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『羽ばたく本棚』日本自費出版文化賞 入選

昨年作ったエッセイ集『羽ばたく本棚』が、第27回日本自費出版文化賞で入選しました。ひゃー!
衝撃が大きすぎて、大事なものが全部頭のなかを素通りしている感じがします。
結果発表を読んでぽうっとするあまり歯間ブラシを買い忘れてしまったし、ちゃんと信号を守って帰ってこれたかも何も記憶に残っていない。

本当はゆっくりしみじみ記事を書きたいところですが、今日はわーっと書いて、わーっと去るスタイルで失礼します。
なぜなら私、もうすぐ荷物の総点検して夜行バスに乗って大阪に行かなきゃいけないんです。
しかもこの高揚感をあとで編集するのはなんだか気恥ずかしいうえに、あわよくば明後日の文学フリマ大阪で買ってくれる人を増やしたい(強欲)。
ドヤ顔で売るので、買ってください。
とにかく私は20時までに書くもん書いて投稿するや否や、風呂入ってバスに乗ります。
よろしくお願いします。

それにしてもいままでエッセイ一編に賞をいただくことはあったけど、本一冊にこういう形で目をかけていただいたのは初めてで。こんなに自己肯定感ぶち上がるものなんだなと驚いています。
「日本自費出版文化賞」の応募用紙を見つけたのは、図書館司書の勉強がてら近所の図書館をぶらついていたときのこと。

何気なくチラシを手にとって、出してみようかなと思ったのが昨年の12月。

例年の受賞作を調べてみると、自身の経験を踏まえての含蓄ある自分史とか、世の中への警鐘とか、災害とか福祉とか戦争といった重厚感のある課題への向き合い方だったりとか、とにかく「きちんとした本」が評価されている雰囲気で。

私のエッセイはここに応募するには内容も文章も軽すぎるかな……と思ったものの、せっかく大好きなとき子さん、鶫さん、KaoRuさんと一緒に作れた大切な本だし、毎度装幀がイケちらかしてる編屋さつきさんの装幀が今回も爆イケだったし、「なんであなた、まだ流行らないの」と酔うたびになじってくる友だちに「とりあえず人目に触れる努力はしてみたよ」と言っておきたくて、ダメ元で『羽ばたく本棚』を送ってみた。

時は流れ今年の夏、突然「一次、二次審査を突破し次が最終選考なのでもう一冊本を送るように」と連絡がきた。
う、わーーー!!!
慌てふためきながら羽ばたくチームと編屋さつきさんにLINEする。

めっちゃはしゃぎ回りたい、けどいまはしゃいだらたぶん絶対落ちるやつ……!!!
そんなジンクスに縛られて、つい夫に報告するときにスンッとした顔で「最終選考に残ったらしい」と言ってしまう。
「これがファイナリストのカップだァァァ!!いえーい!!」と叫びながら満面の笑みで私のマグカップにお茶をついでくれる夫を見て、ようやく嬉しいと笑えた。

とはいえ最終選考に残った同部門の作品リストを見ると、同人誌系(同人誌印刷会社に印刷・製本を頼み、販路は手売り)は私だけで、ほか9作はほとんどがきちんとした出版社から出された本だった。
なんだか全員がスーツの場所に、気に入りとはいえラフなワンピースで飛びこんでしまったような居心地の悪さがある。

数日後、実家に帰ったときに家族にも伝えたら、本好きな母親に「やっぱり待ち会やるの?」と尋ねられる。目の輝きがハンパではない。
作家や編集者らがどこかに集まって、息を詰めていまかいまかと受賞連絡を待つ。
作家のエッセイで時々出てくるあの光景に、並々ならぬ憧れを寄せていたらしい。

いや私、発表当日も仕事があって、しかもそのあと夜行バスに乗るのよと伝えたら「じゃあ私、一人で待ち会してるね!」。
著者不在の待ち会とは。
しかも受賞の知らせは私に直接連絡が来るわけではなくて、朝日新聞の朝刊か、発表日の午後に日本自費出版ネットワークのホームページを見るスタイル。
え、お母さん何を待つつもりなの?朝刊?
老人会並みに健康的な待ち会になりそうだけど、大丈夫……?(ちなみに新聞には大賞と部門賞のみが掲載されてた)
母が何を待っていたのかはよくわからなかったので、本についての話に移りたい。

私は普段、「私自身にとっては重大だけれど大多数の人にとってはおそらくかなりどうでもいいであろうことを、ありったけの熱量を込めてネチネチ書くことでその大多数の人のうちの数名をこちら側に引き込んでみたい」と思いながら文章を書いている。

