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こってり気味の文学フリマ出店日誌

11月20日、文学フリマ東京が無事に終わりました。
お会いできた人も、遠くから応援してくれていた人も、本当に本当にありがとうございました。
おかげさまでたくさんの人に会えて、買ってもらえてと大満足の一日になりました。

来年の自分のための備忘録として、出店者として準備していったことや、やってよかったこと、課題などを書き残しておこうと思います。
ネチネチ書いていたら7000字近くなってしまったので、どうか興味のある部分をつまみ食いするような感覚でお読みいただけたらと思います。

現在はつるる書店のSTORESにて書籍を販売しておりますので、気になった方はこちらからお求めください。
ありがたいことにレビューも何件かいただいております。感謝感激!


【文学フリマでの売り上げ】

文学フリマ当日のつるる書店の売上としては、

『「お邪魔します」が「ただいま」になった日』 36冊=36,000円
『春夏秋冬、ビール日和』 15冊=12,000円
『きりえや偽本大全』 2冊=4,000円
『きりえや偽本シネマ大全』 3冊=6,000(完売)
『How to ××』 4冊=4,800円(完売)

合計 62,800円(総数60冊)。

去年は文フリ単体だと24,800円(総数24冊)だったので、金額的にも冊数的にも去年の約2.5倍。
去年の2.5倍は頑張ったもんなぁ。
それがそのまま結果に直結していて、とても嬉しい。

ちなみに去年の文フリレポはこちら。

【持っていったもの】

*ディスプレイ系

ブックスタンド……7
ポスター立て……2(ポスター2種類)
ポスター……2(A2サイズ、ポスター立て)
……2(A3サイズ、机下に貼る)
……1(A2サイズ、夫の手書き。机下)
KaoRuさんの絵(B5サイズ)
鶫さんの絵(B5サイズ)

*お客さん用

値札、「見本」札(作品数×1枚)
価格一覧(2枚)
無料配布
栞(じゃんじゃん配ってOK)
きりえや紹介チラシ(じゃんじゃん配ってOK)
購入特典
・ビール日和→どんぶり飯三選(A4一枚)
・株式会社おいしいのクッキー

*販売用

販売数記載用メモ(正の字を書く)
お釣り
ボールペン

*その他

テーブル用布
養生テープ
マスキングテープ
セロハンテープ
ハサミ
画用紙
サインペン
ウエットティッシュ
メモ(サインを頼まれたときの下書き用)

【当日準備】

①布を長机にかける
②ブックスタンドを組み立てる
③ポスター立てを組み立てる
④本を並べる
⑤「見本」や値札シールを貼る
⑥お釣りや無料配布などを使いやすい位置にセットする

完成したブースがこんな感じ。

紫乃さんのダーリン、ゆうさん撮影

これに比べると、去年ブースがずいぶんとあっさりしたものに見えてくる。

去年の質素なつるる書店

【準備編・やってよかったこと】

1.事前のTwitter

文学フリマ当日、まっすぐにブースにきてくれて見本をめくることなく「これください」と言ってくれた人が何人もいた。

ジャケ買いは嬉しいけれど、ある意味ジャケ詐欺というかタイトル詐欺というか。
いかにも素敵な本っぽいジャケット&タイトルだけど、本文では「めっちゃ足臭い自信ある」とか「鈴木のハラワタむしりたいなぁ」とか書いてるんだよ?大丈夫?

不安すぎて「え、見本読まなくてOKですか?」と尋ねたら、「Twitterでいくつか読んで好きな雰囲気だったので、大丈夫です」とのこと。
呟いているときにはどれだけの人が見てくれているのか皆目見当もつかなかったのだけれど、Twitterを見て興味を持ってくれた人が実際には思っていたよりも多かったらしい。

普段の更新時にはnoteのURLを貼り付けているけれど、新刊の宣伝としては本のページを画像で貼り付けた方が読みやすいのかもしれない。
新刊だけじゃなくて『春夏秋冬、ビール日和』もやればよかったなぁと思ったので、これからウェブショップの宣伝用としていくつか気に入っている作品をあげていこうと思う。

ちょっと脱線するけれど、「去年たまたま買っておもしろかったから、新作を買いに来た」という方や「友だち用にサイン入りでほしい」と言ってくれた方がいて、胸がじーんとした。
こんなふうに言ってくれる人がいるなら次の本も張り切って作らなくっちゃと、感激に震えた。
新しい本を作るたびに、作品としての自己ベストを超えていけるようになりたい。

