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ココヘリの現行制度について知り、山岳保険を見直し&新規加入した

2023年6月にココヘリの新制度がスタートしていた

Xの山クラスタのフォロワーさんの間で話題になっていたので、この制度変更にようやく気がつくことができた。


自分に関係しそうな情報だけをかいつまんで追っているので理解が足りていない部分もあると思うのだけれど……。「ココヘリって何?」という方のためにざっくりとご説明しようと思う。かつて

ココヘリ
高精度で軽量な発信器を無償貸与して遭難者捜索を行う(年会費5500円・入会金3300円)
jRO(ジロー)
遭難時の捜索にかかった費用を年間550万円まで補填してくれる(年会費2000円・事後負担金が発生することもあり)

という2つのサービスがあった。
それぞれ「遭難者捜索」と「救援者費用補填」に特化したサービスで、年会費も比較的お安いので両方に加入していた登山者も多かったと思う。かく言う私も両方に加入していた。

ココヘリが無償貸与してくれる「1度満充電すれば2ヶ月電池が持つのに重さはたった20g」という発信器はもしものときのお守りとして心強かった。

jROは「救援者費用補填」に特化した山岳保険という風に捉えていた。他社の保険は「雪山登山やクライミング」をする場合はコースが高額になるけれど、jROは雪山も岩登りもバックカントリーもアイスクライミングも補償の対象とされていたのがすばらしいなと思っていた。

そんなハードな登山をするわけではないが、たまに雪山に登ることはある。そんなとき「この雪山登山は山岳保険の補償範囲内か?」「範囲外だとしたら別途短期保険をかけなくては!」といったことを毎回考えなくてはいけないのは面倒だ。

また多くの山岳保険では、補償範囲の広い高額なプランになると「死亡補償(被保険者が死亡した際、遺された家族が死亡保険金を受け取れる保障)」がけっこう厚めについてきたりする。しかし独り身の私にはそんなものは必要なく「この補償はいらないからもうちょっと安くならないかなあ」と思っていたので、jROの捜索費用補填サービスはシンプルイズベストでありがたいと思っていたのだ。

2022年にココヘリとjROのサービスが統合された

2022年にココヘリの運営会社がjROを子会社化したことによって2つのサービスが1つになった。
「ココヘリの年会費5500円のみで、jROの救援者費用補填サービスも利用できる」
ことになり、そんなうまい話があるのだろうか……?と統合した当初に思ったものだけれど、やはり、そんなうまい話はなかったのである。

統合後1年間ほどは「ココヘリの年会費のみでココヘリと旧jROのサービスが利用できた」ようなのだが、2023年6月にココヘリの新制度がスタートし、以下のようにサービス内容が変更された。

ココヘリ公式サイトより

この図を見ると、いったい何が変わったのかよくわからず「捜索の手配もココヘリがやってくれて、救助費用の立て替えも不要になるならいいじゃないか」と思ってしまう。
2023年の制度変更の際、私もこの図を見たはずなのだが「特に問題ないよね」と思ってスルーしてしまっていた。

しかし、何がきっかけだったのかは知らないのだがが「実は問題なくはない」ということが1年経って多くの人の知れるところとなり、昨今X上などで話題になっていたのである。

旧jROが提供していた捜索費用補填という、山岳保険に準じるサービスは終了していた

遭難してしまった際に、警察や消防といった(捜索費用が税金によって賄われる)公的機関以外の、地元の山岳会などの民間組織が捜索にあたることがある。また、遭難したエリアの公的機関が救助ヘリを所有していなかったり、所有していても出払っていたりしたときには民間のヘリが出動することもある。ヘリコプターの費用は業者によってまちまちだが、3時間で150万円ほどになることもあり、高額である。

こうした、公的機関以外の民間の組織・業者が捜索にあたった際の「救援者費用」を、いわゆる「山岳保険」はカバーするものが多い。旧jROも、救援者費用を550万円を上限にカバーするという内容だった。

