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「つくね、はじめてのお断酒withぶよぶよの焼きそば」の話
朝5時。
この体は
最早アラームなど鳴らさずとも
起きる仕様に成り果てた。
(なっ?)
体を起こすと異変を感じる。
あぁ……
頭が痛い……
おぉ……
お腹がモヤモヤする……
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(何だコレは……)
しばらく考え
私のスーパーなコンピューターが
答えを弾き出した。
「……よォ
久しぶりだなァ
つくね」
「……お前……二日酔い……!!」
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ああああ……
昨日のビールとチューハイじゃな?
飲むのが遅かったから……
分解に時間がかかってんだ。
肝臓……
麗しのマイ・リバー
負担かけちゃって……
本当ごめんな。
俺のワガママでこんな……
お前に迷惑ばっかかけて。
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これが大した二日酔いじゃないのは
肌で分かる。
しかしながら。
頭が痛いとか無理なんです無理なんです。
本当、私すこぶる健康じゃから……
偏頭痛もないし
胃腸も激強!
だから
ちょっとした体の不調に
耐性がないんだ……
(オオ……アタマイタイヨ〜オナカモヤモヤスルヨ〜)
しばらく動いていると少しずつ不快さは薄れ
霧が晴れたかのような爽やかな気分になった。
「決めた!
私……断酒する!」
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かっちゃんの前で宣言した。
「んん……無理じゃない?」
「完全にやめるんじゃなくて……
土曜だけ飲む」
「あっ、それなら出来るかもね」
息子にも宣言した。
「お母さん、お酒やめるわ!土曜だけにする!」
「絶対ムリだと思う」
「何だとーっ!見とけよ!母の生き様をな!」
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さてさて。
つくねは
断酒、出来るのか?
結論から言うと。
断酒……
(厳密には減酒)
大成功!
三日目くらいで
(うわぁ……すっごく飲みたいわぁ……)
と思ったものの。
(いーや!息子の予想通りになりたくない!)
「やっぱり無理だと思った〜!」
とか言われたらめっっっちゃ悔しい。
予想を裏切りたい。
つくねは根性を見せた。
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そんなこんなで土曜日になった。
ビールに合うものを……
そう、前日まで考えていたのに
その日の仕事でHPを消費してしまい
(広島焼きとか食べたい……イヤ、作るの面倒くさいわ。焼きそばでいいや)
思えばここで判断を誤ってしまった。
HPの回復を待って広島焼きを作れば
良かったんだ。
つくねは……
広島焼きめっっっちゃ上手。
20歳の時に広島の女子に教えてもらった
広島焼き。
すげぇウマいのに。
立ち寄ったドラッグストアで
ビールとチューハイと麺を買って帰った。
ちゃちゃっと焼きそばを作る。
そして……
一週間ぶりの
おビールを口に含む。
ぐびっ。
悪魔的か?
悪魔的なヤツが来たか?
「うーわ……」
さっきまで店頭の冷蔵コーナーに並んでいたのを少し冷蔵庫で冷やしたビールは絶妙なやや冷え具合。
久しぶりに飲むからといつものクリアアサヒをやめクラフトビールにしたが故の口に合わないお味。
全てが裏目であった。
半ばヤケクソで焼きそばをお口にほおばる。
「うへー……」
信じられない。
令和の日本の小売店でこんな麺が売られて大丈夫なん?
という程のぶよぶよの美味しくない麺。
かめばかむほど不味くなる。
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私の舌は本当、グルメでなく
何でもかんでも美味しく頂ける
歴戦の猛者と称して良い程の器のデカい
おおらかな舌なのに。
(こんな不味いモノ、久しぶりに食べたわ)
なんとか完食。
息子にも作っていたので声をかける。
「焼きそば、無理して食べんでいいから」
「うん……ごめん。小麦粉の味がする……」
と1/3程残したお皿を差し出した。
出来立てでも美味しくなかった
ぶよぶよの焼きそば。
冷えきって……
ぶよぶよのぶよぶよ。
(コレは……食べられない)
広い世の中……
食に困っている人もいるだろう。
ソレを考えりゃ私のこの感情、行動は
褒められたモノではない。
(スマン)
そっと袋に入れてポイっとした。
次からはもう少しきちんとする。
次の土曜日は
いつも通りにクリアアサヒを
キンキンに冷やして
面倒くさくともスーパーで麺を買い
体力の回復を待って広島焼きを作る。
そう心に決めた夏の夜であった。
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