ったり、noterさんには住所を聞いて後日発送にさせてもらったりと、いままでやったことのない苦肉の策も連発。
文フリってこんなイベントだったっけ?と戦慄するほどのスピード感でした。

さらに去年『春夏秋冬、ビール日和』を読んだのをきっかけに私ととき子さんの本をまるっとお買い上げくださった神様みたいなお客さんがいたり、『そばぼうろの夫婦』を「『「お邪魔します」が「ただいま」になった日』の続編ですよね?絶対に買わなきゃと走ってきました!」と汗を拭きながら買いに来てくれるお客さんがいたりと、「お客様は……神様ですね?!」と感激してしまうようなことがどかどか起こりました。

「あぁ、新刊ほしかったのに……」「『羽ばたく本棚』もうないんですね」とお客さんが言ってくれるたび、いますぐうちのリビングに飛び込みたかった。
だって、いまこの場にないだけで、自宅にはめちゃくちゃ在庫あるんですよ。
さらに言うと『羽ばたく本棚』値段のせいかテーマのせいか、ほかの既刊に比べて売れてないんですよ(涙)。

残念ながら誰ひとりとしてどこでもドアを持っていなかったし、さすがのいぬいポッターも大阪から東京に「アクシオ(引き寄せ呪文)」することはできなかったので、結局14時からイベント終了までは既刊の『「お邪魔します」が「ただいま」になった日』をほそぼそと紹介したり、とき子さんと二人で書いてKaoRuさんが表紙を描いてくれた小冊子や鶫さんのステッカーを勧めたり、お客さんと話すとき子さんの横で「買って買って買って買ってねえ絶対後悔しないから」と暑苦しい念を送ったりして過ごしました。

本当は入選記事を投稿した直後、私のスーツケースの半分は本が占めていたんです。
が、出発直前に妙に冷静になってしまって。

noterさんたちはめちゃめちゃ祝ってくれてるけど、日本自費出版文化賞ってみんな知ってる?
私は、あの日あの時あの図書館に行かなかったら、絶対に知らなかったよ?
知らない賞で入選した作品を、買ってくれるかしら?
特に大阪って、去年の雰囲気的にも立地的(地下鉄直結のビル)にも「近くでイベントやってたから遊びに来た」みたいな、東京に比べてライトなお客さんが多いイメージなんだけど……。

そんな不安にとらわれて、そっとスーツケースから『羽ばたく本棚』と『そばぼうろの夫婦』を一包みずつ戻しました。
大阪からとぼとぼ持って帰りたくなかったんだもの。

とき子さんは文フリの反省点として「己の期待値と実数の乖離」「あやかり気分」「実力不足を逃げにする」を挙げているけれど、私の今回最大の反省は「賞の力やお客さんを信じきれなかったことによる売り逃し」。
知らない賞を獲った作品にお金を払ってくれる人がどれだけいるだろう、いやあまりいないかもしれない。そう弱気になってしまったのがもったいなかった。

もちろん「入選作だから」「新刊だから」というだけで売れたわけではありません。
伝え方も大切です。
ふらりと現れた私にとってのぬか床の師匠、東のテツさんが『羽ばたく本棚』の見本に貼られた「日本自費出版文化賞 受賞!」という小さな文字を指差して、「もっと自費出版文化賞を大きくアピールした方がいいですよ」と言いました。
そしていつの間にかいなくなったと思ったら、「ほらここに、大きく書いたらいいんじゃないですか」と下の階で買ったというスケッチブックを太いペンを持ってきてくれました。
えええ、なんですかそのお気遣い。ありがたすぎてテツさんが発酵発光して見える……!!!

「でも僕、字には自信がないんですよ」とくねくね謙遜するテツさんが、デザイナーのカニさんにそっとペンを差し出して。
「えー、あたし?」と言いながらもペンを受け取ったカニさんが、さらさらとポップを書いて、三角折りにしてくれました。なにそのアイデア。
この短時間でこんなにかわいく、しかもこんなに目立つポップを……!!