しかし、2023年の制度変更によって、旧jROを吸収したココヘリには「救援者費用負担」の補償はなくなった。
現在のココヘリは「ココヘリが提携する民間ヘリコプター・ドローン、または地上からの捜索を実施」し、「警察署・消防署などの公的機関が実施する救助活動後(第一次救助)に、ココヘリが提携する民間救助隊による救助活動を上限額550万円まで実施(第二次救助)」するサービスである。

このことの何が問題かと言うと、ココヘリはあくまで「警察や消防による第一次救助の後に第二次救助として救助活動を行う」のだが、第一次救助の段階で警察が民間の組織に協力を依頼したり、民間の業者のヘリコプターに出動してもらうこともある。

その場合は民間組織・業者に対して費用が発生し、遭難者(かその家族)が負担することになるが、現在のココヘリではそこでかかった救援者費用は補填されない。
そのため「救援者費用」を補填する山岳保険に、新たに加入する必要が出てきたのである。

じゃあ、ココヘリはもういらないのか?

ココヘリの説明がわかりにくかったことなどで不信感が募り「もうサービスとして信用できないからココヘリやめる!」という決断をされた方もいるかもしれない。けれど私は、まあ持っておいてもいいんじゃないかなと思っている。

なぜなら、ココヘリの発信器の電波をキャッチする専用受信機を、既に39の都道府県の警察・消防が導入しており、公的機関による捜索活動もココヘリの発信器を持っていることによってスムーズに進む可能性が高いからだ。

ココヘリ公式サイトより

スマホのGPSはそこまで電池が持たないし、私は1人で登ることが多いので、予定していた日時までに下山の連絡がなく通報が行われた段階でスマホの電池がなくなっている可能性もある。また、GPS端末を別途持ち歩くのも費用・重量・電池持ちなどの面からあまり現実的とは言えない。

捜索活動ができるだけスムーズに行われるために、ココヘリの発信器を持つことには意味があるように思う。

遭難発生時は警察だけでなくココヘリにも連絡する必要がある

ココヘリについていろいろと調べていく中で「そうだったのか!」と知ったのだが、ココヘリは警察とは関係なしに捜索活動を行うので、ココヘリに動いてもらいたかったら遭難発生時にココヘリに連絡する必要があるのだ。

よく考えれば当たり前の話なのだが、今回の一件があるまで「ココヘリが独自で捜査・救助活動を行う」という視点が完全に抜けていたのでまったく気づいていなかった。
これまでは知人に登山届けを出す際に、compassで提出した登山計画書のURLと、登る山を管轄する警察署の電話番号を送って「○月○日何時までに連絡がなかったらここに一報をお願いします」という風にやっていたのだが、今後はそれに加えて、ココヘリの「捜索要請専用窓口」にも連絡するよう伝えておかねばならない。
登山届けを出すのが家族ならいいけれど、私のように独り身で、知人(それも登山をするというわけでもない友人)が相手だと、もしものときだけの話とは言え、なんだか負担を増やしてしまうようで申し訳ないなー。

まあ、ココヘリの捜査・救助をあてにしないなら通報しなくてもいいのだろうけど、せっかく年会費を払っているのだから使えるものは使ったほうがいいよね……。

それとココヘリはcompassと提携しているので、compass提出時にココヘリのIDを記入していれば、通報があった際にcompassの登山計画書を参照することができるんだそう。やはり、普及度が高いサービスだけにこういう橫のつながりがあるのは強いよねと思った。

compassとココヘリの提携についてはヤマレコ代表の的場さんのYouTube動画で知った。

非常にわかりやすく解説されていたので、私の拙い説明ではよくわからん!となった方にはこちらを見ていただけると良いかと思う。

旧jROに代わり、救援者費用を補填するための山岳保険に新たに加入した

このタイミングで遭難なんてしたら本当に笑えないよ!と思い、代表的な山岳保険から検討して新たに保険に加入した。

条件としては「雪山登山が補償の対象となる」「登山の度に加入するワンタイム保険ではなく年払いのもの」を対象とした。

検討対象となったのは以下の4つの保険である。

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