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映画『ニュー・シネマ・パラダイス』映画を愛するすべての人へ
原田マハの小説「キネマの神様」の中に映画「ニュー・シネマ・パラダイス」が登場します。
この映画は過去に観ているのですが、有名なラストシーンは覚えていても、細部は忘れていました。Amazonプライムで再び観てみることに。
ジュゼッペ・トルナトーレ監督・脚本。エンニオ・モリコーネ音楽。1989年製作。イタリア・フランス合作。
1989年カンヌ国際映画祭審査員グランプリ。1990年アカデミー外国語映画賞受賞。
<ストーリー>
第二次世界大戦後、1950年代のシチリア。映画が一番の娯楽であった時代の物語。
映画館「パラダイス座」の映写技師アルフレード(フィリップ・ノワレ)の元へ、毎日のように映画好きな少年トト(サルヴァトーレ・カシオ)は通っていました。
村では神父が映画の検閲を行い、キスシーンはすべてカットしないと上映できません。
アルフレードは神父の指示に従い、フィルムをカットして映画を上映しています。
トトは少しづつ映写機の使い方も覚えるのですが、ある日「パラダイス座」から出火し、アルフレードは火事が原因で視力を失なってしまい...
***
村人たちが映画をとても楽しみにしていて、わいわいと映画館に押し寄せ、全員で笑ったり泣いたりしている様子を観るだけで胸がいっぱいになってしまいました。
時代に対する郷愁だけでなく、一人の青年の成長を見守る大人の愛情の物語でもあることが、今回は強く感じられました。
青年になったトトがローマに旅経つとき、アルフレードは強く言います。
「帰って来るな
私たちを忘れろ
手紙も書くな
郷愁に惑わされるな
すべて忘れろ」
「自分のすることを愛せ
子供の時
映写室を愛したように」
駅での別れの言葉を守り、トトはその後30年間シチリアには帰郷しません。
ある日、映画監督として成功をおさめたトトの元に、母親からアルフレードが亡くなったとの連絡がありました。
帰郷したトトに、アルフレードが大切に保管していた一本のフィルムが渡されます。
ローマに戻ったトトが、アルフレードが遺したフィルムを上映してみると、かつて検閲によりカットされ、観ることのできなかったキスシーンの数々が現れるのです。
カットされた白黒フィルムをつなぎ合わせた沢山のキスシーン。
傷だらけのざらざらとしたモノトーンの映像にモリコーネの音楽が重なります。
とても有名な、そして素晴らしいラストシーンです。
宝物ような作品でした。
鑑賞して良かったです。
映画を観て素直なリアクションで楽しむ村人たち。
その笑顔を見て
「人が笑うのが嬉しい
自分が笑わせている気がする」
と言った映写技師のアルフレード。
トトが映写技師ではなく映画監督になりたいと思ったのは、アルフレードの夢の実現でもあったのだと思います。
大切な人の未来を想う強さと、映画を愛する力。
公開から何年経っても、そしてこれからも、この作品には色褪せることの無い魅力があると思います。