“本のソムリエ”の薦める図書を読もうと、江戸川区の書店「読書のすすめ」の「成幸読書」に参加しました。
最初に届いたのが『小さき者たちの 』(ミシマ社・刊)です。
帯に
とあり、著者の故郷・熊本のことが綴られ、そこから日本のことが述べられているようです。
本書を開き、はじめには
と始まります。この価値観や当たり前を見直す読書となりそうです。
最初の章が「水俣」、そして石牟礼道子さんの小説の一節が最初です。
戦後の高度経済成長期に社会が元気なころ、その一方で“公害”が大きな問題となりました。その一つが「水俣病」で、そのことが述べられていきます。
“水俣病”という名称、メチル水銀化合物に汚染された魚介類を食べたことにより起こった神経系疾患、それが工場排水が発生源であったという程度の知識です。
水俣病をはじめ公害が人々を苦しめ、その回復や補償が行われ、環境改善が進んだと思っています。最近では“公害”という言葉・用語を聞くことがなく、「昔のこと」「済んだこと」と思っている人も多いのではないでしょうか。
本書では、水俣に関する記録から引用された言葉、文章、その背景、次へつないでいくこと、そこから見える「知らない世界」が、ていねいに述べられていきます。
そこにあるのは、“小さき者たちの生活”です。
そして、「生活」や「知」を繋ぐことの難しさがありました。
時代を経て、価値観が変わり、それによって記録された“表象”の判断(新たな価値観)が変わります。
それを、どのように残し、「何」を伝えるのでしょうか。
伝える意味は大きいのですが、その伝える相手(受け手)は「誰」なのでしょうか。
「無くしてはいけない」「風化させてはいけない」、「どうするのか」を考えさせられました。
本書の伝える“こと”を、しっかり受け止められただろうか。
これまでのこと、今のこと、そしてこれからを見つめ直す一冊です。
読書メモより
【関連】
◇松村圭一郎 (@kmatsumura15)(Twitter)
【関連:読書のすすめ】
◇読書のすすめ
◇読書のすすめ(YouTube)
◇読書のすすめ(@dokusume)(Twitter)
◇読書のすすめ(Facebook)
◇読書のすすめ 清水克衛の日々是好日
【関連:成幸読書】
◇成幸読書選定本
◇成幸読書頒布会お申込ページ