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『はぐれ宮司の 事故物件 お祓い事件簿』(金子雄貴・著)

 ニュースや情報番組で、「特殊清掃」とか「事故物件」という言葉を聞くことがあります。
 そして、特殊清掃を請け負う業者への依頼が増えているといいます。

 亡くなられた状況や事情はさまざまですが、その多くは発見されるまでに長い時間がかかり、葬送も十分ではないようです。
 そうした孤独死された方や住まいをお祓いされてきた実例が載る『はぐれ宮司の 事故物件 お祓い事件簿 1500件超の現場を浄化!』(講談社・刊)です。
 陰惨な現場をお祓いし、清める宮司さんの存在は、初めて知りました。

◆凄惨な事故物件へご案内
 事故物件とは、自殺や孤独死、殺人現場など、普通ではない事情で人が亡くなった家やマンション、アパートのことです。多くの場合、死体が腐敗し、死臭やハエなどが発生することで、発見されます。現場は悲惨な有様となります。
◆日本初! 事故物件専門のお祓い師
 自殺から殺人まで、強烈な死臭に襲われる事故物件のお祓いは、仏門も神職も近づきたがりませんでした。しかし、金子宮司は「誰もやらないのであれば自分がやるしかない」と、敢然と依頼を引き受け、以来、1500件以上の事故物件を浄化してきました。
◆事故物件の事件簿
 1500件以上の事故物件をお祓いしていると、普通では得られない現場に立ち会うことになります。ドロドロに溶けた遺体や壁にあいた無数の刃物の穴、座間九人殺害事件のアパート、また、誰もいない二階から迫りくる謎の足音や、パイプオルガンが鳴り響いたり…。事故物件にご招待。
◆他ではないお祓いも
 はぐれ宮司のところには、(略;このサイトに登録できない言葉あり) の御霊入れまで、変わった依頼が来ます。

 どの人にも“死”の時を迎えるのですが、それは年齢を重ねて”自然”なものでありたいと思います。
 しかし、自死・自殺を選択したり、突然の事件・事故に命を落としたりする方もみえます。
 さらに、「自宅内で死亡した事実が死後判明に至った1人暮らしの人」(孤独死)がみえます。

 特殊清掃の方の仕事が「部屋の現状復帰」ならば、わたしの仕事は「心の現状復帰」といえるでしょう。
 こうしている間にも、日本では毎日、事故物件が増えていることでしょう。
 十八年前のあの日に「独りで亡くなった方の心をいたわる最後の砦になる」と覚悟を決めました。

 事故物件のお祓いを専門とする宮司は、日本ではおそらく“はぐれ宮司”の金子氏ただ一人です。
 本書は、さまざまな現場でお祓いをし、清めてきた宮司の事件ファイルです。専門的な用語・事柄も分かりやすく説明があり、読みやすい文章で紹介されています。

 仏教のお経が仏様の言葉といわれているのに対して、神道における祝詞や祭詞とは、神様に奏上する言葉です。
 言葉に霊力が宿るという「言霊信仰」をもつ日本では、地鎮祭、結婚式、お宮参り、そして厄除けなど、祭事ごとに神職が祝詞を考え、神様に申し上げ、お願いしているのです。

 誰しも“凄惨な現場”で死を迎えると思わないし、願いません。そうした話を読みたい、読ませたいとも思わないでしょう。
 本書は、凄惨な現場でお祓いをし「心の現状復帰」を担う宮司の思い、願い、生き様が述べられています。
 そこから、命、生きていること、これからの生き方など、自分の“今と未来(あす)”について考えさせられます。
 手に取り、裏表紙を見てください。そして口絵、最初のマンガ、嫌な気持ちにならなければ、そのまま読んでみてはいかがでしょう。

   目次

少し長いはじめに  日本でただ一人、事故物件を祓う宮司
第一章 事故物件のお祓い
 一件目 壁にあいた刃物の穴
 二件目 ドロドロに溶けた遺体
 六件目 血まみれの事故現場  など
 コラム1 お祓いの作法
第二章 現場の怪奇現象
 七件目 練馬に現れる血まみれの男
 九件目 伊豆の豪邸の怪奇現象
 十三目 パイプオルガンが鳴り響く家  など
 コラム2 小型祭壇は特注
第三章 不思議なお祓い
 十七件目 揺れる家  など
少し長いおわりに  これからも御霊を救う宮司でありたい


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