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自分と向き合えと言われる割に向き合い方は教わらない

教員をしていたころ,道徳の授業や進路学習なんかでやたらと「自分をみつめる」とか「自分自身と向き合ってみましょう」みたいな言葉を目にする機会が多かったけれど,よくよく考えると,子どもがそのやり方を具体的に学ぶ機会は全くなかったんじゃないかと思う。

もしかしたらそんなことは教えられるようなことじゃないのかもしれないし,学校のような場所で体系的に教えることは難しいのかもしれない。
というか文科省的には道徳でそれをやらせようとしているのか?
OMG!!

ちなみに,優秀な先生というのは折に触れて,生徒が自分と向き合わざるを得ないような場面をちゃんと日々の活動の中で設けていて(こんな書き方をすると計画的にやっているような感じだけど,全然そんな感じではなく,ごくごく自然にやっていた。もはやセンス)学校生活の中で,そういう機会に多く恵まれた子どもと,そうでない子どもではその後の仕上がり具合に大分差が出ているような感じがしておりました。
ちなみに,ちゃんと自分と向き合う機会が得られた子たちは人間関係でトラブルがあったとしても,大人の介入なしに自分たちでちゃんと解決できる。

一方自分と向き合う習慣がほとんどないまま大人になると,自分の意識がいつも自分の外側に向いてる状態になるので,何かネガティブなことが自分の身に降りかかってくると自分の外側にある「何か」のせいにする,いわゆる他責思考になる。

誰かと意見が対立する。
相手が自分の思い通りに動いてくれない。


そういう対立場面では,とにかく延々と相手にフォーカスし続けるので,永遠に悩み続けて,苦しみから解脱できない。
苦しい。

今学校現場で起こっている「いじめ」も同じことが起きている。
関係する人間同士の関係性が対等かどうかにバランスの悪さはあるものの,いじめの構造は子ども同士の「対立」。
自分と相手の考え方が違うことを受け入れられない状態が継続している。
だからこそどちらか一方が100%悪いと断定できるような「いじめ」はほとんどない。(だからこそ対応が難しい)
話を聞けば,子どもそれぞれに言い分があるし,双方自分のしたことは間違っていないと思っているケースが多い。
加害者側の子が,やっちゃいけないと自覚しながらわざとやりました,みたいな古典的ないじめは我々大人世代が子供の頃と比べればほとんどなくなった。

現行ルールでは,先に「いじめられた」と言った方が「被害者」になるので,被害にあった子は「相手が悪い」と思っているし,加害者とされた子は強制的に「お前が悪い」とラベリングされることになるので,両者ともに自分自身の行動を振り返ったり,自分と向き合う機会がほとんどなくなってしまう。
「そもそも自分がこういう言動をとったことが相手にこう思わせちゃったんだな」みたいな振り返りこそが大事なのに,結果だけをもって大人が一方的に子供の行動の良し悪しを評価するなんて,なんの学びにもならない。

いじめはダメだと教えることもいいが,自分はどんなことが嫌で,どんなことにイラつく人間なのか,ということを考えさせることのほうがよほど大切なんではないか。お互いが身の程を知らなさすぎる。


そもそも論として
「他人は変えられない」とか「自分と他人は別の思考を持つ全く異なる人間だ」という根本的なことをちゃんと分かって生きている人って思ったほど多くないんじゃないだろうか・・・。

関係性が近しくなればなるほど,互いにシンパシーを感じて一体感を感じるのは自然なことだけど,だからといって,どこまで行っても同一化することはない。でも気づくと私はあなた。あなたは私。っていう感覚になっちゃうんだよね。
夫婦関係も,親子関係もいじめも,こじれる根底にあるのはみんなこれ。

と言いながら,こんなことを書いている私自身も長らくここの部分をバッチリこじらせまくったので「言うは易し行うは…」っていうのはよくよく分かります。

コーチングを受けたり自己分析したり,時間とお金をかけてようやくたどり着いた結論は,パートナーでも子どもでも

誰かとうまくいかないのは自分自身とうまくいっていないから。
自分のことが分かってないから,他人との付き合い方もわからない。

ということで,
今後は大人に向けてのコーチングに加えて
中・高校生向けのコーチングスキルを教える活動にも注力していきたいと思います。

この時期に自分自身との向き合い方が分かるようになれば,自分の悩みを自力で解決できるようになるし,能動的に自分の将来決めて行動できるようになる。

加えて,学校での人間関係をこじらせていじめに巻き込まれることもない。良くも悪くもいじめの定義・認定のハードルが下がった今,今はいじめの被害者になるリスク以上に加害者になる(される)リスクの方が圧倒的に高いので,対人関係のスキルを高めておくことは必須。


我が子に一生ものの対人スキルとしてコーチングを学ぶことが当たり前の世の中になりますように。そしてそうなるように微力ながら頑張ります。




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Mariko
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