2.出店仲間のリサーチ

今回つるる書店と同じく第二会場に出店していた、ウミネコ制作委員会
彼らの用意周到さとセンスのよさに、学ばせてもらったことがたくさんあった。
文学フリマまでの準備の様子を編集長のぼんラジさんをはじめとするメンバーが各々書いていて、それを読むたびに「これはうちでも応用できるかも」「しまった!これは準備してないや」とハッとして、慌てて用意した。

とはいえ当日完成したブースを見て「えー!こんな工夫もしてるんだ!」と驚いたこともあって。
たとえば机から伸びている看板が前からも後ろからも目印のイラストが見えるようになっていたのも、ネット書店のQRコードを机の上に立てていたのもとてもよかった。
来年はぜひとも真似させてほしい。

ぼんラジさんのこの記事を読んで、めちゃ焦った記憶。

いわば戦友のような、切磋琢磨しあえるブースがいるって、なんて心強いんだろう。
ぼんラジさんたちがつるる書店を見て参考になる部分は正直あまりない気がするので、一方的なアイデアの強奪になっていないかだいぶ不安はあるのだけれど……何かしらの方法でお返しできればと思っているので、どうかお許しいただきたい。

3.人の力を借りる

せっかく紫乃さん、とき子さんが手伝ってくれるのである。
なんとしてもたくさん売れるブースにしなくては、お二人に申し訳ない。

そんな思いを原動力に、「準備に必要なもの」「こんなブースにしたい」「どんな本かと聞かれたとき用の売り文句」等々、三人のLINEグループにどんどん送った。
私自身はわりとズボラで恥ずかしがりな部分があるから、背中をグイグイ押してくれるお二人がいなかったらたぶんここまできちんと準備できなかったと思う。
当日お二人は、まさに八面六臂の大活躍だった。
紫乃さんは遊びに来てくれたnoterさんをあたたかくもてなし、とき子さんは水を得た魚のようにいきいきと栞を配りまくってくれた。

本を作る段階でも、装画の編屋さつきさんや寄稿してくれた戌亥さんに惜しみなく時間と才能を注いでもらった。

かかわってくれる人が増えれば増えるほど、できることは増える。
それは単純に人手が増えるからというだけではなくて、「売らねば!」という責任感が往生際悪く恥じらっている自分を「もじもじしてる場合じゃねぇ!みんな頑張ってくれてんだぞ!」と粉砕してくれたからだ。

【当日編・やってよかったこと】

1.栞配り

「みんな本を買いにくるんだから、栞を配ればいいと思うよ」
友だちのアイデアで作った、無料配布の栞。
表面には本文から抜き出した一文を、裏面にはnoteとSTORESのQRコードを載せた栞は、ブース前を通った人にはかなりもらってもらえた。
というか、前述の通りとき子さんが明るく配りまくってくれたおかげである。
300枚以上刷っていったのに、15時には配り終えて放心状態。
そこからは手ぶらでの宣伝になった。次回は二倍の600枚くらい用意したいかも。

本のなかに登場する文章です」と手渡すとみんな一瞬目を留めて、何人かは試し読みに立ち寄ってくれたのが印象的だった。
実はこの栞の効果は文学フリマ後にも続いていて。
「当日は現金がなくて買わなかったけど、やっぱり気になって」という注文が、文フリから10日ほど経った今でもSTORESに入る。とてもありがたい。

2.書籍化した作品の展示

純猥談というサイトに、「4年経っても、手を出してこない彼氏のことがけっこう好きだ」というエッセイを寄せたことがあった。
それは純猥談のサイト掲載、Cakesのウェブ掲載を経て、河出書房から刊行した『一度寝ただけの女になりたくなかった』に収録され、今年の夏に漫画化したらしい。

紫乃さん撮影

この『一度寝ただけの女になりたくなかった』が6.5万部、13刷したらしくて、ジャケットを見た人が何人も立ち止まってくれた。
そんな人たちにすかさず「この本に書いた彼氏と結婚して今回の新刊を書きました!」と言ったら、「マジか、おめでとうございます(笑)」と苦笑まじりに手に取ってもらえた。

詳しい話はこちらの記事で書いたのだけれど私は最初、かなりぶーたれていた。

原作者は私なのに、一銭も入ってこないんですけどー!って。
しかも文字数の関係か、渾身のエロシーンがめちゃくちゃカットされてるんですけどー!って。

でも今回ジャケットでの宣伝効果はばっちりだったから、その鬱屈は半分くらい晴れた。

ときどきnoteで純猥談のリライトをあげている人を見かけるから、私もそうしようかなぁ。
でも「つる・るるる」の猥談って……読みたがってくれる人、いるのだろうか。
ていうかnoteって、18禁表示とかできるんだっけ。
とりあえず、今のところは保留である。