「羽ばたくチーム」こと、とき子さんや鶫さん、KaoRuさんは、もとからこちら側の人間ではあるのだけれど(断定)、彼女たちは彼女たちでまたそれぞれに確固たる世界観を持っている。
『羽ばたく本棚』ではとき子さんにエッセイを、鶫さんとKaoRuさんに扉絵をご担当いただいて、巻末にこの4人での「本をめぐる座談会」を掲載した。
彼女たちの渾身の作品と座談会を載せさせてもらえたことは、なにより私が彼女たちのファンとして猛烈にやりたかったことだったのだけれど。
振り返ってみると、それぞれの羽ばたきが『羽ばたく本棚』の世界を押し広げてくれている感じがして、本にとってもこれ以上ないメンバーだったのだなぁとしみじみ思う。

やばい。
残り時間があと15分切ってるので、ここらで宣伝のリンクを貼りますね。

『羽ばたく本棚』は、つるる書店のネットショップからご購入いただけます。

鶫さんのステッカーやKaoRuさんのポストカード、書き下ろし小冊子がついた豪華版「羽ばたくセット」もあります。

いまから大阪行って東京に戻ってくるのは9月9日の夕方なので、発送はそれ以降になります。
9月8日の文学フリマ大阪でお会いできる方は、ぜひそちらでお求めいただけたら幸いです。
このほか、京都の本屋ともひさしさんと、西日暮里のシェア型書店BOOK APARTMENTの豆千さんの棚にも置いていただいています。

ふう、宣伝終わり。

……なんだかちょっと冷静になると、他の受賞者や候補者から『羽ばたく本棚』がどう思われているのか、にわかに不安になってきますね。大丈夫かな……。
ひとりだけ著者名も発行元もふざけた感じになっていて、なんか、本当に申し訳ないような弁明したいような気持ちになるんですけど……。

https://www.jsjapan.net/pages/award_history2024

最後に、これを読んでくれているみなさまへ。いつもスキやコメントをくださったり、本を買ってくださって本当にありがとうございます。こういう機会がないと、お礼ってなかなか言えない。
みなさまがいなければ私は……と書こうと思ったけれどなんか違うな、たぶん私はあなたが読んでくれてもくれなくても書き続けると思います。
3回くらい夫が出てこないエッセイを書くと「夫くんとうまくいってる?」と電話をかけてきたり、3回くらい夫の出てくるエッセイを書くと「夫くんのことはいいんだけど、仕事の方は順調なの?」と電話をかけてくる熱烈な読者の祖母がでんと存在しているし、なにより私が自分の書くものを読みたいからです。

けれど、反応を残してもらう喜びやご自身の経験をこそっと聞かせてもらえる贅沢さ、一緒におもしろがってもらえるこそばゆさは、まぎれもなく私の力になりました。いや、現在進行形です、いつもとてもお力をいただいています。
何を書いても読んでくれるんだろうな、と信じられるアイコンがパッと何十も浮かぶのは、とても、とにかく幸せで、ありがたいことです。みなさまに出会えてよかった。

予想外に感極まった方向に来ちゃって、自分でもちょっと動揺しています。
これからも精進してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

最後に『羽ばたく本棚』以外の本のご紹介。
「本の話」はあんまり興味ないんだよなぁという方は、ぜひ既刊や新刊を覗いていただけたら嬉しいです(宣伝タイム再び)。

『春夏秋冬、ビール日和』
一人暮らしエッセイ。
→書籍版完売につき、Kindle販売のみ。

『「お邪魔します」が「ただいま」になった日』
結婚するまでのエッセイ。

『そばぼうろの夫婦』
今年の新刊、新婚1〜2年目のエッセイ。

以下、「つる・るるる」の名前で寄稿した作品。

とき子さん
『にじいろの「はなじ」』
エッセイ&おわりに

『さよならあの日のロッテンマイヤー』
エッセイ

橘鶫さん
『風語り Vol.1』
エッセイ

高木亮さん
『きりえや偽本大全』
エッセイ

高木亮さん
『きりえや偽本シネマ大全』
エッセイ

高木亮さん
『きりえや偽本図書館』
エッセイ&司書に扮してたまに脚注

上記の高木さんの本は、いずれも現代書館から刊行。

ちょうど9月29日までジュンク堂池袋本店で「偽本博覧会」やってます。

とき子さんの本も高木さんの本も、おもしろさ大爆発の逸品なのでお手にとっていただけたら嬉しいです。
鶫さんの画集も、予告記事を読むだけでも胸いっぱいの素敵な予感……!

そんなわけで、大阪でお会いできる方はまた明後日、お会いできない方はいつかどこかでお会いしましょう!
私は明日、とき子さんとビール工場で祝杯をあげます!ではでは!

表彰式のレポはこちら。


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つる・るるる
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