映画『メランコリック』彼女と別れなくてはならない仕事。
Amazonプライムビデオで観たい作品を探すとき、この作品が画面に現れても、暗いビジュアルの上に知らない監督の作品なので遠ざけていました。
今回、たかやんさんが「ツイッター」であっさりさっくりと「面白い」とつぶやいておられたのが観るきっかけとなりました。
観て良かったです。予想を超える面白さ。低予算の日本映画、がんばってます。
皆川暢二(プロデューサー・主演)田中征爾(監督・脚本)磯崎義知(俳優・アクションシーンの構成演出)の3名からなる映画製作チームでつくられた作品です。2019年公開。UPLINK公式サイト参照
撮影期間10日間、撮影費用300万円で一人何役もの雑用をこなしながら撮影は行われました。
ストーリーはサスペンスなので、書きませんが
「バイトを始めた銭湯は、深夜に風呂場で人を殺していたーーー!?」
というお話です。巻き込まれ型サスペンスです。
コメディ要素もあるにはあるのですが、ちょっとブラックで控えめな笑いでした。
とにかく脚本が面白かったです。軸になっている「殺人銭湯」と並行して主人公の恋愛模様、実家の両親、同僚との友情、とまるで青春映画のような仕上がり。観た後はなぜか爽やかな気分。
血まみれ殺人&死体処理映画なんですけどね。
登場人物のキャラクターだけ書かせて下さい。
主人公の和彦(皆川暢二)は東大卒ですが、一度も定職にはつかず実家暮らしです。実家の両親は仲が良く和彦を見守っています。無理に「働け」なんて言いません。
和彦のメガネのデザインはとてつもなくダサくて、レンズは大きくて汚れがちです。しかもメガネは傾いています。
和彦は他人とのコミュニケーションをとるのがあまり上手くありません。
そんな彼に屈託ないきらきらの笑顔で話しかける高校の同級生・副島百合。
和彦みたいな男性にはこんな女性がいたらいいだろうな、と思わせる夢のような女性です。
同窓会に行ったものの誰とも話さずに一人で食べている和彦に話しかけてくれたり。
このあたりは恋愛初級者の和彦の成長物語でもあります。
銭湯のバイトの同僚松本(磯崎義知)も最初は金髪のぺらぺらな人物として登場しますが、いろいろ凄くて。
和彦と松本が二人で居酒屋に行くシーンが一番好きでした。
「東大卒なのに何でこんなことやってるんですか」と松本がたずねるのですが、その前置きがいい。
「ひとつ聞いていいすか。
マジで100万回聞かれたことだと
思うんですけど..」
いちいちセリフが優しい。
そのあと
お酒は止めて、温かいお茶を頼んで
「幸せにはなりたいけどね」
と二人で笑い合うんですけど、私も一緒に笑っちゃいました。
ホント、幸せにはなりたいもんです。
面白かったです。
Amazonプライムビデオで観れます。
ただ、殺人シーンが苦手な方にはオススメできません。