テツさんありがてえ、カニさんすげえ

さらには「いぬいポッター」もとい、いぬいゆうたさんが「ええっ?日本自費出版文化賞!?!?」とどう見ても一般客には見えないのに一般客風にサクラを演じてくださる。
それにツボったヱリさんが「えへへへ、もっかい、もっかい!」とノリノリでねだっていたのがかわいすぎました。
そして隣のとき子さんも絶妙なタイミングで「私、ゲストエッセイ書いてまーす!」とにこにこアピール。それにときめいて買ってくださったとき子ファン、いたんじゃないかなぁ。
『羽ばたく本棚』が売れたのは、そんな豪華メンバーのサポートのおかげです。
そして買ってくださったみなさまにも、厚く熱く御礼申し上げます。

そういえば、ふと思いついて現段階での販売数と購入場所をグラフにしてみたら、『おじゃただ』以降は文フリでの購入がネットショップを上回っていました。

いきなりグラフ作りたくなる病

思えば初出店の東京で会えたnoterさんは旅行に来ていた皐月まうさんだけだったっけ。
『おじゃただ』のときにとき子さんと紫乃さんが売り子を手伝ってくれ、そこから一気にnoterさんとリアルで繋がりだしたように思います。
ずいぶんと、いろんな場所でたくさんの人に会えるようになったなぁ。ありがたや。
にしても作れば作るほど売れなくなっていくこの現象、マジでどうしよう。でも文フリにはなるべく新刊を持っていきたい。もはや終わりどころが見つけられません。

さて、今回のつるるとき子書店の売り上げは
売れた冊数:94部
売上:59,800円

でした。

とき子さんの記事を読むとめちゃくちゃ落ち込んでいて不安になるけど、いままでの出店と比べてもそれほど違わないんじゃない?
と思いつつ、こちらもグラフにしてみたんですけど。

グラフ病再び

ほらほら、通常営業。
とはいえ出るからにはたくさん売りたい、その思いは常にあります。
お互いに今回の反省点をふまえて、次回さらに羽ばたきたいですね。

隣接ブースとして仲よしのnoterさんと並んで出店できるのも、noterとして文フリに出る醍醐味のひとつ。
今回のお隣は、昨年同様「ウミネコ制作委員会」。
今年は番頭として、穂音さん、dekoさんがブースに立って、立ち止まったお客さんに物腰柔らかに作品を勧めていました。

コッシーさんに撮ってもらった写真

ウミネコさんといえば!
来週22日には、かのぼんやりラジオさん(もはやいつ旧姓を改めればいいのかよくわからない、現「ウミネコ制作委員会」さんです)といぬいゆうたさんが文フリ札幌に出店します。
いぬいゆうたさん、まったく初出店には見えないけれど初出店。
これまで各地の文フリをレポートしてきた経験がどう生かされるのか、とても楽しみにしています。

他にお付き合いのある方としては、お誕生日ほやほやのSHIGE姐さんも出店なさるそうですよ。

実は、「いぬいのラジオ(仮)」に「つるとき」として呼んでいただいたときに、「札幌、遊びに行っちゃう?」とにわかに盛り上がりました。
が、日程的に一泊二日になってしまうとわかって断念。
せっかくの北海道です、最低でも二泊はしたい。
しかも北海道にはなぜかやたらと会いたい人が集中しているので、きちんと日程を取って満を持して伺いたい。

次回のつるるとき子書店の出店は、2025年1月11日の「ZINE FEST TOKYO」になります。
文フリ出店を重ねて傾向や対策を考えるのも楽しいけれど、新たな挑戦もしてみたい。
初出店のZINE FEST TOKYOで、私たちはどの程度通用するのかしらとドキドキワクワクしています。

こちらでも素敵なnoterさんと隣接していただけることになりました(まだブースは発表されていないので、正式決定ではないのだけど)。
よさくさんです。

5月の文学フリマ東京にファーストエッセイ集『はじめての北国暮らしは掘りごたつ付きワンルーム』を携えて出店したよさくさん。
『はじめての〜』はよさくさんの人のよさがにじみ出る文体、人によっては「余計なこと」と片づけてしまいそうな部分にやたらこだわって考え抜いてしまう性格、突出した行動力から生み出される珍エピソードの数々がぎゅっと詰まった楽しくて爽やかな一冊。

私たちに会いにきてくださる方はぜひよさくさんのブースにも、よさくさんのブース目がけていらっしゃる方はぜひ私たちのブースにも(商魂たくましい)、遊びにきてくださいね!

ネットショップはこちら。


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つる・るるる
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