3.鶫さん、KaoRuさんの絵

紫乃さんのアイデアで、鶫さんの描いてくださった鶴の絵とKaoRuさんの描いてくださったオマール婚の絵をブースに飾った。

鶫さんの鶴(紫乃さん撮影)
KaoRuさんのオマール婚(紫乃さん撮影)


本だけでもかなりの点数があるので机に乗り切るか少しヒヤヒヤしたのだけれど、なんとか無事に飾ることができた。

私たちの仲を知るnoterさんたちは「おお、鶫さんの鶴だ」「KaoRuさんのオマールだ」と目を細めてくれたけれど、それと同じくらい、あるいはそれ以上に食いついてくれたのがお子さまたちだった。

お父さん、お母さんにしぶしぶ連れてこられた風情のちびっこが、「わー!鳥さん!」「お嫁さんの絵、かわいい!」と時折熱い視線を送ってきた。
文学フリマには絵本を出しているブースもあるけれど、かなりのブースは文章をメインにしていると思う。そりゃお子さんたち、飽きちゃうよね。
そんななかで鶴とオマール婚の絵を見つけた子たちの目は、キラッキラに輝いていた。
来年はぜひ持って帰れるような形でお二人のグッズを作りたいと、ワクワク考えている。

お二人が描いてくれたときの記事はこちら。

4.すさまじきミッチーパワー

ミッチーこと及川光博氏の人気っぷりをリアルに感じることができたのは、初心者ベイベーとしても大きな収穫だった。

新刊の紹介に、「及川光博の私服が気になりすぎたあの日」という一文を入れたところ、一人の男性が「え、及川光博って書いてある」と近づいてきた。
「ミッチーお好きなんですか?」と聞いたら彼は「あの人のこと嫌いな人いないでしょ」と断言。

「あ、男子の方ですか」と言うと「別に及川光博さんを特別に推してるわけじゃないけど、あの人って存在自体がなんか妙に気になるじゃないですか。まさかこんなところで目にするとは。買います」と見本をめくることなく買ってくれた。
えっ……いいの?

及川光博氏の私服が気になりすぎたあの日

昨年は見本を手に取ってもらうまでがまず第一段階でその先に本の購入があるイメージだったので、その勢いに面食らってちょっと硬直した。

しかもそういう人は、一人ではなかった。
「及川光博の私服ってwww言われてみれば想像つかないwww」
「実際、ミッチーってなに着てるんですか?」
等々、立ち寄ってくれたお客さんとミッチーの話でやたらと盛り上がる。
しかも彼らに「ベイベーですか?男子ですか?」と聞いても、「いやあ、そう名乗れるほどではないんですけどね」と謙遜(?)する。

ほかにも、Twitterにあげた「ミッチーの私服」を事前に読んで私のことを知ってくれていた人が何人もきてくれた。

「私も初心者ベイベーで、Twitterを見ていたらたまたまたどり着いたんです」という方や、長年男子をやってらっしゃるダンディなバス運転手さんまで。
まさかお会いできるとは思っていなくて、「カリスマバス運転手なんですよ!!ミッチーの男子の!!!」と大興奮でとき子さんに伝えてしまった。
はしゃぎすぎて失礼しました。お会いできて本当に嬉しかったです。

前日のとき子さんのおもてなしポン酢に続き、またミッチーに助けられてしまった。

その老若男女を問わない人気っぷりに、私はベイベーとして鼻高々だった。本格的に推し始めたのはたかだか半年ほど前からだというのに。

ミッチー、愛されてるなぁ。
日頃ミッチー情報やベイベー、男子の発言を追いかけるようになってしみじみと思うのは、ミッチーの「推し(星)としての安定感」だ。
外見の格好よさや内面のチャーミングさ、ドラマへの引っ張りだこ具合、まことしやかに囁かれ広まる神対応やステージでの煌めきなど、ありとあらゆる方面に魅力を放っていて。
関心の深さに個人差はあれど、誰もが目を離せないような。

そういう人に、私もなりたい。
ミッチーを絶賛する人たちと話しながら、私も彼のように推してきてよかったと思ってもらえる人になりたいし、そう思ってもらえる作品を作っていきたいと強く思った。

待って、ミッチーの項目単体ですでに1000字を超えている。
まだまだ書きたいことは尽きないが、ここらで止めておこうと思う。

【課題】

さて、最後に課題について。
まず最初の方に本を買ってくださったお客様!
クッキーを渡し忘れてごめんなさい!!
あんなに「株式会社おいしいのクッキーを持っていく」ってしつこく告知したくせに、三箱も持っていったくせに、最初一時間くらいその存在を忘れていた。
本当にごめんなさい。そしていつかあのクッキーの箱を見かけることがあったら、ぜひ一度買ってみてくださいな!

