クリスマス時期の妄想 -シューワッキ・マッセーリときよしこ- #034
クリスマスの時期になると、いつも考えてしまうことがある。
それは、クリスマスソングの日本語の歌詞についてである。
特に思い出すのは「もろびとこぞりて」と「きよしこの夜」で、どちらもクリスマスの讃美歌、キリストの生誕を祝う聖歌だ。
「もろびとこぞりて」は、そもそもタイトルが難解である。
漢字で書くとしたら、「諸人(もろびと)来ぞりて」みたいな感じだろうと想像するが、つまりは「みんなで集まって」ということである。
(※英語の原題については追記参照)
「キリストさんが帰って来るので、みんなで集まってお祝いしましょう」というと、シンプルである。
しかし曲のタイトルが「みんな、集まって」だと、なんだかしまらない。
「みんな、集まってー」
「おけー」
みたいになってしまう。軽すぎる。
「もろびと、こぞりて。」
こう言われると、なんだか厳かである。…仰せのままに、とか言いたい。
それはそうとして、私が気になる歌詞は、実はそこではない。
「主は、来ませり」の部分だ。
意味としては「主(キリストさん)は来ました」ということだろう。それはわかるが、問題は、歌い方にある。
しゅーわっきーまっせーりー
しゅーわっきーまっせーりー
シューワッキ・マッセーリー
イタリア人「シューワッキ・マッセーリ」。F1の選手にいそうな名前だ。
歌詞の意味はわかっているのだが、私はどうしても謎のイタリア人のようなマッセーリさんが浮かぶのである。
私のイメージの中の彼はヘルメットを片手に、F1の車の前で笑ってる(ちなみに、私はF1のことはまったくわからない)。
もう一つは「きよしこの夜」である。
きーよーしー、こーのーるー
ほーしはー、ひーかーりー
というあの曲である。「清し」「この夜」。
キリストさんが帰ってこられる聖なる夜、という感じだろう。
それはそうなのだろうが、私はこの曲を聞くと「きよしこ」の「夜」と想像してしまう。
「きよしこ」さんの夜の過ごし方。
シューワッキ・マッセーリはイタリア人だったが、「きよしこ」はきっと日本人だ。清彦(きよひこ)ではないところが、古風でとてもいい。「きよひこ」がちょっとなまった感じが「きよしこ」かもしれない。
クリスマスの夜を、きよしこはどう迎えているのだろうか。
想像の中で、彼は一人でいる。今でいえば「くりぼっち」という事になる。英語でのタイトルはSilent Nightというくらいだから、静か(サイレント)な夜だ。
きよしこは、推しのアイドル(救いの御子)のクリスマス生配信を聞きながら、過ごしている。
その配信は、シューワッキ・マッセーリさんも、どこかで聞いているのかもしれない。
ふたりにとって、豊かで幸せな夜でありますように、と私は思わずにいられない。
(追記1)
「もろびとこぞりて」の英語の曲名は、「Joy to the world」だと私は思っていたが、その日本語訳は実は「Hark the glad sound」という曲から来ているそうだ(参考)。
(追記2)
手嶌葵さんの「Christmas song」のアルバムがとても好きで、よくこの時期になると聞く。
特にママはサンタにキスをした(I Saw Mommy Kissing Santa Claus)のイントロのギターや歌い出しが素敵すぎる。おすすめ。きよしこやシューワッキ・マッセーリも聴いているかもしれない。
2023年12月4日執筆、2023年12月19日投稿
(参考)
「歌詞の翻訳の間違い」については「手ぶらでオーケー -バーベキューと村上春樹とブラジャー-」も。
「普段の「言い間違い」についてのエッセイ
今回のような読み間違いの妄想のエッセイ「かみのみぞしる」
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