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この世の全ての貴重品が早く携帯に吸収されないだろうか

何事も極限まで洗練すれば、究極に無駄を排除した至高のスマートになれるのかもしれない。しかしそれを求めた結果、最終的に行き着くのは、無駄な出費と無駄なガラクタで作られた頭でっかちな未来の人間であることが成れの果てである。

私はミニマリストだと名乗る気なんてさらさらない。部屋には洗濯した私の抜け殻が、畳まれることなく無秩序に転がっている。机の上には捨てられても気付かないくせに、目の前で捨てたら怒り出すガラクタが探さなくても目に入る。それなのに「私はミニマリストだ!」なんて主張するほど、私は図々しい寸胴ではない。

ただそんな私でもどうにか、「荷物」は小さくならないかと、風船の如く空っぽな頭で思考を巡らせる日々である。

この世界には、どこかへ外出する時に必ず身につけて持ち歩かなければいけない貴重品と言われる物が多すぎる。

携帯、鍵、財布、さらに出勤時には定期券や社員証など、高頻度に取り出すのが面倒なため財布に入れずパスケースなどに入れる物もある。また最近はイヤホンや腕時計も高価になってきたため貴重品として扱われているだろう。

貴重品は家から出るときには必ず持ち出さないといけないのに、なくしてはいけないというルールが、どうもこちらに不平等に設定されている気がして納得がいかない。この時代にこんな酷いルールがあっていいのか。ただこのルールは全員にのしかかっているから平等なのであろう。全員が不幸になれば、それは平等だと言うなんとも性格の悪い政権である。

いやはやこんなにも多くの失くしてはいけない枷を背負いながら、私たちは果てしない旅路を進まなければならないのか。これらが今後待ち構えているボス戦で役に立つ物ならまだしも、ボスどころかモブすら出てこないこんな平和な街では構える気にもならない。

どうにか早く貴重品が携帯だけにならないだろうか。携帯だけあればなんでもできるように、早く携帯を携帯ドラえもんにしちゃおうよ。

最近は日本でもキャッシュレス決済が浸透してきたので、もう財布を持たなくても買い物ができる時代にはなってきた。また近々免許証がスマホに搭載される「マイナ免許証」なるものの話も進んでいるらしい。

さらにはスマートホームで家の至るものをIoT化すれば、鍵も携帯で開けることができる。定期券だって社員証だって結局はIC認証なんだから携帯に全て集約できるはずだ。

そう考えれば何でも携帯ひとつで完結しそうだ。ではもう携帯だけで生活できるようにしていこう。そう考えてまずは、無駄に高くて使いこなせないような過剰スペックのスマート家電を買いに行く所から私の冒険は始まる。

結局は荷物を軽くするどころか、頭の中の風船がさらに膨らんでいくばかりだ。

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