それから、ポスターを貼るための新聞棒。
今回はお隣がいなかったからよかったものの、もう少し位置を調整したい。
基本的には立ちっぱなしということを踏まえて、次回までに隣ブースに迷惑をかけない配置を考えようと思う。

【お会いできたnoterのみなさま】

設営段階でお話しできた、ぼんやりラジオさんじゅんみはさん
もう本当にお疲れさまでございました!
ウミネコの勢いに取り残されまいとわりと必死でした(笑)
次回もお互いにがんばりましょう~!

《つるる書店に遊びに来てくれた方々》
ゆりさん、お会いできるのがとっても楽しみでした!『パラダイス』にサインもらえて感激✨豆本もめちゃかわいかったです!
穂音さん、ご来店ありがとうございました!あとでとき子さんと話していたんですけど、アイコンのお犬さまと雰囲気が似ている!
うわの空さん、刺繍のクリスマスカードがとってもかわいかったです!お立ち寄りありがとうございました。
三間あめさん、ジャケ買いありがとうございました!
あめさんがその後書いてくださった文フリレポが、とっても嬉しかったです。

白鉛筆さんグリーンのおしゃれなシャツとしなやかな佇まいが印象的でした!今回は第一会場にお邪魔できなくて残念。次回はぜひ遊びに行かせてください!
いぬいゆうたさん、あの声が生で聴けて感動……!いただいたお菓子、とってもおいしかったです!ありがとうございました✨
geekさん、ほんのりとお顔立ちが夫に似ていてちょっとドギマギしました(笑)あのリュックから次々に瓶ビールが出てきてびっくり!お心遣いがめちゃ嬉しかったです!
碧魚まりさん、もーはるばるありがとうございました!お互い新婚同士、祝い合えてとっても幸せでした!そしてお洋服が似合いまくりで素敵でした💕
ミムコさん、お久しぶりにお会いできて嬉しかったです~!結婚のお祝いもありがとうございました♪次回の文フリ、めちゃ楽しみにしてます!
ramさん志麻さん、STORESにご予約がなかったから、きっと来てくださる予定なのかな……と思ってました(笑)ramさん作の「ちゃすもと」(8月に永眠した実家の愛猫)、愛しすぎて実家に写メを送りまくりました。

目の色、おでこの模様にもこだわりが♪
寝起きのちゃすもと

そして最後に、つるる書店をお手伝いいただいた紫乃さんとき子さん
お二人の協力なしには、こんなに充実した一日は迎えられなかったです。
お二人が伴走してくれたこと、本当に頼もしかったです。
そしてなにより、楽しかった!終始明るい二人のパワーに、本づくりや出店準備の段階から何度も励まされ、元気や勇気をもらいました。
いつかお二人が出店するときには、ぜひ鶴の恩返しをさせてくださいね☆

紫乃さんの文フリレポはこちら。
すまスパ特配員としても大活躍でした♪

とき子さんの文フリ当日レポはこちら。
ぜひ前日譚(デート編)と併せてお楽しみください♪

【初のリアル書店進出】

文学フリマ終了後、なんと京都の本屋ともひさしさんに『春夏秋冬、ビール日和』と『「お邪魔します」が「ただいま」になった日』を置いていただきました!
初のリアル書店進出!!!嬉しすぎる!!!
どんな方が手に取ってくださるのか、ドキドキワクワクしています。


【書籍のご注文はこちらから】

京都に行けない!でも本を買ってやってもいいぜ!という方は、つるる書店のSTORESからご注文ください。
いくつか試し読みなども載せています。

【マガジンのご紹介】

つるる書店に触れてくれた文学フリマの記事や、私のエッセイの感想などを書いてくださった記事は、見つけ次第ウハウハとこちらに入れさせていただいております。
STORESでご注文いただいた方々からの感想も届き始めていてとっても嬉しい!
ありがとうございます♪


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