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#1 都会を離れ、自然と共に歩む暮らしへ|夫婦で挑む新規就農の物語
「このまま都会で生活して本当に幸せなのだろうか……」
そんな莫大な不安を感じたことが、農業を始めようと思ったひとつのきっかけとなりました。
世界を混乱の渦に巻き込んだ「新型コロナウイルス」の感染が拡大してきた頃、わたしは東京のど真ん中・新宿に住んでいました。
外出自粛を余儀なくされ、周囲の雑音やビルに囲まれた狭い世界のなかで生きることを苦痛に感じる日々でした。
今後どんな人生を過ごしていきたいか。
そう考えたときに、自然に囲まれた環境で暮らしたいという想いが浮かんできて、生活の基盤を見直すことにしました。
自分の手で野菜を育てて、いのちをいただく。
そんな丁寧な暮らしに憧れたわたしは、農的暮らしを求めて一歩を踏み出しました。
農地・機械・経験・知識はゼロ。
そんな非農家出身のわたしたちが新規就農に向けてどのような道のりを歩んできたのか、これまでを振り返ってみようと思います。
これから先、農家を目指す方、ゼロの状態から農業の世界へと飛び込んでみたい方の少しでもお役に立てたら嬉しいです。
農家になるのは目的ではなく手段
旅をしながら働く。
そのスタイルに憧れていたわたしは、どこにいてもパソコンとネット環境があれば働ける仕事をしたいと思い、これまでライターや動画編集などの職種を経験してきました。
これまで仕事をしてきた根底にあるのは、「人を喜ばせたい」「誰かの世界をほんの少しでも変えるきっかけをつくりたい」という想いです。
それは農業も同じで、
農家になるのが目的ではなく、
野菜を食べてくれた人に笑顔を届けたい
食べた人の心を温かくするような野菜を食卓に届けたい
という目的を叶えるための手段だと思っています。あくまで新規就農を目指すことを目的にはせず、野菜を届けた先にある笑顔や幸せをイメージしながら農業を続けたいという想いがあります。
半農半Xというライフスタイル
農業をやりたい。でも、これまで培ってきたスキルも活かしたい。
そう考えたときに、はじめから農業を仕事の軸にするのではなく、ライターをしながら農業バイトをする、半農半Xに挑戦してみました。
自然の恵みに感謝しながら畑作業をする時間。
自分と向き合って言葉を紡いでいく時間。
どちらも実践することでそれぞれの仕事によりプラスになることを実感したうえで、「もっと農業を生活に取り入れたい」という想いが込み上げてきました。
そんなタイミングで夫と知り合います。
もともと田舎暮らしや農的暮らしに興味があった夫を巻き込む形で(笑)、つむぐfarmの小さな一歩が動き始めました。
農的暮らしへの憧れ
新規就農を目指しているわたしたちですが、
「がっつり農業で生計を立てていく!」という強い想いよりかは、
「農的暮らしがしたい」
「自然豊かな環境で生活したい」
といったふわふわした気持ちの方が先行していたと思います。実際に農業をしたいと思い、動き始めたのが2023年8月頃。
農業をするなら香川でやってみたいという想いがあったので、夫と話し合った結果、香川で農業をしようという流れになりました。
次にどんな働き方をしたいかを決めていきました。
農業法人に就職するか、就農するか(農業を仕事にすること)、それとも半農半Xを目指すのか。
就職すると農的暮らしは難しいかもしれない。
自分たちの目指すスタイルとは相違があるから、自由な働き方はできないかもしれない。
じゃあ、就農して自由な働き方を目指そう。
そんな感じで話を進めていったと思います。
食べたもので体はできている
夫婦ともに食べるのが好きだったので、同じ作物を大量生産するのではなく、たくさんの種類の野菜を少しずつ育ててみたいと思いました。
そして、わたしのなかで大切にしていたのは、農薬や化学肥料、除草剤を使わない栽培方法を目指すこと。
「食べたもので体はできている」という言葉があるように、口に入れるものだからこそ、なるべく体に優しい野菜を作りたいと思っていました。
夫はオーガニックへのこだわりが強いわけではなかったのですが、わたしの想いを優先してくれて有機農業に挑戦することになりました。
本当に大雑把ではありますが、どこの地域でどんな作物を育てるか、どんなライフスタイルを目指したいかが決まっていったのです。
自分たちの目指す農業スタイルをより明確に
今になって思うと、もっと自分たちが目指すライフスタイルを明確にしておけばよかったなと思う節もあります。
どんな野菜を育てたいのか、どんな暮らしをしたいのか、どれくらいの規模で野菜を栽培するのか、いくら所得があれば理想の生活を送れるのか……。
思い描くビジョンが明確なほど、夢は実現しやすくなります。
わたしたちの考え方は浅かったなと反省もしつつ、あのときはあの考え方でよかったのかな、なんて思ったりもします。
たぶん、一歩前に進まないと見えてこない部分もあったはず。
1年経ったいま、ようやくつむぐfarmの目指す農業スタイルが見えてきたところです。まだまだ細かい部分は決まっていないところもあるので、就農予定の2025年4月までには土台を固めたいと思っています。
農業の世界は思ったよりも広くて奥が深くて、多様性に富んでいます。
農業は可能性に溢れている仕事だなとわたしは思うんです。
「100年先の未来を守りたい」「次世代のために繋いでいきたい」とか、そんなかっこいいことを言える農家にはなれないかもしれませんが、背伸びせずに、かっこつけずに等身大の自分たちをnoteで発信していきます。