詩|いつかの日記
ぽつんぽつんと千切れた雲が散らばっている。
今朝はそんな空だった。
雨が続いていたせいで、世界はしっとりと潤っていたけれど、私の心はカラカラに渇いていた。
まるで行ったことのない砂漠にでもいるみたいに。目の前の景色はぐにゃりと歪んでいて、秋だというのにばかみたいな暑さの中、空っぽの私だけがそこにいた。
なんだろう、この感じ。
何かが吹っ切れて気分よく断捨離をして、やっといらないものを手放せたと思ったら、うっかり大事なものまで捨ててしまったことに気づいて。結局、落ち込んでいる。だれも責めることができなくて。でも何かのせいにしたくて。それなら自分のせいでいいかって。でも、自分を責めちゃかわいそうだよって、なんとか思いとどまっている。そんな日。
本当に捨てたかったものは、なんだったのかな。
本当に大事にしたいものは、なんなのだろう。
今日という一日の中では、その答えは見つからなかった。
どこかへ向かって伸びていく夜。
それなのにどこにも繋がっていない夜。
賑やかな鳥たちは森へ帰り、秋の虫たちの声が遠くの方で聴こえた。金木犀の香りはまだ息を潜めている。
居場所ってなに?
居場所ってどこなの?
ずっとずっと居場所なんてなかったから、そもそもそれを探そうとしたこともない。
自分がどう生きたいのか
自分がどう在りたいのか
どうしてもわからなくなる時がある。
大丈夫、それでもきっと大丈夫なんだと思う。
三日月の夜行船にはまだ間に合うだろうか。
いつかの日記 / 月乃