文学フリマ東京39/文学フリマ京都9に出展します!作品への愛を語らせてくれ!
今年2月、文学フリマ京都で散財しまくった記事がnoteのおすすめに選ばれプチバズりした。
たくさんの読者の目に留まり、このレポートをきっかけに「文学フリマ」の存在を知ってくださった方もいて光栄な反面、複雑な気持ちもあった。
本当は客としてではなく、愛を込めた作品たちが巣立っていくのを見届ける側として、そのイベントに参加するつもりだったから。
この記事のビューやスキが増えるたび、文フリの魅力が伝わるうれしさと同じだけ、買い手としてではなく、つくり手としての都村つむぐをはやく見せなければと焦りやプレッシャーも感じた。
あれから約1年、2冊の本を形にすることができ、ついに出展者として文フリの舞台に立つことになった。
12月1日(日)文学フリマ東京39
@東京ビッグサイト【O-52】
公式サイト:
https://bunfree.net/event/tokyo39/
今回、販売する2冊はどちらも制作期間約2年。こだわり抜いた愛情たっぷりの作品を紹介させてほしい。
岩井智幸・岩井菜花『犬島の岩井さん』
あらすじ
コンビニも、病院も、信号もない。人口30人ほどの瀬戸内海の離島、犬島に大阪から移り住んだ夫婦のエッセイ。 築120年の家で待ち受ける自然との共同生活、カフェをオープンするまでの奮闘の日々。消滅の危機に直面する島のきらめくような可能性と未来を繋ぐために踏み出した一歩を描く。
他人に頼るって、本当の豊かさって、自分が大事にしているものって。島との出会いを通して真摯に見つめ直す二人の姿勢に、きっと勇気をもらえるはず。移住を考えている人はもちろん、目まぐるしさで本当の好きなものさえ忘れているあなたに届いてほしい一冊です。
経緯
大学時代の友人である菜花さんに誘われ、初めて犬島を訪れたのは5年前。当時、新卒で入社した会社でハラスメントを受けていた私は心身ともにボロボロだった。
「この建物が公民館。2階にダンレボがあるねん」「いつもここの自販機でビールを買って海眺めてる」と菜花さんが生活の様子を語りながら島内を案内してくれる。信号に遮られることなく、後ろから急かされることもなく、ゆっくりと自分のペースで歩くうちに、きちきちに巻かれた心の時計が解かれていくのを感じた。
夜は智幸さんが用意してくれたカニ鍋を堪能、寒さに両腕を抱きしめながら見上げた星空はプラネタリウムよりずっと美しかった。
翌日は美術館でこの島が抱える歴史の重みを知り、植物園で淹れてもらったハーブティーで体の芯まであたたまった。船が見えなくなるまで、二人並んで港から手を振ってくれた光景は今も温もりを持ったまま記憶の引き出しにしまってある。
それから何度か犬島を訪れ、新しく開店する「カフェスタンドくるり」のロゴやグッズのデザインを任せてもらえることになった。
高齢化が進み次の時代の担い手が不足していること、美術館の休館日に来島したお客さんが楽しめるお店がないこと、アート以外の産業が少ないこと……それでもどうにか犬島の未来のために動きたいということ。制作の過程を通じて二人の島への思いを聞く中で、私も犬島に救われたひとりとして、自分にできる形で力になりたいという気持ちが強くなっていった。
他人に強制することなく、目標に向かってまっすぐ突き進む智幸さんの情熱に何度も背中を押されたし、しんどいこともちょっといやなこともユーモアで受け止めてしまう菜花さんと話す時間がいつも楽しかった。二人が島とどう出会いなにを考え、生きているか描くことで、島の魅力を新たな切り口で伝えることができるんじゃないだろうか。
「移住までの経緯をZINEにしませんか?」と持ちかけ、約2年。何度も加筆修正をし、今だけじゃなくこれからも変わらず伝えたいことだけを慎重に選びながら、あたためてあたためてつくりました。
こだわり
店頭で見かけたらぜひ手に取って、中のページも見てほしい!書き手によって本文の位置が変わるんです!挿入されている写真はすべてカラー。犬島の美しい景色をしっかりお届け。本文とカラーページは同じ紙を選んだので、読みながらどこでコラムが挿入されるかわからない仕様に。ZINEにしかできない遊び心に振り回されちゃってください。
ザ・バンドデキネ『挫折.ep』(hoka books)
あらすじ
「音楽に挫折した人で編集バンドを組んでepという名のZINEをつくりませんか?」
Xの呼びかけをきっかけに集まった書き手が挫折体験を語る苦くて苦いエッセイ4編と、思い出と決別するためのルポ2編を収録。”できる”礼賛の時代に”できない”を堂々と謳うぼくたちは、挫折を終わらせることができたのか。
経緯
きっかけはひとり出版社・烽火書房の嶋田さんのツイート。
いっちょ覚えあり!の私、さっそくリプライ。賛同した今松さんと3人でオンライン会議を開き、メンバー募集のnoteを公開。
連絡をくれたぽん子さんも加わり、いざ活動開始!
ゆとり世代だからだろうか。他の人にはない”自分だけが特別にできること”を早く探さなければいけない切迫感と常に育ってきたように思う。なにか輝くものを持っていないと友達もできないし、会社にも選んでもらえない。完全な”できる”を見つけられなかった人の声は、社会にもSNSにも響かない。そんな世の中が、私はちょっと息苦しい。
時代の風潮に抗って、この本をつくっている2年間は”できない”と向き合い続けた。終わったはずの苦味を確かめるのは、どうしたって気が重い。メンバーは住むところも生活リズムもバラバラで、会議はすべてZOOM越し。挫折をテーマにした本づくりで挫折がよぎった瞬間もある。だけど、磨いたけれど光らなかったものたちを堂々と抱きしめられる時間には、深く呼吸するゆとりがあった。夢や成長や、そういうきらきらしたものに向かっているのとはまた別の安らぎがあった。
どうかこのCDケースを手に取ってくれた人にも、そんな瞬間が訪れるといい。
こだわり
ありがたいことにエッセイとルポ、表紙のイラストを担当させていただいた。絵を描くこともまた私にとっては”挫折ポケット”入れてしまったもの。嶋田さんがデザインを施してくださり、こんな絵でも商品になることに感動。
妹にはひと足先に原稿を読んでもらったのだが、エッセイでもルポでも表紙でもなく「おわりにがめっちゃいいよ」とのこと。ぜひ最後の1ページまでお楽しみに。
特典フリーペーパー「からまる からまわる」
都村つむぐのブースにお立ち寄りいただいた方には、フリーペーパー「からまる からまわるvol.2」をお渡しします。書き下ろしエッセイ「一足先にレモンサワーで祝杯を」が読めます。刷った後に紙面に一箇所も「都村つむぐ」のフルネームの記載がないことに気づき、一枚ずつ直筆サインを入れております。
本をご購入いただいた方にはvol.1をおつけします。どちらも在庫がなくなり次第、終了しますのでおはやめに!
ぜひ東京ビッグサイトでお待ちしております。
関西の方は1/19の文学フリマ京都9で!
ここに書ききれなかった作品の裏話、noteの更新に関すること、好きな本の感想などお時間が許す限り、一期一会のお話も楽しみましょう◎